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ナルバ山の遺跡編
episode108
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「メルヴィン、キューリさん、どこへ行っていたんですか」
2人が戻ってくると、ブルニタルが不機嫌そうに迎える。そして人数が増えていることに気づいて、メガネをクイッとかけ直した。
「すみません、ちょっと人を助けたもので」
メルヴィンは苦笑いして、抱えているファニーを軽く持ち上げ、顔でハドリーを示す。
「アタシの友達が2人、穴の中で縛られてたの!」
キュッリッキはハドリーの腕を掴んで引き寄せた。その様子を見て、ブルニタルは無言で頷く。眼鏡の奥の目がキラリと光り、ハドリーを値踏みするように観察していた。
メルヴィンは抱えていたファニーを、近くの壁際にそっと寝かせた。
「リッキーがここにいるってことは、あんたらライオン傭兵団だな」
ハドリーは淡々とした表情で、ブルニタルと向き合った。失礼な目に文句を言いたい気分だったが、説明の方だ先だ。
「助けてくれて礼を言う。オレたちは、アルケラ研究機関ケレヴィルの調査チーム代表シ・アティウスに雇われた、フリーの傭兵だ」
「代表の人はシ・アティウスというのですか」
「ああ」
「なるほど、話を進めてください」
ブルニタルがハドリーに先を促す。
「オレたちは普通にエグザイル・システムでアルイールへ飛んで、咎められることもなく、馬車でこの山まできた。研究者たちが調査をはじめて翌日すぐに、ソレル王国の軍人たちがやってきて、問答無用で研究者たちを全員拘束して連れて行っちまった」
「翌日すぐ、ですか…」
「ああ。抵抗もロクにできず、オレたちは縛り上げられて、あの穴の中へ放り込まれてしまった。情けねえけど」
ハドリーは複雑な表情で、親指で穴をクイッと指す。
シ・アティウスはここへは何度か来ていて、大掛かりな調査を開始しようと、研究者たちと護衛を引き連れて訪れたようだった。
調査を開始して半日ほどで、ハドリーはシ・アティウスから封書を渡され、首都アルイールへつかいに出された。封書は指定された人物に手渡した。それから寄り道せず、夜半に戻ってきても、研究者たちは灯りを消さずにずっと遺跡を調べ続けていた。
「その封書が例の報告書ですね」
経緯を全て聞き終わると、ブルニタルは神妙な顔で考え込んだ。
「ソレル王国の動きが、不審過ぎますねえ……」
アルケラ研究機関ケレヴィルは、世界的にも有名な組織だ。ハワドウレ皇国が背景についていて、所長は副宰相ベルトルドである。
シ・アティウスは正式な遺跡の調査許可書を持っていた。その書類にはどれも副宰相のハンコが押してある――シ・アティウスが勝手に押していった――効力のあるものなのだ。それに、ソレル王国はハワドウレ皇国の属国である。表面的には独立国としての体裁をしているが、副宰相ベルトルドが許可をしたのなら、絶対に順守せねばならない。
それなのに、問答無用で連れ去るとは、何やら雲行きが怪しい話になってきていた。
「エグザイル・システムのようなものが関係しているのでしょう。一度確認してから、ベルトルド氏に報告しなくては」
「ですね。ハドリーさん、この遺跡で見つかったエグザイル・システムのようなもののある場所はどこですか?」
「その神殿の中の最奥にある。オレも研究者の護衛のために一度中に入ったけど、仕掛けやらはなにもなかったな」
「判りました。すみませんが、案内をお願いできますか?」
「了解」
「では、行きましょうみなさん」
2人が戻ってくると、ブルニタルが不機嫌そうに迎える。そして人数が増えていることに気づいて、メガネをクイッとかけ直した。
「すみません、ちょっと人を助けたもので」
メルヴィンは苦笑いして、抱えているファニーを軽く持ち上げ、顔でハドリーを示す。
「アタシの友達が2人、穴の中で縛られてたの!」
キュッリッキはハドリーの腕を掴んで引き寄せた。その様子を見て、ブルニタルは無言で頷く。眼鏡の奥の目がキラリと光り、ハドリーを値踏みするように観察していた。
メルヴィンは抱えていたファニーを、近くの壁際にそっと寝かせた。
「リッキーがここにいるってことは、あんたらライオン傭兵団だな」
ハドリーは淡々とした表情で、ブルニタルと向き合った。失礼な目に文句を言いたい気分だったが、説明の方だ先だ。
「助けてくれて礼を言う。オレたちは、アルケラ研究機関ケレヴィルの調査チーム代表シ・アティウスに雇われた、フリーの傭兵だ」
「代表の人はシ・アティウスというのですか」
「ああ」
「なるほど、話を進めてください」
ブルニタルがハドリーに先を促す。
「オレたちは普通にエグザイル・システムでアルイールへ飛んで、咎められることもなく、馬車でこの山まできた。研究者たちが調査をはじめて翌日すぐに、ソレル王国の軍人たちがやってきて、問答無用で研究者たちを全員拘束して連れて行っちまった」
「翌日すぐ、ですか…」
「ああ。抵抗もロクにできず、オレたちは縛り上げられて、あの穴の中へ放り込まれてしまった。情けねえけど」
ハドリーは複雑な表情で、親指で穴をクイッと指す。
シ・アティウスはここへは何度か来ていて、大掛かりな調査を開始しようと、研究者たちと護衛を引き連れて訪れたようだった。
調査を開始して半日ほどで、ハドリーはシ・アティウスから封書を渡され、首都アルイールへつかいに出された。封書は指定された人物に手渡した。それから寄り道せず、夜半に戻ってきても、研究者たちは灯りを消さずにずっと遺跡を調べ続けていた。
「その封書が例の報告書ですね」
経緯を全て聞き終わると、ブルニタルは神妙な顔で考え込んだ。
「ソレル王国の動きが、不審過ぎますねえ……」
アルケラ研究機関ケレヴィルは、世界的にも有名な組織だ。ハワドウレ皇国が背景についていて、所長は副宰相ベルトルドである。
シ・アティウスは正式な遺跡の調査許可書を持っていた。その書類にはどれも副宰相のハンコが押してある――シ・アティウスが勝手に押していった――効力のあるものなのだ。それに、ソレル王国はハワドウレ皇国の属国である。表面的には独立国としての体裁をしているが、副宰相ベルトルドが許可をしたのなら、絶対に順守せねばならない。
それなのに、問答無用で連れ去るとは、何やら雲行きが怪しい話になってきていた。
「エグザイル・システムのようなものが関係しているのでしょう。一度確認してから、ベルトルド氏に報告しなくては」
「ですね。ハドリーさん、この遺跡で見つかったエグザイル・システムのようなもののある場所はどこですか?」
「その神殿の中の最奥にある。オレも研究者の護衛のために一度中に入ったけど、仕掛けやらはなにもなかったな」
「判りました。すみませんが、案内をお願いできますか?」
「了解」
「では、行きましょうみなさん」
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