義妹に苛められているらしいのですが・・・

天海月

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カノンから話を聞いたバートンは頭を抱えるようにして言った。

「はぁ・・・そういうことですか。これ以上お話を聞かなくても、今の話だけで、どういう状況になっているのか十分理解しました」

「まだあるが、本当に続きを聞かなくて良いのか?」

不思議そうな顔で、問い掛けるカノン。

「はい、もう結構です。カノン様のお気持ちは痛い程、私には理解できます。しかし、いかんせん、やり方がズレています。
善意の行動でしか無いのでしょうが、事情が理解できない者から見れば、質の悪い嫌がらせにしか見えません。私が侍女でもカノン様をエレーヌ様に近づけさせないようにしますよ?」

「そうか・・・お前の言っていることは今一つ腑に落ちないが、とにかく、私のしたことが悪い印象を与えたらしいということだけは理解した」





「差し詰め、ご尊父やお屋敷の使用人達、愚かな婚約者の事にしても、エレーヌ様を独り占めする為に邪魔だからと魅了を使って、ご自分の方に目を向けさせたのでしょう?」

「わかるか?」

カノンは宝石のような瞳を見開いた。

「まぁ、千年近く離れていた愛しい方との再会ですし、あなたのお考えは手に取るようにわかりますが・・・とにかく、そういう強引なところがカノン様が良く思われない原因になっているのです。
きちんと、エレーヌ様にお話をしてあるならともかく、今のあの方は事情を何もご存じないのですよ。
突然、何も知らされずに今まで周りにあったものを取り上げられて、戸惑われるかもしれないとは想像なさらなかったのですか?
それに、女性同士の、それも姉妹の関係というのは、また異性関係とは別の難しさがあると言いますし・・・」

「肝心なところが抜けていたな・・・。全員消してしまえば手っ取り早いが、彼女は争いごとが嫌いだった。
とにかく、余計な殺傷をせずに彼女の周りの者を排除するには、義妹にでもなって穏便に事を運ぶのが一番良いだろうという事にしか考えが及ばなかった」

「はぁ・・・溜息しか出ませんよ。そのあたりについては、変に引き延ばすと更に拗れそうな予感しかありませんから、時機をみてエレーヌ様としっかりお話なさった方が良いと私は思いますけれどね。
それにしても、あなたを毛嫌いしているというエレーヌ様の侍女は、どうしてあなたの魅了に掛からなかったのでしょうか?」

「確かに、言われてみれば気になるな。だが、近づいても魔族や魔力持ち特有の気配はなかった。それは、あの服や宝飾品を見ても、特別興味を示さないということからも明らかだが・・・」

「ということは・・・もしかすると、聖女様に仕えていたあの司祭の血筋かもしれませんね。聖女様は、最期まで付き従ってくれた司祭に感謝し、末代まで続く祝福を与えたという話を聞いたことがあります」

「私に手紙を寄こしたあの男か・・・奇妙な縁だな。あれが居なければ、私には僅かな希望さえも残されなかった。ただの邪魔な女だと思っていたが・・・そう考えると、あの侍女を無下にはできんな」

今生では力を失っているというのに、過去に与えた自らの善意が巡り巡って、その力によって守られているなど・・・不可思議だが、それがまた彼女らしいと感じたカノンは、思い出すようにふわりと優しく笑った。

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