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第3話 理由 真鈴視点(1)
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「ねえ。水前寺くんはどうして、幽霊が見える人を探しているの?」
夏休みが明けてて、卒業まで2年と約半分くらい。ずっと変な目で見られると分かったのに、それでも続けようとする。
その理由が気になって、首を左に傾けた。
「私には言えないんだったら、無理しなくていいよ。恩を売りたくって助けたんじゃないし」
「……市川さんならきっと、そうでなくても信用してくれると思います。お伝えします」
少しわたしの目を見つめて、水前寺くんは姿勢を正した。
「僕が幽霊を見える人を探している理由。それは、困っている幽霊を助けたいからなんですよ」
「困ってるゆうれい――ちょっと待って。なんで見える人が必要なの?」
困ってるって分かってるなら、幽霊が見えているはず。ちゃんと見えてるのに、わざわざ見える人を探す意味って……?
「実は僕、幽霊の声が聞こえるんです」
「声!? 幽霊って、喋れるの!?」
『はぁ。分かってる? きみ達のせいなんだからね?』。
今朝登校中に声をかけても反応なかったし、今まで何度も声をかけても一回も返事はなかった。会話、できるの……!?
「喋れますよ。幽霊は大抵独りで何かを喋っていて、人が近くを通ると話しかけてくるタイプがいるんです。そういう幽霊が声をかけてきて反応したら、会話ができるようになりますよ」
「……そうなんだ……」
幽霊とは物心ついてからの付き合いだけど、知らなかった。時々いた寄って来る幽霊って、私に話しかけにきてたんだ。
「とは言ってもほとんどが、聞きたくないことを言っていますよ。『幸せなやつは許せない……!』とか『お前も苦しめ……!』とか呟いているのが殆どです」
「……なるほどね」
それは納得できた。だって外にいるのは、99パーセント以上が『THE悪霊』みたいな形をした幽霊だから。
「でも時々、未練を残して死んだ人の幽霊がいるんです。そういう幽霊は自分の代わりに○○をしてくださいとか〇〇に〇〇を伝えてくださいとか、自分の存在を感じられる人に助けを求めているんですよ」
「……そう、なんだ……」
それも、納得できた。
残りの1パーセントくらいの確率で、私達人間にそっくりな幽霊を見掛けてきたから。
「僕はそんな幽霊を助けたいと強く思っていて、でも、僕は幽霊の声しか聞こえない。姿を見ることはできなくて、それだと助けられないんですよ」
「? どうしてできないの?」
自分の代わりに何かをしてとか、代わりに伝えて欲しいって頼んでくるんだよね? お願いが聞こえてるなら、それで充分なんじゃ……?
夏休みが明けてて、卒業まで2年と約半分くらい。ずっと変な目で見られると分かったのに、それでも続けようとする。
その理由が気になって、首を左に傾けた。
「私には言えないんだったら、無理しなくていいよ。恩を売りたくって助けたんじゃないし」
「……市川さんならきっと、そうでなくても信用してくれると思います。お伝えします」
少しわたしの目を見つめて、水前寺くんは姿勢を正した。
「僕が幽霊を見える人を探している理由。それは、困っている幽霊を助けたいからなんですよ」
「困ってるゆうれい――ちょっと待って。なんで見える人が必要なの?」
困ってるって分かってるなら、幽霊が見えているはず。ちゃんと見えてるのに、わざわざ見える人を探す意味って……?
「実は僕、幽霊の声が聞こえるんです」
「声!? 幽霊って、喋れるの!?」
『はぁ。分かってる? きみ達のせいなんだからね?』。
今朝登校中に声をかけても反応なかったし、今まで何度も声をかけても一回も返事はなかった。会話、できるの……!?
「喋れますよ。幽霊は大抵独りで何かを喋っていて、人が近くを通ると話しかけてくるタイプがいるんです。そういう幽霊が声をかけてきて反応したら、会話ができるようになりますよ」
「……そうなんだ……」
幽霊とは物心ついてからの付き合いだけど、知らなかった。時々いた寄って来る幽霊って、私に話しかけにきてたんだ。
「とは言ってもほとんどが、聞きたくないことを言っていますよ。『幸せなやつは許せない……!』とか『お前も苦しめ……!』とか呟いているのが殆どです」
「……なるほどね」
それは納得できた。だって外にいるのは、99パーセント以上が『THE悪霊』みたいな形をした幽霊だから。
「でも時々、未練を残して死んだ人の幽霊がいるんです。そういう幽霊は自分の代わりに○○をしてくださいとか〇〇に〇〇を伝えてくださいとか、自分の存在を感じられる人に助けを求めているんですよ」
「……そう、なんだ……」
それも、納得できた。
残りの1パーセントくらいの確率で、私達人間にそっくりな幽霊を見掛けてきたから。
「僕はそんな幽霊を助けたいと強く思っていて、でも、僕は幽霊の声しか聞こえない。姿を見ることはできなくて、それだと助けられないんですよ」
「? どうしてできないの?」
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