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エルアーラ遺跡編
episode414
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ソレル国王は暫く考えるふうな表情を浮かべたが、やがておとなしく椅子に座った。この男の話がどれくらい長くなるのか判らなかったし、杖をつくほど弱い身体には、立ち続けるのは辛かった。しかしソレル国王は座してなお、王としての威厳を保った。
ソレル国王の様子を見て、ベルトルドは小さく苦笑する。
「いまから約1万年前、この世界の文明は極めて高度であり、各惑星には種族統一国家が君臨していた。ヴィプネン族の統一国家、その名も神王国ソレル。ヤルヴィレフトという王家により支配されていた。今のような属国は存在せず、理想的な統一国家を形成していたそうだな。自由都市も、離反した小国もない」
今のソレル王国の首都アルイールの場所に、神王国ソレルの王都ブレイダブリクは在った。惑星ヒイシにおける世界の中心は、モナルダ大陸にあったのだ。
モナルダ大陸をはじめとする、他の大陸や群島などすべて神王国ソレルの領土であり、すみずみまで完璧なまでに治められていたという。
「好奇心旺盛なヴィプネン族としては、よくまとまり支配されていたそうだが、どうしてもアイオン族やトゥーリ族とは、戦争が耐えなかったそうだな」
他種族であるアイオン族やトゥーリ族とは、ことあるごとに戦争を繰り返していた。
「戦争の原因はすべて、神々の世界アルケラが関係していたとか。神の力を求めて先を争うようにして戦火を広げていたと、そう伝えられている」
「そのようなことまで……」
「教科書には載っていないがな」
クスッとベルトルドは笑った。
「今では伝説の存在として、人々の記憶からも薄れているアルケラの存在を、1万年前の世界では、当たり前のように認知していたらしいな。――敬虔なことだが、欲深すぎる」
信じ敬いながらも、神の力を我がものとするために戦争を起こす。そんな人間の浅ましい欲求を、神々はどう思い、感じていたのだろうか。「俺なら呆れ果ててシカトする」とベルトルドは青灰色の瞳に軽蔑の光を浮かべた。
「実際は戦争の原因の真実は違うようだが…。――ヤルヴィレフト王家は戦況を打開、いや、先手を打つためあるものの建造に取り組んだ。それがこの遺跡エルアーラ、正式名称をフリングホルニと言う」
ソレル国王の両眼が大きく見開かれた。
「全く、呆れるくらいの大きさだ。巨大などと一言では片付けられない規模だ。どのくらいの年月がかかったかは知らないが、フリングホルニの建造は終わっている。しかし動力炉の設置にまでは至ってない」
ベルトルドは切れ長の目で、真っ直ぐソレル国王を見つめた。
「ナルバ山のレディトゥス・システム、あれがこのフリングホルニの動力になる装置だ」
ガツッと杖の先端を床に叩きつけ、勢い込んでソレル国王は立ち上がった。
「一体どこまで掴んでおる! 知りすぎている貴様は!!」
「そお?」
すっとぼけた表情で、ベルトルドは小首をかしげた。
「10年前にここを俺の部下が発見して以来、ケレヴィルの連中に色々調査させているからなあ。10年も提出される報告書を読んでいるから、色々知ってて当たり前だ」
アルケラ研究機関ケレヴィルの所長も兼任してるし俺、とベルトルドは深く頷いた。
ソレル国王の様子を見て、ベルトルドは小さく苦笑する。
「いまから約1万年前、この世界の文明は極めて高度であり、各惑星には種族統一国家が君臨していた。ヴィプネン族の統一国家、その名も神王国ソレル。ヤルヴィレフトという王家により支配されていた。今のような属国は存在せず、理想的な統一国家を形成していたそうだな。自由都市も、離反した小国もない」
今のソレル王国の首都アルイールの場所に、神王国ソレルの王都ブレイダブリクは在った。惑星ヒイシにおける世界の中心は、モナルダ大陸にあったのだ。
モナルダ大陸をはじめとする、他の大陸や群島などすべて神王国ソレルの領土であり、すみずみまで完璧なまでに治められていたという。
「好奇心旺盛なヴィプネン族としては、よくまとまり支配されていたそうだが、どうしてもアイオン族やトゥーリ族とは、戦争が耐えなかったそうだな」
他種族であるアイオン族やトゥーリ族とは、ことあるごとに戦争を繰り返していた。
「戦争の原因はすべて、神々の世界アルケラが関係していたとか。神の力を求めて先を争うようにして戦火を広げていたと、そう伝えられている」
「そのようなことまで……」
「教科書には載っていないがな」
クスッとベルトルドは笑った。
「今では伝説の存在として、人々の記憶からも薄れているアルケラの存在を、1万年前の世界では、当たり前のように認知していたらしいな。――敬虔なことだが、欲深すぎる」
信じ敬いながらも、神の力を我がものとするために戦争を起こす。そんな人間の浅ましい欲求を、神々はどう思い、感じていたのだろうか。「俺なら呆れ果ててシカトする」とベルトルドは青灰色の瞳に軽蔑の光を浮かべた。
「実際は戦争の原因の真実は違うようだが…。――ヤルヴィレフト王家は戦況を打開、いや、先手を打つためあるものの建造に取り組んだ。それがこの遺跡エルアーラ、正式名称をフリングホルニと言う」
ソレル国王の両眼が大きく見開かれた。
「全く、呆れるくらいの大きさだ。巨大などと一言では片付けられない規模だ。どのくらいの年月がかかったかは知らないが、フリングホルニの建造は終わっている。しかし動力炉の設置にまでは至ってない」
ベルトルドは切れ長の目で、真っ直ぐソレル国王を見つめた。
「ナルバ山のレディトゥス・システム、あれがこのフリングホルニの動力になる装置だ」
ガツッと杖の先端を床に叩きつけ、勢い込んでソレル国王は立ち上がった。
「一体どこまで掴んでおる! 知りすぎている貴様は!!」
「そお?」
すっとぼけた表情で、ベルトルドは小首をかしげた。
「10年前にここを俺の部下が発見して以来、ケレヴィルの連中に色々調査させているからなあ。10年も提出される報告書を読んでいるから、色々知ってて当たり前だ」
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