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第8話 裏側 俯瞰視点
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「レアード、ご苦労だった。報告してくれ」
就任式が行われている会場。その隣にある控え室に入ると、その中央で跪いていた細身の男性に歩み寄りました。
「御意。……主(あるじ)を嗅ぎまわっていたくだんの者達5人は、先ほど全員が姿を消しました」
「なるほど。欲しい情報は充分に集まった、ということか」
『となると…………イサック達に何かしらの干渉をして、穴を埋めるしかないな。お前達っ、大急ぎであの馬車を追跡するのだ!! あの男の素性っ、財力や立ち位置を徹底的に調べ上げるのだ!!』
ミーアの元父ルウゴの指示で動いていた、ルファポール家の影。彼らは今日まで周囲で身を潜め、徹底的に情報を集めていたのでした。
「主、いかがなさいますか?」
「アレらは、僕が与えた情報しか集められていないだろう。全部届けられたとしても脅威にはならない。ルウゴ・ルファポールが新たなアクションを起こすまで放置する」
ルウゴは子爵家の歴史と地位を使って選りすぐりの人間を従えていて、実際に影である彼らは優秀な力を持っていました。
しかしながら――
『ミーア様救出のためには、二度とあのような失態を犯してはいけない。とにかく優秀な「目」を揃えましょう』
――イサックはあの日の教訓を活かしてお金に糸目をつけず、持てる力全てを使って影を用意しました。
そのため非貴族の身でありながら、影の力はサートラック家が圧倒的に上。それにより追跡は勿論のこと、雇い主の正体まで把握していたのでした。
「御意。……主はいかがお考えで?」
「あちらの性格性質を鑑みると、大人しくする、という可能性のはないだろう。少なくとも、あの日いただいたネックレスとイヤリングの請求をしにくるはずだ」
ルファポール家の誰かが、『森で会った少年=イサック』と推測しているはず。イサックはそう確信していて、9時の方向を――ミーアの祖国がある方角へと視線を動かしました。
「あの二つは持ち主の許可なしにいただいたもので、対価は支払うべきだと思っている。それだけなら穏便に済ませるのだけれど――。もしも違うやり方で接触してきたら、全力で歓迎するつもりだ。さて、どんな選択をしてくるのかな?」
就任式が行われている会場。その隣にある控え室に入ると、その中央で跪いていた細身の男性に歩み寄りました。
「御意。……主(あるじ)を嗅ぎまわっていたくだんの者達5人は、先ほど全員が姿を消しました」
「なるほど。欲しい情報は充分に集まった、ということか」
『となると…………イサック達に何かしらの干渉をして、穴を埋めるしかないな。お前達っ、大急ぎであの馬車を追跡するのだ!! あの男の素性っ、財力や立ち位置を徹底的に調べ上げるのだ!!』
ミーアの元父ルウゴの指示で動いていた、ルファポール家の影。彼らは今日まで周囲で身を潜め、徹底的に情報を集めていたのでした。
「主、いかがなさいますか?」
「アレらは、僕が与えた情報しか集められていないだろう。全部届けられたとしても脅威にはならない。ルウゴ・ルファポールが新たなアクションを起こすまで放置する」
ルウゴは子爵家の歴史と地位を使って選りすぐりの人間を従えていて、実際に影である彼らは優秀な力を持っていました。
しかしながら――
『ミーア様救出のためには、二度とあのような失態を犯してはいけない。とにかく優秀な「目」を揃えましょう』
――イサックはあの日の教訓を活かしてお金に糸目をつけず、持てる力全てを使って影を用意しました。
そのため非貴族の身でありながら、影の力はサートラック家が圧倒的に上。それにより追跡は勿論のこと、雇い主の正体まで把握していたのでした。
「御意。……主はいかがお考えで?」
「あちらの性格性質を鑑みると、大人しくする、という可能性のはないだろう。少なくとも、あの日いただいたネックレスとイヤリングの請求をしにくるはずだ」
ルファポール家の誰かが、『森で会った少年=イサック』と推測しているはず。イサックはそう確信していて、9時の方向を――ミーアの祖国がある方角へと視線を動かしました。
「あの二つは持ち主の許可なしにいただいたもので、対価は支払うべきだと思っている。それだけなら穏便に済ませるのだけれど――。もしも違うやり方で接触してきたら、全力で歓迎するつもりだ。さて、どんな選択をしてくるのかな?」
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