婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです

柚木ゆず

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エピローグ それぞれの10年後 俯瞰視点(1)

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「おかあさまっ! おとうさまっ! プレゼントっ! おにわでつくったの」
「あら。ありがとう」
「ありがとう」

 かつて大騒ぎが多発した、コストール邸。その邸内を小さな女の子がトタトタと可愛らしく走り、終着点こと執務室に居た美女と美男が笑顔を向けていました。
 ふたりの名前は、マドゥレーヌとモアメッド。コストール子爵家の当主と、その夫です。

「モアメッドくん。『公』だけではなくて、『私』でも隣を歩いてくれませんか?」
「光栄でございます。わたくしめに、二つの道を進む栄誉をお与えください」

 様々な『当主としての仕事』を傍で支えてもらっているうちに、傍で支えているうちに、ふたりの心には特別な意識が芽生える。お互い相手に異性に対する好意を抱くようになっており、第3のスタートを切ってから四年後に――今から六年前に、コストール家と交流のある子爵家の養子となったモアメッドを迎える形で結婚。そのおよそ二年後に、長女ミントが誕生していたのでした。

「えへへぇ。どーいたしましてー」
「とっても素敵。大切にするわね」
「宝物にするよ」
「んっ。してくださーいっ!」

 白や赤や黄色や紫のお花で作った、可愛らしい花輪。ふたりは屈んでミントに載せてもらって微笑み、ミントはふたりの頭にちょこんと乗せて微笑み合います。

 ――ぽかぽか、ほんわか――。

 今のコストール子爵邸は、当時とは異なり温かく柔らかな雰囲気が漂っています。
 もちろん大変なこともありますが、そんな時はマドゥレーヌをモアメッドがしっかり支え、ミントが疲れた心を癒します。

 コストール家の長女マドゥレーヌ。
 かつては実父や継母や腹違いの妹や婚約者によって悲惨な目に遭いかけた彼女でしたが、咄嗟の一言と亡き母への想いによって、その人生は最高なものとなったのでした。

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