8年ぶりに再会した男の子は、スパダリになっていました

柚木ゆず

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第4話 第二の人生 ミーア視点(5)

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((もしかして……。イサックは、わたしのために誘ってくれた……?))

 生まれて初めての夜更かしと、生まれて初めての深夜の間食。それらは密かな憧れで、両方ががすぐに叶うなんて偶然とは思えません。

((わたしはその話を、移動中にしています))

 お肌に悪影響だからと午後11時以降ベッドから出ることは許されませんでしたし、午後9時を過ぎてからの食事も許されませんでした。
 同世代の人が経験しているものを、出来ていない。長年強い憧れを抱いていて、そちらをイサックは知っています。

『これからどんどん、出来なかったことをやっていきましょう』

 その際に、そんな風に返してくれたイサックなら……。意図的にしてくれる、可能性は大いにあります。

((………………ぁ。そう、です。そうですっ! 意図的です!))

 再会してから嬉しいことがありすぎて、移動中にあったのあの会話をすっかり忘れていました。

『幼い頃はなかなか寝付けなくて、いつも叱られて大変でした。そのせいで途中から、午後の11時になったらひとりでに眠たくなるようになったんですよ』
『そうだったのですね。実は僕も、似たような経験をしているんですよ』
『え? そうなのですか……?』
『商売に遅刻は厳禁で、犯してしまえば一瞬で信頼を失くしてしまいます。その影響で気が付くと、絶対に遅刻しない体質になっていました。翌日仕事がある日は絶対に、起床予定時刻の7時間前には眠たくなるようになっているんです』

 絶対に。ということは今日の場合は、深夜0時には眠気が訪れていたはずです。
 なのに、誘ってきてくれた。
 それはきっと、興奮で眠れそうにないのを知って――。初めての場所で夜一人ぼっちにならないようにしてくれつつ、この機会を使って憧れを叶えてあげようと思ったから。

((たぶん、事実、なんですよね? イサック、わたしのためにありがとうございます))

 本当は、声に出してお伝えしたかった。
 ですがそうしてしまうと、せっかくの配慮を台無しにしています。なのでまずは心の中で感謝をお伝えして、

「? ミーア?」
「生まれて初めてしたのだと声に出していたら、遅れて実感が湧いて感動してしまっていました。今夜は――今夜も、とても楽しかったです。素敵な時間をありがとうございます」

 大事な部分には気付いていないフリをして、お礼を口にしました。

「こちらこそ、素敵な時間をありがとうございました。おかげさまでと気持ちよく眠れそうです」
「わたしもです」((幸せな夢も、見られそうです))

 声に出さなかった予想は、大正解でした。
 今日は沢山沢山皆さんの優しさに触れて、最後にこんな想いをいただいたからなのでしょう。虹の光に包まれながら空を自由に飛ぶという、心地の良い夢を見ることができたのでした。


 〇〇


 そんな風にミーアが幸せに包まれている頃、別の場所では――








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