VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~ 

柚木ゆず

文字の大きさ
35 / 42

第23話 病院から帰って(1)

しおりを挟む
《ごめんなさい。ごめんなさい。声が出なくて、配信ができません》
「美月さんが謝ることはでありませんよ。それに、配信はできなくても問題ありません。ご自身のことを一番に考えてください」

 病院から帰ってすぐ田宮家さんにお邪魔して……。困らせちゃうと分かってたけど、ひとりでに出てきちゃって……。
 ボロボロ泣きながら謝ると、翔くんに首を振って微笑んでくれました。

《でも……。毎回の配信は大事で……。お顔のお披露目配信だって、すごく大事で……》
「美月さんの健康より大事なものなんてありません。配信の予定はどうとでもなりますよ。日を改めればいいだけですから、安心してご自身に意識を向けてください」
《…………はい。ありがとうございます》
「お礼を言うことでも、ありませんよ。……そうだ。せっかく来てくださったのですから、ゆっくりしていってください。ちょうど美味しいお菓子があるんですよ」

 翔くんはもう一回首を振ってくれて、今いる和室を出て、冷凍ミカンを持って来てくれました。

「四国にいる祖父が送ってきてくれたんです。よろしければどうぞ」
《ありがとうございます。いただきます》

 初めて食べる冷凍ミカンは、冷たくて、とっても甘い。
 冷たさと甘さと翔くんの優しさが、身体中に広がっていくのが分かりました。

《甘くて冷たくて、美味しいです》
「それはよかった。まだまだ沢山あります。お好きなだけ召し上げってくださいね」
《ありがとうございますっ。もう一個いただきます》

 お言葉に甘えちゃって2つ目をもらって、もぐもぐもぐ。優しさ、甘さ、冷たさを全身で感じて――

「美月さん、心配要りません。声はすぐ出るようになりますよ」

 ――2個めを食べ終えたとき、でした。翔くんが突然、そんなことを口にしたのでした。

((……………………))
「僕は、気休めで言っているのではありません。確信を持った上で、言っています」
《ど、どうして、そう思うんですか?》

 少し考えてみたけど、理由が分からない。分からないから、お尋ねしてみた。

「美月さん、こちらをご覧ください」
《は、はい》

 テーブルの上に置かれたタブレットを見てみると、『如月タミ』さんの――翔くんのSNSのアカウントが表示されていました。
 ???
 これが……。どうしたの、かな……?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

処理中です...