前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず

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第19話 その頃のアルノー~事情を知ったアルノーは~ 俯瞰視点(2)

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「だっ、だったら父上っ!! せめてだ!! だったらせめてっ、アイツらに一泡吹かせてくれ!! それくらいしないと気が収まらないっ! いやこれでも収まりはしないがっ!! そうせずには居られないっ!! そのくらいはできるだろう!?」

 怒りがまったく静まらない彼が思い立ったのは、復讐。何かしらの形で、4人にも同等――それ以上の目に遭わせたい、そう激しく訴えました。

「こっちは可哀想な被害者なんだ!! 迷惑を多々被っているのに、ふざけたヤツらを法で裁けないんだ!! だったら私刑を執行するしかないだろう!!」
「……………………」
「そうだっ!! 父上っっ!! アイツら4人をっ、一生涯結婚できないようにしてくれっ!! 実は男癖が悪かったなどの、酷い噂をばら撒いて――それじゃ生ぬるいっ!! ヤツら4人の顔に醜い傷をつけるんだ!! 全員にしっかりと大罪の証・・・・を刻み込んでっっ、生き地獄を味わわせてやってくれっ!!」
「……………………アルノー、それは不可能だ。この状況下で元婚約者全員にそんなことが起きたら、たとえ4人が結婚をできなくなる噂程度であってもだ……。真っ先に、ウチが疑われてしまう。そうなればわたしもお前もお仕舞となり、もっと酷い状態に陥ってしまうのだよ」

 父モリスは息子を溺愛していますが、保身も非常に大事。あらゆる面を考慮し、苦い顔で首を左右に振りました。

「っっ! っっっ!! そうなるとは分からないだろう!! うまくやればなんとかできるはずだろう!? ウチは侯爵家でっ、あっちは伯爵家なんだぞ!? 格下相手なら上手くできるはずだ!!」
「…………格上であっても、なんでもできてしまえるわけではないのだよ……。不可能なことなんて、いくらでもある……。ましてやあの4人は最近、『家』ぐるみの付き合いをしているそうじゃないか」

 コレット、イザベル、エステル、ゾエ。大切な娘が親しくなったことによって当主同士も交流を持つようになり、今では小さな同盟のような関係ができあがっている――。モリスの耳にはそういった情報も入っていて、仕掛けた場合は『1対4』となってしまうと知っていたのです。

「伯爵家が4となれば、必然的に侯爵家1を軽々と上回ってしまう。これではますます、どうしようもないのだよ」
「………………………………」
「わたしとて動きたいが、動けば全てを失いかねないのだ。……この問題は、時間が解決してくれるかもしれない。それに、国外の相手ならば可能性は大いにある。だから…………本当に…………難しいことだとは思うが、気持ちを切り替えようじゃないか。とりあえず、しばらく旅行でもして頭の中をせいり――ん? ど、どうしたのだ?」

 沈黙して肩を震わせていた、アルノー。彼は突然ニヤリとしたため、モリスは眉を顰めました。

「……む? …………む? あ、アルノー? どうしたのだ……?」
「いいや、なんでもない。分かった。そうだね。気持ちを切り替えて、しばらく旅行をしよう。こちらで色々と準備をするから、金は好きに使わせてもらうよ」
「え!? あ、ああ、それは構わないが……。急に、どうしたのだ……?」
「よくよく考えてみれば、国外には可能性があった。そう知れて怒りが収まってきたのさ。いい情報を聞けたよ」

 アルノーはにこやかにそう返しましたが、それは大きな嘘でした。彼がこのような態度になった、本当の理由は――

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