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エルアーラ遺跡編
episode400
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「遺跡へはまず、俺とアルカネットが先に入る。リッキーに合図を送るから、そしたら貴様たちは正面から堂々と遺跡に入れ」
風にマントをなびかせながら、ベルトルドは腕を組んで立ったまま、正面をじっと見ている。
鳥は高度千メートル付近を静かに飛んでいた。背からずり落ちないよう、皆自然と中央に集まって座っている。遮るものが何もないから、直接風が吹き付けるので、シビルやハーマンなど油断すると風に攫われそうだ。
「エルアーラ遺跡って、具体的にはどんな遺跡なんですか? 外観写真を一度見たことがあるんですが、どうみても何もない、真っ黒な地面に四角い穴があいてるだけとしか……」
短い脚を伸ばして座っているシビルが、顎に指を当てて考え込む。公式に出回っているエルアーラ遺跡の写真はそれのみで、中の写真やデータは一切公表されていない。
「遺跡は地中に全て埋まっている。四角い穴は、いかにも風に人工で開けた入口だ」
「ほほお……」
いかにも風、というところがいかがわしすぎた。
「とにかくな、デカイ。このモナルダ大陸の三分の一の地中は、全てエルアーラ遺跡と思っていい」
「なんだってえええええ!?」と驚くライオン傭兵団の声が、青空に響き渡る。キュッリッキは思わず、下を覗き込んでしまったくらいの衝撃の事実だ。
「さまよい過ぎて迷子になるなよ? 探すのも大変だからな。――ていうか、迷ったらリッキー以外はほっとく」
「どんだけ広いんですかそれ……ていうか、オレ達も助けて下さいって」
ルーファスは腕を組みながら想像を広げる。しかしさっぱり思い浮かばなかった。
「それから注意してもらいたいのが、遺跡内の自動防衛システムです」
キュッリッキの真後ろに座りながら、アルカネットが一同を見渡す。
「遺跡の内部はハーメンリンナにあるような、近未来的な設備が整っています。恐らくソレル国王たちは、その全てを把握し、掌握しきれていないでしょう。中はとにかく広いのです。私たちでも管理しきれていない部分が、多々ありますから」
「超古代文明の遺物だ。俺たちのいるこの時代の文明よりも、遥かに高度な文明だったそうだからな。ケレヴィルの連中もまだ、調査開拓出来ていないエリアもある」
アルカネットの説明を受け、ベルトルドが補足した。
ハワドウレ皇国の皇都イララクスにあるハーメンリンナは、巨大な城壁に囲まれた街である。街の機能は、超古代文明の遺跡を改築して使っているのだ。
今から1万年前の昔を、超古代文明と呼び表している。
ハーメンリンナにあるゴンドラシステムも、城壁の壁面を覆う温度調節機も、電気もカメラも映像伝達技術も何もかもが、超古代文明の遺物を発掘して使っていた。そして世界各地にある転送装置エグザイル・システムもまた、超古代文明の遺物なのではないか、とも言われていた。もっともエグザイル・システムに関してのみ、断定は出来ないという研究者も多かった。
機械工学のスキル〈才能〉を持つ研究者たちにより、そうした超古代文明の技術を解明研究し、復活させて利用している。それらの遺物は、現在の技術では到底作り出せないものばかりだという。
1万年前に世界は一度滅び、9千年の空白の時を経て、およそ千年前から今の時代に繋がり、あらゆる事柄が伝えられるようになったと歴史学者などは公表していた。
風にマントをなびかせながら、ベルトルドは腕を組んで立ったまま、正面をじっと見ている。
鳥は高度千メートル付近を静かに飛んでいた。背からずり落ちないよう、皆自然と中央に集まって座っている。遮るものが何もないから、直接風が吹き付けるので、シビルやハーマンなど油断すると風に攫われそうだ。
「エルアーラ遺跡って、具体的にはどんな遺跡なんですか? 外観写真を一度見たことがあるんですが、どうみても何もない、真っ黒な地面に四角い穴があいてるだけとしか……」
短い脚を伸ばして座っているシビルが、顎に指を当てて考え込む。公式に出回っているエルアーラ遺跡の写真はそれのみで、中の写真やデータは一切公表されていない。
「遺跡は地中に全て埋まっている。四角い穴は、いかにも風に人工で開けた入口だ」
「ほほお……」
いかにも風、というところがいかがわしすぎた。
「とにかくな、デカイ。このモナルダ大陸の三分の一の地中は、全てエルアーラ遺跡と思っていい」
「なんだってえええええ!?」と驚くライオン傭兵団の声が、青空に響き渡る。キュッリッキは思わず、下を覗き込んでしまったくらいの衝撃の事実だ。
「さまよい過ぎて迷子になるなよ? 探すのも大変だからな。――ていうか、迷ったらリッキー以外はほっとく」
「どんだけ広いんですかそれ……ていうか、オレ達も助けて下さいって」
ルーファスは腕を組みながら想像を広げる。しかしさっぱり思い浮かばなかった。
「それから注意してもらいたいのが、遺跡内の自動防衛システムです」
キュッリッキの真後ろに座りながら、アルカネットが一同を見渡す。
「遺跡の内部はハーメンリンナにあるような、近未来的な設備が整っています。恐らくソレル国王たちは、その全てを把握し、掌握しきれていないでしょう。中はとにかく広いのです。私たちでも管理しきれていない部分が、多々ありますから」
「超古代文明の遺物だ。俺たちのいるこの時代の文明よりも、遥かに高度な文明だったそうだからな。ケレヴィルの連中もまだ、調査開拓出来ていないエリアもある」
アルカネットの説明を受け、ベルトルドが補足した。
ハワドウレ皇国の皇都イララクスにあるハーメンリンナは、巨大な城壁に囲まれた街である。街の機能は、超古代文明の遺跡を改築して使っているのだ。
今から1万年前の昔を、超古代文明と呼び表している。
ハーメンリンナにあるゴンドラシステムも、城壁の壁面を覆う温度調節機も、電気もカメラも映像伝達技術も何もかもが、超古代文明の遺物を発掘して使っていた。そして世界各地にある転送装置エグザイル・システムもまた、超古代文明の遺物なのではないか、とも言われていた。もっともエグザイル・システムに関してのみ、断定は出来ないという研究者も多かった。
機械工学のスキル〈才能〉を持つ研究者たちにより、そうした超古代文明の技術を解明研究し、復活させて利用している。それらの遺物は、現在の技術では到底作り出せないものばかりだという。
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