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エピローグ 欲を出してしまった男の末路 俯瞰視点
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「な……。俺の知らない間に…………こんなことに、なっていただなんて……」
それは、20年ぶりに外の世界に出て5時間が経った頃でした。彼は偶然知ってしまいます。
かつて自分の婚約者だった、アンリエットの『その後』を。
あのあとアンリエットはジョエルと婚約し、やがて結婚。そのタイミングでアロメリス家とメルフェア家は合同で、アレーナ茸を取り扱う商会を設立します。
アレーナ茸はこの国ではアロメリア領でしか採れない、とても希少なもの。今は同じく全てを失っているフェルナンの父親が言っていたように、両家が運営する商会は莫大な利益を手にすることとなりました。
そしてその10年後――10年前のことです。
そうして得たものを使ってアンリエットとジョエルは新たな事業を複数立ち上げ、そのどれもがジョエルの活躍によって大成功。ふたりの名はあちこちに轟き、国内で知らない者はいない存在となっていたのでした。
「アンリエット達は大富豪になっていて、しかも……。勲章持ち……」
アンリエットとジョエルはアレーナ茸の値段を不当に吊り上げようとはせず、更には利益の一部を寄付していました。
それらの功績を称えられ、国内外の王族から合わせて22もの勲章を授与されていたのです。
「……あの時婚約破棄をしなかったら、ジョエルの場所には俺がいた……」
大富豪になっていたのは、自分。
勲章を授与されていたのも、自分。
などなど。
ジョエルに関するあらゆる状況を、すべて自分に当てはめてしまい――
「……………………」
――その結果あまりにも大きなショックに襲われ、精神が半ば崩壊。絶望が心の許容範囲を超えてしまい、喜怒哀楽を失ってしまったのでした。
「……………………。……………………」
大きな商会を持つ伯爵家に生まれ、安泰の道を進んでいたフェルナン。
彼は欲を出してしまったばかりに、何もかもを失う羽目になってしまったのでした。
それは、20年ぶりに外の世界に出て5時間が経った頃でした。彼は偶然知ってしまいます。
かつて自分の婚約者だった、アンリエットの『その後』を。
あのあとアンリエットはジョエルと婚約し、やがて結婚。そのタイミングでアロメリス家とメルフェア家は合同で、アレーナ茸を取り扱う商会を設立します。
アレーナ茸はこの国ではアロメリア領でしか採れない、とても希少なもの。今は同じく全てを失っているフェルナンの父親が言っていたように、両家が運営する商会は莫大な利益を手にすることとなりました。
そしてその10年後――10年前のことです。
そうして得たものを使ってアンリエットとジョエルは新たな事業を複数立ち上げ、そのどれもがジョエルの活躍によって大成功。ふたりの名はあちこちに轟き、国内で知らない者はいない存在となっていたのでした。
「アンリエット達は大富豪になっていて、しかも……。勲章持ち……」
アンリエットとジョエルはアレーナ茸の値段を不当に吊り上げようとはせず、更には利益の一部を寄付していました。
それらの功績を称えられ、国内外の王族から合わせて22もの勲章を授与されていたのです。
「……あの時婚約破棄をしなかったら、ジョエルの場所には俺がいた……」
大富豪になっていたのは、自分。
勲章を授与されていたのも、自分。
などなど。
ジョエルに関するあらゆる状況を、すべて自分に当てはめてしまい――
「……………………」
――その結果あまりにも大きなショックに襲われ、精神が半ば崩壊。絶望が心の許容範囲を超えてしまい、喜怒哀楽を失ってしまったのでした。
「……………………。……………………」
大きな商会を持つ伯爵家に生まれ、安泰の道を進んでいたフェルナン。
彼は欲を出してしまったばかりに、何もかもを失う羽目になってしまったのでした。
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