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混迷の遺跡編
episode129
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「なんだか急に、賑やかになったわね…」
ファニーは傍らのハドリーにそっと囁く。無言で相槌を打つと、ハドリーは遺跡の中を見渡した。
突如ソレル王国兵に捕らえられ連行されてしまった、ハワドウレ皇国のケレヴィル研究者たちを救出するため、副宰相の命令で送り込まれてきたというライオン傭兵団。たった一日で作戦を成功させ、今こうして団員全てが集結している。戦闘員は一人で一個大隊・一個師団級の戦闘力をほこると噂されていた。
装備、武器など、パッと見ただけでも、相当の品だと判る。その上チートスキル〈才能〉者だらけときた。魔法やサイ《超能力》を持つ者たちが、しかも高ランクが一つところに集まるなど非常に稀だ。
ライオン傭兵団は全ての傭兵たちにとって憧れであり、嫉妬の対象でもあるのだ。
そんな連中の所に、親友のキュッリッキが入った。
元々フリーでチマチマ稼ぐには、勿体無いスキル〈才能〉の持ち主なのだ。本来なら国に召し上げられるほどの、貴重なスキル〈才能〉である。
しかし当人はそれについては全く意識しておらず、仕事は選ばず依頼があれば受け、小さい傭兵団でも期間限定雇用でもなんでも入っていった。それは友人であるファニーの影響が強いせいもあったし、キュッリッキは自分が特別なスキル〈才能〉を持つ存在だという意識がまるでないからだ。
ようやくそのスキル〈才能〉に相応しい場所に入れたのかと安堵して、ハドリーはつい親のような気持ちになってしまい苦笑する。
盛り上がっていた彼らは、今は幾つかの輪を作って談笑している。所在無げにファニーと隅に座って眺めていたハドリーのところへ、ルーファスが笑顔で歩いてきた。
「やあ、キミたち、キューリちゃんの友達なんだってね」
「ああ」
「それにしてもさっ」
ルーファスは素早くファニーの隣に座ると、すかさず擦り寄り強引に手を取って握る。そのあまりにも唐突な行動に、ファニーはビックリした顔を向けた。
「ファニーちゃんって言ったっけ、こんな可愛い子を縛って窖に放り込んでおくとか、ソレル王国兵も酷いことするよねー」
「そ、そうね」
「ねね、どこに住んでるの? 仕事終わったら飲みに行かない? オレ凄くイイ店知ってるんだよね~」
「えっと…」
顔を近づけてきて囁くように言うルーファスを、ファニーは顔を引きつらせながら少しずつ避ける。ハドリーは素知らぬ顔で明後日の方向を向いていた。
キュッリッキほどの美人ではないが、大きい目と愛らしい顔立ちに、ボンッと大きな胸で、ファニーもかなりモテるのだ。
ルーファスは申し分のないハンサム顔なのだが、ハドリーだけは知っている。
(コイツの好みじゃねーんだよな…)
それをはっきり言うわけにもいかず、ハドリーはヤレヤレと内心で溜息をついた。
一方キュッリッキはその様子を遠巻きに見ながら、少しふくれっ面になった。
(ファニーがちょっとくらい胸おっきいからって……)
ルーファスは巨乳専と豪語するだけあって目敏い。ファニーに目を留めると、すぐにちょっかいを出し始めている。ファニーにちょっかいを出すのは全然良いけれど、キュッリッキには顔を見るなり、頭をクシャクシャと撫で回して褒めるだけ。殆ど子供扱いに等しい。
ファニーはキュッリッキより3つ年上だが、その扱われ方の差に、なんだか酷く不満があるのだった。
ファニーは傍らのハドリーにそっと囁く。無言で相槌を打つと、ハドリーは遺跡の中を見渡した。
突如ソレル王国兵に捕らえられ連行されてしまった、ハワドウレ皇国のケレヴィル研究者たちを救出するため、副宰相の命令で送り込まれてきたというライオン傭兵団。たった一日で作戦を成功させ、今こうして団員全てが集結している。戦闘員は一人で一個大隊・一個師団級の戦闘力をほこると噂されていた。
装備、武器など、パッと見ただけでも、相当の品だと判る。その上チートスキル〈才能〉者だらけときた。魔法やサイ《超能力》を持つ者たちが、しかも高ランクが一つところに集まるなど非常に稀だ。
ライオン傭兵団は全ての傭兵たちにとって憧れであり、嫉妬の対象でもあるのだ。
そんな連中の所に、親友のキュッリッキが入った。
元々フリーでチマチマ稼ぐには、勿体無いスキル〈才能〉の持ち主なのだ。本来なら国に召し上げられるほどの、貴重なスキル〈才能〉である。
しかし当人はそれについては全く意識しておらず、仕事は選ばず依頼があれば受け、小さい傭兵団でも期間限定雇用でもなんでも入っていった。それは友人であるファニーの影響が強いせいもあったし、キュッリッキは自分が特別なスキル〈才能〉を持つ存在だという意識がまるでないからだ。
ようやくそのスキル〈才能〉に相応しい場所に入れたのかと安堵して、ハドリーはつい親のような気持ちになってしまい苦笑する。
盛り上がっていた彼らは、今は幾つかの輪を作って談笑している。所在無げにファニーと隅に座って眺めていたハドリーのところへ、ルーファスが笑顔で歩いてきた。
「やあ、キミたち、キューリちゃんの友達なんだってね」
「ああ」
「それにしてもさっ」
ルーファスは素早くファニーの隣に座ると、すかさず擦り寄り強引に手を取って握る。そのあまりにも唐突な行動に、ファニーはビックリした顔を向けた。
「ファニーちゃんって言ったっけ、こんな可愛い子を縛って窖に放り込んでおくとか、ソレル王国兵も酷いことするよねー」
「そ、そうね」
「ねね、どこに住んでるの? 仕事終わったら飲みに行かない? オレ凄くイイ店知ってるんだよね~」
「えっと…」
顔を近づけてきて囁くように言うルーファスを、ファニーは顔を引きつらせながら少しずつ避ける。ハドリーは素知らぬ顔で明後日の方向を向いていた。
キュッリッキほどの美人ではないが、大きい目と愛らしい顔立ちに、ボンッと大きな胸で、ファニーもかなりモテるのだ。
ルーファスは申し分のないハンサム顔なのだが、ハドリーだけは知っている。
(コイツの好みじゃねーんだよな…)
それをはっきり言うわけにもいかず、ハドリーはヤレヤレと内心で溜息をついた。
一方キュッリッキはその様子を遠巻きに見ながら、少しふくれっ面になった。
(ファニーがちょっとくらい胸おっきいからって……)
ルーファスは巨乳専と豪語するだけあって目敏い。ファニーに目を留めると、すぐにちょっかいを出し始めている。ファニーにちょっかいを出すのは全然良いけれど、キュッリッキには顔を見るなり、頭をクシャクシャと撫で回して褒めるだけ。殆ど子供扱いに等しい。
ファニーはキュッリッキより3つ年上だが、その扱われ方の差に、なんだか酷く不満があるのだった。
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