32 / 68
第19話 その頃のアルノー~事情を知ったアルノーは~ 俯瞰視点(2)
しおりを挟む
「だっ、だったら父上っ!! せめてだ!! だったらせめてっ、アイツらに一泡吹かせてくれ!! それくらいしないと気が収まらないっ! いやこれでも収まりはしないがっ!! そうせずには居られないっ!! そのくらいはできるだろう!?」
怒りがまったく静まらない彼が思い立ったのは、復讐。何かしらの形で、4人にも同等――それ以上の目に遭わせたい、そう激しく訴えました。
「こっちは可哀想な被害者なんだ!! 迷惑を多々被っているのに、ふざけたヤツらを法で裁けないんだ!! だったら私刑を執行するしかないだろう!!」
「……………………」
「そうだっ!! 父上っっ!! アイツら4人をっ、一生涯結婚できないようにしてくれっ!! 実は男癖が悪かったなどの、酷い噂をばら撒いて――それじゃ生ぬるいっ!! ヤツら4人の顔に醜い傷をつけるんだ!! 全員にしっかりと大罪の証を刻み込んでっっ、生き地獄を味わわせてやってくれっ!!」
「……………………アルノー、それは不可能だ。この状況下で元婚約者全員にそんなことが起きたら、たとえ4人が結婚をできなくなる噂程度であってもだ……。真っ先に、ウチが疑われてしまう。そうなればわたしもお前もお仕舞となり、もっと酷い状態に陥ってしまうのだよ」
父モリスは息子を溺愛していますが、保身も非常に大事。あらゆる面を考慮し、苦い顔で首を左右に振りました。
「っっ! っっっ!! そうなるとは分からないだろう!! うまくやればなんとかできるはずだろう!? ウチは侯爵家でっ、あっちは伯爵家なんだぞ!? 格下相手なら上手くできるはずだ!!」
「…………格上であっても、なんでもできてしまえるわけではないのだよ……。不可能なことなんて、いくらでもある……。ましてやあの4人は最近、『家』ぐるみの付き合いをしているそうじゃないか」
コレット、イザベル、エステル、ゾエ。大切な娘が親しくなったことによって当主同士も交流を持つようになり、今では小さな同盟のような関係ができあがっている――。モリスの耳にはそういった情報も入っていて、仕掛けた場合は『1対4』となってしまうと知っていたのです。
「伯爵家が4となれば、必然的に侯爵家1を軽々と上回ってしまう。これではますます、どうしようもないのだよ」
「………………………………」
「わたしとて動きたいが、動けば全てを失いかねないのだ。……この問題は、時間が解決してくれるかもしれない。それに、国外の相手ならば可能性は大いにある。だから…………本当に…………難しいことだとは思うが、気持ちを切り替えようじゃないか。とりあえず、しばらく旅行でもして頭の中をせいり――ん? ど、どうしたのだ?」
沈黙して肩を震わせていた、アルノー。彼は突然ニヤリとしたため、モリスは眉を顰めました。
「……む? …………む? あ、アルノー? どうしたのだ……?」
「いいや、なんでもない。分かった。そうだね。気持ちを切り替えて、しばらく旅行をしよう。こちらで色々と準備をするから、金は好きに使わせてもらうよ」
「え!? あ、ああ、それは構わないが……。急に、どうしたのだ……?」
「よくよく考えてみれば、国外には可能性があった。そう知れて怒りが収まってきたのさ。いい情報を聞けたよ」
アルノーはにこやかにそう返しましたが、それは大きな嘘でした。彼がこのような態度になった、本当の理由は――
怒りがまったく静まらない彼が思い立ったのは、復讐。何かしらの形で、4人にも同等――それ以上の目に遭わせたい、そう激しく訴えました。
「こっちは可哀想な被害者なんだ!! 迷惑を多々被っているのに、ふざけたヤツらを法で裁けないんだ!! だったら私刑を執行するしかないだろう!!」
「……………………」
「そうだっ!! 父上っっ!! アイツら4人をっ、一生涯結婚できないようにしてくれっ!! 実は男癖が悪かったなどの、酷い噂をばら撒いて――それじゃ生ぬるいっ!! ヤツら4人の顔に醜い傷をつけるんだ!! 全員にしっかりと大罪の証を刻み込んでっっ、生き地獄を味わわせてやってくれっ!!」
「……………………アルノー、それは不可能だ。この状況下で元婚約者全員にそんなことが起きたら、たとえ4人が結婚をできなくなる噂程度であってもだ……。真っ先に、ウチが疑われてしまう。そうなればわたしもお前もお仕舞となり、もっと酷い状態に陥ってしまうのだよ」
父モリスは息子を溺愛していますが、保身も非常に大事。あらゆる面を考慮し、苦い顔で首を左右に振りました。
「っっ! っっっ!! そうなるとは分からないだろう!! うまくやればなんとかできるはずだろう!? ウチは侯爵家でっ、あっちは伯爵家なんだぞ!? 格下相手なら上手くできるはずだ!!」
「…………格上であっても、なんでもできてしまえるわけではないのだよ……。不可能なことなんて、いくらでもある……。ましてやあの4人は最近、『家』ぐるみの付き合いをしているそうじゃないか」
コレット、イザベル、エステル、ゾエ。大切な娘が親しくなったことによって当主同士も交流を持つようになり、今では小さな同盟のような関係ができあがっている――。モリスの耳にはそういった情報も入っていて、仕掛けた場合は『1対4』となってしまうと知っていたのです。
「伯爵家が4となれば、必然的に侯爵家1を軽々と上回ってしまう。これではますます、どうしようもないのだよ」
「………………………………」
「わたしとて動きたいが、動けば全てを失いかねないのだ。……この問題は、時間が解決してくれるかもしれない。それに、国外の相手ならば可能性は大いにある。だから…………本当に…………難しいことだとは思うが、気持ちを切り替えようじゃないか。とりあえず、しばらく旅行でもして頭の中をせいり――ん? ど、どうしたのだ?」
沈黙して肩を震わせていた、アルノー。彼は突然ニヤリとしたため、モリスは眉を顰めました。
「……む? …………む? あ、アルノー? どうしたのだ……?」
「いいや、なんでもない。分かった。そうだね。気持ちを切り替えて、しばらく旅行をしよう。こちらで色々と準備をするから、金は好きに使わせてもらうよ」
「え!? あ、ああ、それは構わないが……。急に、どうしたのだ……?」
「よくよく考えてみれば、国外には可能性があった。そう知れて怒りが収まってきたのさ。いい情報を聞けたよ」
アルノーはにこやかにそう返しましたが、それは大きな嘘でした。彼がこのような態度になった、本当の理由は――
230
あなたにおすすめの小説
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる