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プロローグ マドゥレーヌ・コストール視点(1)
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『なんだって……!? 俺達の婚約を利用して、君を排除しようとしている!?』
『……はい、そうなのですクリストフ様。父レミー、母ミア、妹クララ。わたくしの今の家族がこの機会を利用して、わたくしをお屋敷から追い出そうとしているのです』
厳密に言うと母ミアは継母で、およそ5歳違いの妹クララは腹違いの妹。わたくしは父の前妻の子どもで、二人は同じ血が通っていないわたくしを内心邪魔者扱いしていた。
にこやかに接してくる普段の姿は偽物。どうにかして、ウチことコストール子爵家から追放したいと思っていたのです。
『お母さま。まだどうにかなりませんの?』
『無茶を言わないで頂戴。追い出すのは相応の理由が必要なのよ? 簡単に捏造なんてできやしないわ』
今から三年前に偶然二人のやり取りを聞いて本心に気付いたわたくしは、その日からずっと気が付いていないフリをしてきました。
((……お父様を頼れたら、すぐに解決する問題なのですけどね……))
お父様はミアにぞっこんで、大好きな相手が可愛がるからわたくしよりもクララを可愛がっています。なのでもし『二人が企んでいる』と伝えてしまったら『本当の母親じゃないからって嘘を言っているだろう!?』『半分血が繋がっていないから下げようとしているんだな!?』と激怒してしまうでしょう。
そうなると最悪ミア達にその件が伝わってしまう危険性もあるため、相談することができないのです。
だからわたくしにできるのは、自衛のみ。二人に足を掬われないよう、細心の注意を払って日々立ち回っていたのですが――。先日、お父様の護衛を務めるモアメッドくんの口から、最悪な情報を伝えられたのでした。
『ご存じのようにわたくしめの一族は、代々当主様に仕えてまいりました。絶対的な忠誠を誓っておりました。……ですが、あまりにも酷い……。さきほど、主を裏切る決意を致しました』
『も、モアメッドくん……? ど、どういうことですか……?』
『旦那様が……。ミアとクララと、結託しました……』
自分達のお願いを何でも聞いている夫でも、さすがにわたくしを追い出すことをよしとはしない。ミア達は今まで協力を要請できずにいたのですが、何らかの手段を思い付いて実行したのでしょう。いつの間にかお父様を味方につけていて、三人でわたしを排除しようとし始めたのでした。
『そんな……。お父様、まで……』
『三人は一か月前に交わされたサンゼス子爵家との婚約を利用し、お嬢様を排除を目論んでいるようでございます……』
婚約相手であるクリストフ様に何かしらの賄賂を渡し、わたくしの不祥事を演出。政略結婚解消の危機を作り上げ、その責任を取らす形でコストール子爵家から抹消しようとしていたのでした。
『そう、だったのですね。モアメッドくん、ありがとう。おかげで、危機を乗り越えられそうです』
幸いにもクリストフ様はそういった企みをよしとしない精神を持ち合わせた方で、三人の計画を逆手に取れる。クリストフ様が計画に乗るフリをして捏造の証拠や賄賂を確保し、逆に三人を罪に問うことができるのです。
『……なるほど、一芝居打てばいいのか。オーケー、任せておいて』
『身内がご迷惑をおかけします。よろしくお願い致します』
『君が謝る必要はないよ。悪いのは悪事を働くあの三人で、マドゥレーヌは被害者なんだからね』
クリストフ様は穏やかに目を細めてくださり、そうしてわたくしの反撃が始まって――それから、一か月後のことでした。
あの時感謝の涙を浮かべ安堵の笑みを浮かべていたわたくしは、今、正反対の表情を浮かべていたのでした。
「クリストフ、様……? どうして…………クララ達の隣に、立っているのですか……?」
『……はい、そうなのですクリストフ様。父レミー、母ミア、妹クララ。わたくしの今の家族がこの機会を利用して、わたくしをお屋敷から追い出そうとしているのです』
厳密に言うと母ミアは継母で、およそ5歳違いの妹クララは腹違いの妹。わたくしは父の前妻の子どもで、二人は同じ血が通っていないわたくしを内心邪魔者扱いしていた。
にこやかに接してくる普段の姿は偽物。どうにかして、ウチことコストール子爵家から追放したいと思っていたのです。
『お母さま。まだどうにかなりませんの?』
『無茶を言わないで頂戴。追い出すのは相応の理由が必要なのよ? 簡単に捏造なんてできやしないわ』
今から三年前に偶然二人のやり取りを聞いて本心に気付いたわたくしは、その日からずっと気が付いていないフリをしてきました。
((……お父様を頼れたら、すぐに解決する問題なのですけどね……))
お父様はミアにぞっこんで、大好きな相手が可愛がるからわたくしよりもクララを可愛がっています。なのでもし『二人が企んでいる』と伝えてしまったら『本当の母親じゃないからって嘘を言っているだろう!?』『半分血が繋がっていないから下げようとしているんだな!?』と激怒してしまうでしょう。
そうなると最悪ミア達にその件が伝わってしまう危険性もあるため、相談することができないのです。
だからわたくしにできるのは、自衛のみ。二人に足を掬われないよう、細心の注意を払って日々立ち回っていたのですが――。先日、お父様の護衛を務めるモアメッドくんの口から、最悪な情報を伝えられたのでした。
『ご存じのようにわたくしめの一族は、代々当主様に仕えてまいりました。絶対的な忠誠を誓っておりました。……ですが、あまりにも酷い……。さきほど、主を裏切る決意を致しました』
『も、モアメッドくん……? ど、どういうことですか……?』
『旦那様が……。ミアとクララと、結託しました……』
自分達のお願いを何でも聞いている夫でも、さすがにわたくしを追い出すことをよしとはしない。ミア達は今まで協力を要請できずにいたのですが、何らかの手段を思い付いて実行したのでしょう。いつの間にかお父様を味方につけていて、三人でわたしを排除しようとし始めたのでした。
『そんな……。お父様、まで……』
『三人は一か月前に交わされたサンゼス子爵家との婚約を利用し、お嬢様を排除を目論んでいるようでございます……』
婚約相手であるクリストフ様に何かしらの賄賂を渡し、わたくしの不祥事を演出。政略結婚解消の危機を作り上げ、その責任を取らす形でコストール子爵家から抹消しようとしていたのでした。
『そう、だったのですね。モアメッドくん、ありがとう。おかげで、危機を乗り越えられそうです』
幸いにもクリストフ様はそういった企みをよしとしない精神を持ち合わせた方で、三人の計画を逆手に取れる。クリストフ様が計画に乗るフリをして捏造の証拠や賄賂を確保し、逆に三人を罪に問うことができるのです。
『……なるほど、一芝居打てばいいのか。オーケー、任せておいて』
『身内がご迷惑をおかけします。よろしくお願い致します』
『君が謝る必要はないよ。悪いのは悪事を働くあの三人で、マドゥレーヌは被害者なんだからね』
クリストフ様は穏やかに目を細めてくださり、そうしてわたくしの反撃が始まって――それから、一か月後のことでした。
あの時感謝の涙を浮かべ安堵の笑みを浮かべていたわたくしは、今、正反対の表情を浮かべていたのでした。
「クリストフ、様……? どうして…………クララ達の隣に、立っているのですか……?」
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