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第二十六話
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「そうか、戦争になると噂になっていたか」
「そうなの。まったく変なウワサは流して欲しくないわね」
「うむ、噂として流れたのならもう隠していても意味がなさそうだな」
「え?」
「ん?」
学園の新学期が始まって数日後、久しぶりにアベニール様のお屋敷にお邪魔しました。
そこで学園で聞いた噂話をしたのですが、なにやらアベニール様の反応がおかしいですね。
「お父様? ウワサ、ですよね?」
「いや? 怪しい動きをしている国があるのは本当だ」
「ちょ、ちょっと待ってください。戦争ですよ? せ・ん・そ・う」
「ああ戦争だ」
噂話ではなかった様です!
やっぱり火のない所に煙は立たないんですね。
「とは言ってもすぐという訳ではない。あと数年の間に戦争になる可能性がある、というだけだ。だからまだ軍備と情報を整えている段階だな」
「ま、まさかお父様の領地が戦場になるんですか!?」
「いやウチではなく他の場所だ。だからこうやって頻繁に王都に来て調整をしているんだ」
ああそういう事ですか。
本来なら国境の土地を治めるアベニール様が、なぜ頻繁に王都にいるのかと思っていました。
他の場所が危険ならばフォローなどもあるのでしょうね。
「ときにシルビア、戦争に関してなんだが――」
「ダメですお父様!」
「な、なにがだ?」
「シルビアを戦場に連れていこうというのですか!!」
「そんなはずがないだろう。シルビアが戦場で何をするというんだ?」
「それならば良いのです」
「それでシルビア、戦場では常に物資の問題があるのだが、保存食や武具の手入れに便利な道具などは知らないか?」
「保存食ですか、黒パンや塩漬け、燻製以外でですか?」
「うむ、そのあたりはすでにやっているが、なにぶん数が足りないのだ。だから味は二の次で量を運べるようにしたい」
料理好きとしては味が二の次というのは許せませんが、戦場ならばそうもいっていられないでしょう。
「他国では漬物と呼ばれる食べ物がありますが、主菜ではなく副菜という位置づけですし、乾燥したこま切れ野菜に小麦粉を混ぜて固め、かじって食べる物があるはずです」
「おおあるのか! ツケモノという物は知らないが、まずはどんなものか作って欲しいが出来るか?」
「はい、レシピは覚えているので大丈夫ですが、なにぶん加工に時間がかかるので今すぐという訳にはいきません」
「あーかまわんかまわん。出来たら呼んでくれ」
そんなわけで私は今、寮のキッチンで悪戦苦闘しています。
おかしいわね、確かこれで分量はあっているはずなのに……思ったものが出来ないわ。
戦場に持っていくので最低でもひと月持たせたいのですが、必要な塩の量がわかりません。
山も海もある国で良かったわ、でなきゃこんなに塩を使えないもの。
仕方がないので数日で出来る物から作る事にしました。
色々と試しているうちに楽しくなってきたので、覚えている範囲で作れるものは作ってみましょう。
酢漬け、塩漬け、ぬか漬け、乾燥食品、燻製……結構あるわね。
「そこのタクアンを頂戴」
「はい、どうぞ」
ある日の朝食にタクアンを出した所、ライスととても合うとプリメラに好評でした。
ライス……確か炊いたライスを乾燥させる保存食があったはず……は! 最近の私はなんでも保存食につなげてしまいます。
いけないいけない。
学園の昼食時、漬物を出してみましたが好みが分かれる様です。
「う……シルビア、俺はこのツケモノというのがあまり好きではないんだが……」
「僕は……大好きだよ」
セフィーロ様は漬物は苦手、リック様は大丈夫みたいです。
他の方々(オリエンテーション時のメンバーとリバティ様)は問題なく食べてくれました。
付き人のマーチは漬物に興味津々で、今度一緒に作る約束をしました。
あ、剣や鎧の手入れ道具も考えるんでした。
でもどうしよう、剣の大きさだと私が考えた砥ぎ機は小さすぎるし、鎧の手入れって何をしたらいいのかしら。
こういう場合は……専門家に聞きましょう。
「こんにちは、どなたかいらっしゃいませんか? こんにちはー」
私はプリメラと一緒に鍛冶屋さんに来ました。
専門家の意見を聞くのが一番ですからね。
それにしても武具専門の鍛冶屋と聞いていましたが、お店には剣と鎧が数点置いてあるだけです。
「なんだうるせーな。今仕事中だ」
髪も眉もない白い長袖シャツがススで汚れている男性が奥から出てきました。
か、鍛冶屋さんっぽい!
「お仕事中申し訳ありません。剣と鎧の手入れ方法を伝授して頂きたいのです」
「……ああん? お嬢ちゃんがそんなもん知ってどうするってんだ? ああ、あれか? 騎士様とお近づきになりたいのか?」
「失礼ね! この子は騎士なんかと仲良くさせないわよ!」
「騎士なんかっておめぇ、騎士以外で剣と防具使うっていや~一兵卒相手か?」
「シルビアはそんなに安くないわよ!」
「意味がわかんねぇよ!!」
「ぷ、プリメラ落ち着いてください」
何とかプリメラをなだめ、鍛冶屋さんに話を聞きました。
剣の手入れは砥石で刃を研ぐのと歪みの修正、鎧は錆びや凹みの修正がメインだそうです。
一通り見学させてもらいましたが、う~ん戦場で兵士がやるには時間がかかり過ぎますね。
お礼を言ってお店を出ました。
何かいい方法はないでしょうか……そう考えていると近くの馬車が大きな音をたてて倒れました。
「きゃ! な、なんでしょうか」
「馬車の車輪が壊れた様ね。手助けは……必要なさそう」
馬車には周りの人が集まり怪我人の有無や馬車を隅に移動させています。
車輪は摩耗するからこまめに点検をしないといけませんね。
「……これだわ!」
「そうなの。まったく変なウワサは流して欲しくないわね」
「うむ、噂として流れたのならもう隠していても意味がなさそうだな」
「え?」
「ん?」
学園の新学期が始まって数日後、久しぶりにアベニール様のお屋敷にお邪魔しました。
そこで学園で聞いた噂話をしたのですが、なにやらアベニール様の反応がおかしいですね。
「お父様? ウワサ、ですよね?」
「いや? 怪しい動きをしている国があるのは本当だ」
「ちょ、ちょっと待ってください。戦争ですよ? せ・ん・そ・う」
「ああ戦争だ」
噂話ではなかった様です!
やっぱり火のない所に煙は立たないんですね。
「とは言ってもすぐという訳ではない。あと数年の間に戦争になる可能性がある、というだけだ。だからまだ軍備と情報を整えている段階だな」
「ま、まさかお父様の領地が戦場になるんですか!?」
「いやウチではなく他の場所だ。だからこうやって頻繁に王都に来て調整をしているんだ」
ああそういう事ですか。
本来なら国境の土地を治めるアベニール様が、なぜ頻繁に王都にいるのかと思っていました。
他の場所が危険ならばフォローなどもあるのでしょうね。
「ときにシルビア、戦争に関してなんだが――」
「ダメですお父様!」
「な、なにがだ?」
「シルビアを戦場に連れていこうというのですか!!」
「そんなはずがないだろう。シルビアが戦場で何をするというんだ?」
「それならば良いのです」
「それでシルビア、戦場では常に物資の問題があるのだが、保存食や武具の手入れに便利な道具などは知らないか?」
「保存食ですか、黒パンや塩漬け、燻製以外でですか?」
「うむ、そのあたりはすでにやっているが、なにぶん数が足りないのだ。だから味は二の次で量を運べるようにしたい」
料理好きとしては味が二の次というのは許せませんが、戦場ならばそうもいっていられないでしょう。
「他国では漬物と呼ばれる食べ物がありますが、主菜ではなく副菜という位置づけですし、乾燥したこま切れ野菜に小麦粉を混ぜて固め、かじって食べる物があるはずです」
「おおあるのか! ツケモノという物は知らないが、まずはどんなものか作って欲しいが出来るか?」
「はい、レシピは覚えているので大丈夫ですが、なにぶん加工に時間がかかるので今すぐという訳にはいきません」
「あーかまわんかまわん。出来たら呼んでくれ」
そんなわけで私は今、寮のキッチンで悪戦苦闘しています。
おかしいわね、確かこれで分量はあっているはずなのに……思ったものが出来ないわ。
戦場に持っていくので最低でもひと月持たせたいのですが、必要な塩の量がわかりません。
山も海もある国で良かったわ、でなきゃこんなに塩を使えないもの。
仕方がないので数日で出来る物から作る事にしました。
色々と試しているうちに楽しくなってきたので、覚えている範囲で作れるものは作ってみましょう。
酢漬け、塩漬け、ぬか漬け、乾燥食品、燻製……結構あるわね。
「そこのタクアンを頂戴」
「はい、どうぞ」
ある日の朝食にタクアンを出した所、ライスととても合うとプリメラに好評でした。
ライス……確か炊いたライスを乾燥させる保存食があったはず……は! 最近の私はなんでも保存食につなげてしまいます。
いけないいけない。
学園の昼食時、漬物を出してみましたが好みが分かれる様です。
「う……シルビア、俺はこのツケモノというのがあまり好きではないんだが……」
「僕は……大好きだよ」
セフィーロ様は漬物は苦手、リック様は大丈夫みたいです。
他の方々(オリエンテーション時のメンバーとリバティ様)は問題なく食べてくれました。
付き人のマーチは漬物に興味津々で、今度一緒に作る約束をしました。
あ、剣や鎧の手入れ道具も考えるんでした。
でもどうしよう、剣の大きさだと私が考えた砥ぎ機は小さすぎるし、鎧の手入れって何をしたらいいのかしら。
こういう場合は……専門家に聞きましょう。
「こんにちは、どなたかいらっしゃいませんか? こんにちはー」
私はプリメラと一緒に鍛冶屋さんに来ました。
専門家の意見を聞くのが一番ですからね。
それにしても武具専門の鍛冶屋と聞いていましたが、お店には剣と鎧が数点置いてあるだけです。
「なんだうるせーな。今仕事中だ」
髪も眉もない白い長袖シャツがススで汚れている男性が奥から出てきました。
か、鍛冶屋さんっぽい!
「お仕事中申し訳ありません。剣と鎧の手入れ方法を伝授して頂きたいのです」
「……ああん? お嬢ちゃんがそんなもん知ってどうするってんだ? ああ、あれか? 騎士様とお近づきになりたいのか?」
「失礼ね! この子は騎士なんかと仲良くさせないわよ!」
「騎士なんかっておめぇ、騎士以外で剣と防具使うっていや~一兵卒相手か?」
「シルビアはそんなに安くないわよ!」
「意味がわかんねぇよ!!」
「ぷ、プリメラ落ち着いてください」
何とかプリメラをなだめ、鍛冶屋さんに話を聞きました。
剣の手入れは砥石で刃を研ぐのと歪みの修正、鎧は錆びや凹みの修正がメインだそうです。
一通り見学させてもらいましたが、う~ん戦場で兵士がやるには時間がかかり過ぎますね。
お礼を言ってお店を出ました。
何かいい方法はないでしょうか……そう考えていると近くの馬車が大きな音をたてて倒れました。
「きゃ! な、なんでしょうか」
「馬車の車輪が壊れた様ね。手助けは……必要なさそう」
馬車には周りの人が集まり怪我人の有無や馬車を隅に移動させています。
車輪は摩耗するからこまめに点検をしないといけませんね。
「……これだわ!」
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