2 / 8
二話
しおりを挟む
「俺のことを思い出したならいいですよね?」
「私、まだ藤堂さんに不信感しかな……」
「それはこれから挽回しますから。だから結婚しましょう。必ず幸せにしますから」
「だからの意味おかしくないですか!?」
私がノーという前に話はどんどん進んでいき、私は今のアパートを引っ越すこととなった。
『千夏さん好みの男になったから…だから千夏さんの前に現れたんです』って、藤堂さんは言ってたけど、私が専業主婦になっても養っていける仕事ってなんなの? 6年前はバイトどころか生きていくのもやっとなホームレスだったのに……。
偶然、再会を果たしたものの、このまま流れに身を任せていいのだろうか。もしかして私、危険な人と結婚するんじゃ……。
◇ ◇ ◇
「今日からここが俺と千夏さんの家ですよ」
「タマワンの最上階って……」
私が連れてこられたのは45階建てのタワーマンション。しかも最上階。保育士の私じゃ、一生かかっても住めない。最上階って家賃いくらするんだろう? 月100万とか? なんてことを考えていたら、
「ここが俺と千夏の愛の巣って思ったら俺、興奮してきちゃった」
「なっ……」
後ろから抱きしめられた。嫌じゃない。けして嫌じゃないけど、今の発言はギリギリアウト。
「それよりも説明して。藤堂さん、貴方は一体何者なの?」
「そういえば説明してなかったね……」
首を傾げ、何かを考えている藤堂さん。私を養えるくらいの仕事ってことはもしかして…と、裏の仕事だったり怪しいのを想像してしまった。藤堂さんに限って、それはないと信じたい。
「千夏さんはその……化粧品とか買ったりする?」
「え? う~ん。ここ2~3年は面倒になって夜のケアくらいしかしてない」
「そっか」
「?」
そういうなり私の顔をジロジロ見ている藤堂さん。え? なに? もしかして肌荒れしてるとか? 異性に会わなすぎて油断してたけど、今は最低限のメイクもしてないし。せめて色付きリップくらいつけておくべきだったかな?
「千夏さんは6年前に出会った頃と変わらず、今も綺麗なままだよ」
「あ、ありがとうございます」
褒められて思わず照れてしまった。私が考えてるのは杞憂だったと安堵の声を漏らす。
「ちなみに藤堂ブランドって聞いたことないかな?」
「有名ですよね。私の友人も使ってます。でもブランドだから私には買えなくて……」
「千夏さんになら無料でプレゼントするよ」
「へ!? 悪いですよ。って、なんで藤堂さんが持ってるんですか?」
私は確証が持てなかったのか、我ながら馬鹿な質問をしてしまった。
「俺が藤堂ブランドの社長だから。これで質問の答えになるかな?」
「え? え?」
「名字で気付かれるかと思ってたんだけど、千夏さんは化粧品買わないって言ってたから。なら、俺のことも知らなくて当たり前だし」
「す、すみません!」
「なんで謝るの?」
「だって社長に触るなとか失礼な態度取ったから」
同じ会社だったら即クビレベルでヤバいことしてるじゃん。っていうかなんで気付かなかったのよ、私の馬鹿!
6年前がホームレスで今が藤堂化粧品の社長になるなんて予想つかないし。私なんかよりも出世してる……。それなら45階建ての最上階に住んでるのも納得。
「それは俺が悪いので気にしてません。俺こそ急にいなくなって、すみません」
「っ……」
「千夏さんがカッコいいと思えるような男性になるために俺も必死だったんです。社長になった今なら千夏さんと釣り合えると思って、結婚の話をしました」
「釣り合えるどころか、むしろ私のほうが下だし……」
いつまでもスーパーのバイトじゃ生活できないと思って必死に勉強して、国家資格である保育士資格をとって、保育士になったけど…。私が本気で努力しても藤堂さんみたいにはなれない。そりゃあ保育士の勉強も難しかったけど。
「保育士だって立派なお仕事ですよ。千夏さん頑張りましたね。遅くなりましたが、おめでとうございます」
そういって頭を撫でられた。
「ありがとうございます」
「千夏さん」
「なんですか?」
「このまま千夏さんを抱いてもいいですか?」
「えっ?」
聞き間違いだろうか。いや、幻聴にしておくには勿体ない。
「俺のことは許さなくてもいいです。けれど、千夏さんに再会して、今日から一緒に暮らせると思ったら今すぐ抱きたくなって」
「い、いいですよ」
「ほんと?」
「……うん」
「ありがとう千夏」
「ちょ……!」
そのままベッドのほうまでお姫様抱っこされた。
「自分で歩けるからっ」
「ダメ。俺がベッドまで連れていきたいんだ」
「っ……」
全てを許したわけじゃない。私は藤堂さんが突然消えて本当に悲しかった。いつも寂しくて、しばらく夜は毎日のように泣いた。いつか必ず帰ってくると信じて、自分のアパートで待ち続けた。それでも藤堂さんは帰ってくることはなくて。
6年ぶりに再会したと思ったらスパダリ社長になって帰ってくるんだもん。誰だって普通は驚くでしょう?
本音でいえば再会できて嬉しい。なんなら、また一緒に住めるって聞いて、正直なところ飛び上がるほどテンションは上がっている。だけど、どうしても過去の寂しさが邪魔をする。再会して同棲するだけじゃ私の寂しさは埋まらない。だから、もっと私を求めてほしい。
「私、まだ藤堂さんに不信感しかな……」
「それはこれから挽回しますから。だから結婚しましょう。必ず幸せにしますから」
「だからの意味おかしくないですか!?」
私がノーという前に話はどんどん進んでいき、私は今のアパートを引っ越すこととなった。
『千夏さん好みの男になったから…だから千夏さんの前に現れたんです』って、藤堂さんは言ってたけど、私が専業主婦になっても養っていける仕事ってなんなの? 6年前はバイトどころか生きていくのもやっとなホームレスだったのに……。
偶然、再会を果たしたものの、このまま流れに身を任せていいのだろうか。もしかして私、危険な人と結婚するんじゃ……。
◇ ◇ ◇
「今日からここが俺と千夏さんの家ですよ」
「タマワンの最上階って……」
私が連れてこられたのは45階建てのタワーマンション。しかも最上階。保育士の私じゃ、一生かかっても住めない。最上階って家賃いくらするんだろう? 月100万とか? なんてことを考えていたら、
「ここが俺と千夏の愛の巣って思ったら俺、興奮してきちゃった」
「なっ……」
後ろから抱きしめられた。嫌じゃない。けして嫌じゃないけど、今の発言はギリギリアウト。
「それよりも説明して。藤堂さん、貴方は一体何者なの?」
「そういえば説明してなかったね……」
首を傾げ、何かを考えている藤堂さん。私を養えるくらいの仕事ってことはもしかして…と、裏の仕事だったり怪しいのを想像してしまった。藤堂さんに限って、それはないと信じたい。
「千夏さんはその……化粧品とか買ったりする?」
「え? う~ん。ここ2~3年は面倒になって夜のケアくらいしかしてない」
「そっか」
「?」
そういうなり私の顔をジロジロ見ている藤堂さん。え? なに? もしかして肌荒れしてるとか? 異性に会わなすぎて油断してたけど、今は最低限のメイクもしてないし。せめて色付きリップくらいつけておくべきだったかな?
「千夏さんは6年前に出会った頃と変わらず、今も綺麗なままだよ」
「あ、ありがとうございます」
褒められて思わず照れてしまった。私が考えてるのは杞憂だったと安堵の声を漏らす。
「ちなみに藤堂ブランドって聞いたことないかな?」
「有名ですよね。私の友人も使ってます。でもブランドだから私には買えなくて……」
「千夏さんになら無料でプレゼントするよ」
「へ!? 悪いですよ。って、なんで藤堂さんが持ってるんですか?」
私は確証が持てなかったのか、我ながら馬鹿な質問をしてしまった。
「俺が藤堂ブランドの社長だから。これで質問の答えになるかな?」
「え? え?」
「名字で気付かれるかと思ってたんだけど、千夏さんは化粧品買わないって言ってたから。なら、俺のことも知らなくて当たり前だし」
「す、すみません!」
「なんで謝るの?」
「だって社長に触るなとか失礼な態度取ったから」
同じ会社だったら即クビレベルでヤバいことしてるじゃん。っていうかなんで気付かなかったのよ、私の馬鹿!
6年前がホームレスで今が藤堂化粧品の社長になるなんて予想つかないし。私なんかよりも出世してる……。それなら45階建ての最上階に住んでるのも納得。
「それは俺が悪いので気にしてません。俺こそ急にいなくなって、すみません」
「っ……」
「千夏さんがカッコいいと思えるような男性になるために俺も必死だったんです。社長になった今なら千夏さんと釣り合えると思って、結婚の話をしました」
「釣り合えるどころか、むしろ私のほうが下だし……」
いつまでもスーパーのバイトじゃ生活できないと思って必死に勉強して、国家資格である保育士資格をとって、保育士になったけど…。私が本気で努力しても藤堂さんみたいにはなれない。そりゃあ保育士の勉強も難しかったけど。
「保育士だって立派なお仕事ですよ。千夏さん頑張りましたね。遅くなりましたが、おめでとうございます」
そういって頭を撫でられた。
「ありがとうございます」
「千夏さん」
「なんですか?」
「このまま千夏さんを抱いてもいいですか?」
「えっ?」
聞き間違いだろうか。いや、幻聴にしておくには勿体ない。
「俺のことは許さなくてもいいです。けれど、千夏さんに再会して、今日から一緒に暮らせると思ったら今すぐ抱きたくなって」
「い、いいですよ」
「ほんと?」
「……うん」
「ありがとう千夏」
「ちょ……!」
そのままベッドのほうまでお姫様抱っこされた。
「自分で歩けるからっ」
「ダメ。俺がベッドまで連れていきたいんだ」
「っ……」
全てを許したわけじゃない。私は藤堂さんが突然消えて本当に悲しかった。いつも寂しくて、しばらく夜は毎日のように泣いた。いつか必ず帰ってくると信じて、自分のアパートで待ち続けた。それでも藤堂さんは帰ってくることはなくて。
6年ぶりに再会したと思ったらスパダリ社長になって帰ってくるんだもん。誰だって普通は驚くでしょう?
本音でいえば再会できて嬉しい。なんなら、また一緒に住めるって聞いて、正直なところ飛び上がるほどテンションは上がっている。だけど、どうしても過去の寂しさが邪魔をする。再会して同棲するだけじゃ私の寂しさは埋まらない。だから、もっと私を求めてほしい。
18
あなたにおすすめの小説
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
妖狐の嫁入り
山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」
稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。
ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。
彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。
帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。
自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!
&
苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る!
明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。
可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ!
※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
不能と噂される皇帝の後宮に放り込まれた姫は恩返しをする
矢野りと
恋愛
不能と噂される隣国の皇帝の後宮に、牛100頭と交換で送り込まれた貧乏小国の姫。
『なんでですか!せめて牛150頭と交換してほしかったですー』と叫んでいる。
『フンガァッ』と鼻息荒く女達の戦いの場に勢い込んで来てみれば、そこはまったりパラダイスだった…。
『なんか悪いですわね~♪』と三食昼寝付き生活を満喫する姫は自分の特技を活かして皇帝に恩返しすることに。
不能?な皇帝と勘違い姫の恋の行方はどうなるのか。
※設定はゆるいです。
※たくさん笑ってください♪
※お気に入り登録、感想有り難うございます♪執筆の励みにしております!
男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
百門一新
恋愛
男装の獣師ラビィは『黒大狼のノエル』と暮らしている。彼は、普通の人間には見えない『妖獣』というモノだった。動物と話せる能力を持っている彼女は、幼馴染で副隊長セドリックの兄、総隊長のせいで第三騎士団の専属獣師になることに…!?
「ノエルが他の人にも見えるようになる……?」
総隊長の話を聞いて行動を開始したところ、新たな妖獣との出会いも!
そろそろ我慢もぷっつんしそうな幼馴染の副隊長と、じゃじゃ馬でやんちゃすぎるチビ獣師のラブ。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ」「カクヨム」にも掲載しています。
愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!
香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。
ある日、父親から
「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」
と告げられる。
伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。
その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、
伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。
親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。
ライアンは、冷酷と噂されている。
さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。
決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!?
そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?
【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
新聞と涙 それでも恋をする
あなたの照らす道は祝福《コーデリア》
君のため道に灯りを点けておく
話したいことがある 会いたい《クローヴィス》
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
2025.2.14 後日談を投稿しました
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる