なんでも欲しがる妹が、姉の婚約者を奪おうとした結果

柚木ゆず

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第7話 6日後に行うこと 俯瞰視点

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「よかった。やっと、ローランス湖に行ける」

 サーラと夕食を共にして、ローズの部屋に食事を運んだ日の深夜。自室にある卓上カレンダーを眺め、フェリックスはふぅと息を吐きました。
 ローランス湖は彼らが暮らす屋敷から遠く、移動にかなりの時間を要してしまいます。そのため朝から自由に動ける日以外は難しく、ようやくその日になったら雨ばかり。今月中のデートは無理かと諦めかけていたましたが、仕事はなく、来週までは晴れ。やっと、条件が整っていたのでした。

「どうしても、6月にあの場で渡したかった。天気に感謝しないといけないね」

 窓から夜空を見上げていた彼は愛用のデスクに近寄り、2番目の引き出しから長方形のケースを取り出します。
 この中にあるのは、ダイヤのネックレス。
 ダイヤはサーラの誕生石であり、『永遠の愛』の石言葉を持つ宝石。


 ――これからもずっと、貴方を愛し続けます――。


 フェリックスはそんな想いを、告白とデートの聖地で伝えようとしていたのです。

「一度は諦めかけていた事だから、年甲斐もなくソワソワしてしまう。……6日後が、楽しみだ」

 フェリックスは、南東――サーラがいる方角に向き直り、幸せそうに微笑んだのでした。



 ちなみに――。
 同時刻。サーラの自室では、

「あっ。今、フェリックスさんが笑いかけてくださった気がします」

 サーラはフェリックスがいる方向を見て、同じように微笑んでいました。
 そして。ローズの自室では、

「ふふふ、ふふふふふっ。6日後が楽しみ……っ。待ち遠しいなぁ……っっ」

 ローズはフェリックスがいる方向に背中を向け、部屋の中央でピョンピョンと跳んでいました。
 来週彼女を待っているのは、想像とはまるで違うことだと知るよしもなく――。
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