婚約破棄をされるのですね? でしたらその代償を払っていただきます

柚木ゆず

文字の大きさ
21 / 26

第7話 3年後~準備完了~ クリストフ視点(1)

しおりを挟む
「よし、やったぞ……! これでようやく、動き出せる……!!」

 かつての自室の、十分の一以下の部屋。牢より少し広い程度の、現在の自室。『寮』の2階部の一角で、俺は歓喜に震えていた。

 あのあと俺は細心の注意を払って目的地へと向かい、そこで契約を交わして炭鉱夫となった。

 忌々しいベルの手が届かない場所で必死になって働き、ボーナス目当てで時間外労働も毎日何時間も行った。
 そうして俺は365日朝から深夜まで動き回り、今日ついに、『その道のプロ』を雇えるだけの金が貯まったのだった。

「ん? よおギヨーム・・・・、やけに機嫌がいいな。イイことでもあったか?」
「ああそうなんだよ。今日は最高の日で、もっと幸せになるため出掛けてくる」

 同僚に――俺とは異なり生まれも育ちも底辺な男に頷きを返し、満面の笑みを浮かべながら外泊申請を行い出発する。
 まずは暫く歩いて辻馬車に乗り込み、それを使って4時間ほど移動。そうして薄暗く不気味な雰囲気を放つ裏道へと入り、その中にある寂びれたバーに足を踏み入れた。

「いらっしゃい。ご注文は?」
「ブラッディ―マリーを、ウォッカ4トマト6の割合で頼む」
「…………承知いたしました。ご予算と目的をどうぞ」

 カウンター席に座りオーダーすると、オーナーの目つきが変わった。
 これはかつて、貴族だった頃に入手した情報。ブラッディ―マリーと4対6は、『依頼する』ためのワードなのだ。

「予算は7000万ガリオンと100万ガリオン。フルールという人間――貴族と、ベルという元貴族の女を拉致してもらいたい」
「……平民と、貴族でございますか」
「ああ。貴族の方は少々苦労するとは思うが、その条件ならアンタだったら可能だろう?」
「………………ええ。可能でございます」

 俺が差し出した紙――俺が調べた現在のヤツらに関する情報を確認した彼は、淡々と顎を引いた。もちろん予算もちゃんとした額を提示しているため、こうしてあっさりと契約が結ばれることとなった。

「時期など、すべてそちらの都合に合わせる。頼んだぞ」
「承知いたしました。吉報をお待ちくださいませ」

 前金として50%を渡し、握手を交わして取引成立。こうして俺は、復讐の第一歩を踏みだし――

「ん……? なんだ……?」

 ? ???
 今…………
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された公爵令嬢ですが、王太子を破滅させたあと静かに幸せになります

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エレナは、 誕生日の舞踏会で突然、婚約破棄を宣言される。 「地味で役に立たない」と嘲笑され、 平民の少女を新たな婚約者に選ぶ王太子。 家族にも見放され、エレナは王都を追われることに――。 しかし彼女は、ただの“癒しの令嬢”ではなかった。 静かに力を蓄え、事実と証拠だけで王太子の虚飾を暴き、 自らの手で破滅へと導いていく。 復讐の果てに選んだのは、 誰かに与えられる地位でも、名誉でもない。 自分で選び取る、穏やかな幸せ。 これは、 婚約破棄された公爵令嬢が 王太子を終わらせたあと、 本当の人生を歩き出す物語。 -

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?

白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。 王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。 だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。 順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。 そこから始まる物語である。

妹の方が大事だとおっしゃる旦那様。なら妹と婚約すればいいのでは??

睡蓮
恋愛
ロンベル伯爵とセレシアは婚約関係にあったものの、ロンベルには3人の妹がおり、彼はそちらの方にばかり気をかけていた。そんなある日の事、ロンベルは一方的な理由をつけてセレシアの事を婚約破棄してしまう。そこには妹に対するゆがんだ思いがあったのであろうが、彼は後にその感情によって自らを滅ぼすことになるのだった…。

「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です

希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」 卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。 「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」 私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。

婚約破棄?はい、どうぞお好きに!悪役令嬢は忙しいんです

ほーみ
恋愛
 王国アスティリア最大の劇場──もとい、王立学園の大講堂にて。  本日上演されるのは、わたくしリリアーナ・ヴァレンティアを断罪する、王太子殿下主催の茶番劇である。  壇上には、舞台の主役を気取った王太子アレクシス。その隣には、純白のドレスをひらつかせた侯爵令嬢エリーナ。  そして観客席には、好奇心で目を輝かせる学生たち。ざわめき、ひそひそ声、侮蔑の視線。  ふふ……完璧な舞台準備ね。 「リリアーナ・ヴァレンティア! そなたの悪行はすでに暴かれた!」  王太子の声が響く。

断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber
恋愛
*完結済み、ハッピーエンド 「今まで役に立ってくれてありがとう。もう貴方は要らないわ」  人生をかけて尽くしてきた優しい継母。  彼女の正体は『邪魔者は全て排除。常に自分が一番好かれていないと気が済まない』帝国史上、最も邪悪な女であった。  継母によって『魔女』に仕立てあげられ、処刑台へ連れて行かれることになったメアリー。  メアリーが居なくなれば、帝国の行く末はどうなってしまうのか……誰も知らずに。  牢の中で処刑の日を待つ彼女の前に、怪しげな男が現れる。 「俺が力を貸してやろうか?」  男は魔法を使って時間を巻き戻した。 「もう誰にも屈しないわ。私は悪逆令嬢になって、失った幸せを取り戻すの!」  家族を洗脳して手駒にする貴族。  罪なき人々を殺める魔道士。  そして、私を散々利用した挙句捨てたお義母様。  人々を苦しめる悪党は全て、どんな手を使ってでも悪逆令嬢である私が、断罪、断罪、断罪、断罪、断罪するのよ!  って、あれ?  友人からは頼りにされるし、お兄様は急に過保護。公爵様からも求婚されて……。  悪女ムーブしているのに、どうして回帰前より皆様に好かれているのかしら??? ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 〇約十一万文字になる予定です。 もし「続きが読みたい!」「スカッとした」「面白い!」と思って頂けたエピソードがありましたら、♥コメントで反応していただけると嬉しいです。 読者様から頂いた反応は、今後の執筆活動にて参考にさせていただきます。

処理中です...