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しおりを挟む次の舞踏会に向けて、エレーヌの衣装合わせをする侍女のメリダ。
「こんなみすぼらしいお姿で、今度の舞踏会に出られるなど・・・それも王宮で開かれる公式なものだというのにありえません!何もかも、あの娘のせいです!!」
「どうかそんなに憤らないで、メリダ。身体に悪いわ」
エレーヌはメリダを宥める。
だが、彼女の怒りは収まらない。
「こんな酷い状況で、黙っているようにと仰る方がどうかしています」
「確かにかなり地味ではあるけれど・・・。カノンに悪意があるようには思えなかったわ。私の持ち物を欲しがって自分のものと交換しようと言ったのだって・・・きっと、あの子は美しいものが好きなだけなのよ、そうに違いないわ」
エレーヌはドレスの裾に手をやって、義妹が持ち物を交換しようと持ち掛けてきた時のことを思い出す。
メリダは義妹がエレーヌを陥れようとしていると言うが、エレーヌにとっては、カノンはそんなに意地が悪い娘には思えなかった。
ただの『綺麗で優しい自慢の妹』だ。
きっと彼女の無邪気な自由さが、メリダには気に障るのかもしれないとエレーヌは思った。
「何を悠長なことを仰っているのです。見目こそ整ってはいますが、一皮むけば悪意の塊に決まっています!
あのドレスも宝飾品も、商いを成功させて高貴な身分になられた旦那様が、お嬢様のためにと贅の限りを尽くして手に入れたものばかりだというのに・・・。それをあんな娘にそっくり奪われてしまうだなんて、悔しすぎます。とにかくすぐに、別のお召し物を用意しましょう」
「メリダ・・・本当に大丈夫よ。あなたは悪いものだというけれど、私は案外このドレスを気に入っているのよ」
そう言って、未婚の貴族女性には相応しくないような、くすんだ朽葉色のドレスを身に着けたエレーヌは侍女に微笑んだ。
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