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第6話 2度目の決行 リュシエンヌ視点(1)
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「…………ねえ、なんで貴女がココにいるんですの? ヴァランティーヌさんはどこに居きましたの?」
本来は5時限目の授業が行われている時間、人気(ひとけ)がまったくない校舎裏。作戦決行地点に現れたマチルドは、不機嫌そうに周囲を見回した。
そうなっちゃうのは当然よね。『ふたりきりでしたい大事な話があるから来て欲しい』とヴァランティーヌが言っていたから来たのに、当の本人がいなくて代わりにあたしがいるのだから。
「……そう、理解したわ。ヴァランティーヌさんは遅れるから、貴女で暇潰しをしていて、ということなのね」
「残念大ハズレ、全然理解できていないわよ。アンタが待ってるヴァランティーヌがココに来ることは、絶対にないの。だって彼女が喋っていた内容は、全部嘘なんだもの」
自信満々に的外れな断言したマチルドを嗤いながら、丁寧に説明してあげた。
マチルドと2人きりになる。そんな状況を作りだしたいから、ありもしないことを言わせていたのよね。
「……なんですって……? ヴァランティーヌさんが、貴女なんかに従った……? どういう、こと……?」
「そういうことよ。彼女とは色々あって、そうね。俗に言う主従関係を結んでいるのよ。もちろんあたしが『主』で、ヴァランティーヌが『従』ね」
「……バカな……。そんなことが――」
「あるから言ってるんでしょ? その証拠にあたしはアンタ達の会話を聞いていないはずなのに、さっき内容を全部言えた。あたしが考えてあしたが言うように指示を出したから、そうできるのよ」
「………………。どうなってるの……。わたくしの知らないところで、何があったというの……?」
ようやく真実だと理解したマチルドは目を見開き、困惑しながらあたしを指差した。
「それに……なんなの、貴女……? 雰囲気がまるで違っている……。本当に、あのリュシエンヌなの……?」
「あたしは本当に、あのリュシエンヌよ。ただリュシエンヌだけどリュシエンヌではない、ともいえるわね」
「? なにを、言って……」
「そんなことはどうでもいいのよ。そろそろ本題に入るわよ」
いつまでもダラダラと喋っていたら、誰か来てしまうかもしれない。そこであたしは、ずっと手に持っていた透明な袋を軽く上げ――その中から、半分に破られたノートの一部を取り出したのだった。
さあ始めましょうか、マチルド。
きっとこれから生まれて一番驚くことになるから、どうぞお楽しみに。
本来は5時限目の授業が行われている時間、人気(ひとけ)がまったくない校舎裏。作戦決行地点に現れたマチルドは、不機嫌そうに周囲を見回した。
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「……そう、理解したわ。ヴァランティーヌさんは遅れるから、貴女で暇潰しをしていて、ということなのね」
「残念大ハズレ、全然理解できていないわよ。アンタが待ってるヴァランティーヌがココに来ることは、絶対にないの。だって彼女が喋っていた内容は、全部嘘なんだもの」
自信満々に的外れな断言したマチルドを嗤いながら、丁寧に説明してあげた。
マチルドと2人きりになる。そんな状況を作りだしたいから、ありもしないことを言わせていたのよね。
「……なんですって……? ヴァランティーヌさんが、貴女なんかに従った……? どういう、こと……?」
「そういうことよ。彼女とは色々あって、そうね。俗に言う主従関係を結んでいるのよ。もちろんあたしが『主』で、ヴァランティーヌが『従』ね」
「……バカな……。そんなことが――」
「あるから言ってるんでしょ? その証拠にあたしはアンタ達の会話を聞いていないはずなのに、さっき内容を全部言えた。あたしが考えてあしたが言うように指示を出したから、そうできるのよ」
「………………。どうなってるの……。わたくしの知らないところで、何があったというの……?」
ようやく真実だと理解したマチルドは目を見開き、困惑しながらあたしを指差した。
「それに……なんなの、貴女……? 雰囲気がまるで違っている……。本当に、あのリュシエンヌなの……?」
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「? なにを、言って……」
「そんなことはどうでもいいのよ。そろそろ本題に入るわよ」
いつまでもダラダラと喋っていたら、誰か来てしまうかもしれない。そこであたしは、ずっと手に持っていた透明な袋を軽く上げ――その中から、半分に破られたノートの一部を取り出したのだった。
さあ始めましょうか、マチルド。
きっとこれから生まれて一番驚くことになるから、どうぞお楽しみに。
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