なんでも欲しがる妹が、姉の婚約者を奪おうとした結果

柚木ゆず

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第9話 ローランス湖での悲劇 ローズ視点(3)

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((ごべどヴぉろぉらぼ――お、落ち着きなさいローズっ。落ち着くのよローズっ!))

 独りでに地球外言語を喋っていたあたしは、胸に手を当てて必死に混乱を抑え込む。
 冷静になって考えてみて、あたしっ。フェリックス兄さんは魅了がかかってて、『もちろんだよ。愛してるよ』と言った。これには深いワケがあるのよっ。

((この場でダイヤのネックレスを渡すことに、何らかの意味があるはず。場所は…………到底理解できそうにないから……。ダイヤの方について、考えてみよう))

 ダイヤといえば、宝石。宝石といえば、誕生石と石言葉。ここに、手掛かりがありそう。

((ええっと……。ダイヤは、何月の誕生石だったっけ……? 確か、ダイヤは……………………思い出したっ。4月の誕生石だ……))

 4月は、姉さんの誕生日がある月。わざわざ誕生月に合わせたものを、これから離縁する人が贈るとは思えない。

((う、ううんっ、その考えは間違いっ。大間違いっ。誕生月被りは偶々っ! 石言葉の方に意味があるんだよねっ!))

 ブンブン頭を振って、そっちについて考えるようにする。
 ダイヤの石言葉……。それは……。うーんと……。うーんと…………。うーんと………………。

「ふぇ、フェリックスさん……っ。こ、こちらは……っ」
「実は、こっそり用意してたんだ。ココで、君にもらって欲しくてね」


「そ、そう、だったのですね……っ」
「うん、そうなんだ。……それではこれから、『伝えたい事』をお伝えします。聞いてください」

 2人が何か喋ってたけど、頭をブンブン振ってたせいで聞こえなかった。
 聞き逃しちゃったって後悔しても、どうにもならないもんね。ダイヤの石言葉について、引き続き考える。

((こんな状況だから……。『別れ』?))

 では、なかったと思う。物分かりの悪い姉さんと縁が切れるように昔そういう石を探していて、該当したのは確か…………セレスタイト、っていう石。宝石には、そんな意味を持つものはなかった。

((ダイヤの石言葉、なんだったけ……?))

 宝石は大好きだけど、ダイヤは姉さんの誕生石だから嫌いだったんだよね。そのせいで忘れちゃってるみたいで、なかなか出てこない。

((えーっと……。えーっと…………。ダイヤは……。ダイヤの石言葉は…………………………ぁっ! 思い出した!! 『永遠の愛』だ…………))


 え い え ん の あ い。


 永遠の愛。英語でいえば、エターナルラブ。
 なんで英語で言ったのか自分でも分からないけど、とっ、とにかく!! あの人は姉さんに永遠の愛を誓う宝石を贈ってる!!

((なんで!? 意味わかんない!! あの人狂ってるの!? 理解できない!!))

 おもわず頭を掻きむしって、フェリックス兄さんを睨みつける。
 そうして、いたら――。

((もが…………))

 また独りでにおかしな言語が登場してしまう、意味わからなくって理解できないことが起きた。
 に、兄さんは……。兄さんは……。

「サーラ・ブランシュさん。これからもずっと、貴方を愛し続けます」

 姉さんに愛の言葉を伝えて、そ、そのあと……。そのあと、にね……。
 2人は、キスをしたの……………………。
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