8年ぶりに再会した男の子は、スパダリになっていました

柚木ゆず

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第3話 目の前にいるのは ミーア視点(2)

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「自分が苦しい思いをしているから、せめて目の前の人には幸せになって欲しい。そのためなら自分へのダメージは厭わない。そんな風に考えられる人がいるなんて、信じられませんよね?」

 男の子くんは、真っすぐわたしの瞳を見つめました。懐かしさをたっぷりと宿した眼差しで。

「僕が同じ境遇なら他人の幸せなんて願う余裕はなく、それどころか不幸を願ってしまっていたでしょう。ですのであっという間に、そんな状況下で想ってくれた人を助けたいと思うようになったのですよ」
「…………男の子、くん……」
「その気持ちは父と母も同じでして、恩人の救出という僕達の第二の人生が始まって。何が何でも達成しないといけない目標があるため頭も身体も信じられないくらいに活性化されて、どうにか制限時間内に達成することができました」

 わたしが売られるのは、一番高値がつく10代後半。男の子くんたち、時間とも戦ってくれていました。

「できるなら直接当主ルウゴと交渉を行いたかったのですが、すでにロンダルール・ザファアという先客がいました。そこで相手をロンダルールへと変更して接触し、購入した権利を譲ってもらえることになったんですよ」
「あの方は、是が非でもわたしを手にしたいと言っていました。ですので、権利の移動なんて夢にも思いませんでした」
「ああいう輩への接し方は、心得があります。たった一回の交渉で、拍子抜けするくらいすんなりと手放してくれましたよ」

 きっと、余計な罪悪感などを抱かないようにしてくれているのでしょう。男の子くんはそう、さらっと仰りました。

「以上が、男の子くんがお迎えにあがり、貴方様が自由の身となった理由でございます。……ミーア様」
「は、はいっ。な、なんでしょうっ?」
「今日に至る過程も含め、すべては僕であり僕達が我が儘・・・で行ったものです。貴方様のような御方は思うところがあるとは思いますが、受け入れていただけないでしょうか?」
「…………そう言われてしまったら、何も言えませんね。承知いたしました」

『心配してくれて、ありがとうございます。わたしは、大丈夫ですから。我が儘を聞いてくれませんか?』

 わたしはあの日、我が儘を聞いてもらっています。聞いてもらったのなら、聞くしかありません。

「ありがとうございます。実はもう一つ聞いていただきたい我が儘がございまして、そちらの詳細は目的地に――ウチの屋敷に到着してからお伝えしたいと思います。それまで、昔話をいたしませんか?」
「よろこんでっ」

 8年前の出来事を一緒に振り返りたい気持ちがありますし、8年の間の出来事を知りたいという気持ちもありました。ですのでわたし達は馬車に揺られながら過去の話を始め、内容が内容だけにあっという間に時が過ぎていきました。

 体感1~2時間程度。

 実際は1日と半日近く経過しているにもかかわらず瞬く間に時間が流れていき、気が付くと馬車が停まっていて、目的地への到着を教えてくれたのでした。

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