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「問題解決しそうです!」
ユナの突然の宣言に、その場の全員が虚を突かれたように沈黙した。
「精霊様、条件は『成人したばかりの男女』で『初めて』であることですよね?」
ユナは虚空に向かって確認する。
『そうよ。卒業式の夜、成人した瞬間の瑞々しい愛のエネルギーが最高のご馳走なの。だから、その時まで「大事」に取っておいてくれる二人じゃないとダメなの』
精霊の言葉を聞き、ユナは決意を固めた。
これは単なるカップリングではない。卒業までの間、ターゲットの純潔を死守し、かつ愛を最高潮まで高めさせるという、極めて高度な「聖樹のための養殖プロジェクト」なのだ。
「教授、協力してください。今から精霊様に『美味しそうなカップル』を教えてもらうので、卒業式までその清い関係を維持できるように、陰ながら守る必要があります」
「……なるほど。いわば『聖なる儀式の候補生』の選定と育成だね。面白い、私の研究テーマとしてバックアップしよう」
教授が興味深げに眼鏡のブリッジを押し上げる。傍らで見ているエルは、面白くなさそうな表情だ。
「エル様、私とエル様では『愛の深度』がマイナスからのスタートです。聖樹様を枯らす気ですか!? それにヴィクトール様。魔力数値が高くても、嫌悪感で反発し合えば共鳴は起きない……教授もそう仰いましたよね?」
ユナが強い口調で畳みかける。ヴィクトールは不快そうに目を細めたが、否定はしなかった。
「……確かに、強制的な儀式で聖樹が拒絶反応を起こせば、我が国の守護は失われる。博打にしては分が悪いな」
『あ! 見つけたわユナ! あそこの時計塔の陰で、顔を真っ赤にして指先を絡ませてる二人……! まだキスもしてないわ、なんてピュアなの! 魔力の質もキラキラしてて美味しそう!』
「今、時計台の陰にいるカップルが良いそうです」
「三年生の騎士科の男子と、同じく三年生の魔導科の女子だな」
ユナの言葉にエルが透視魔法で素早く確かめる。
「では、彼らを大事に守り抜かなければ」
「何から、守り抜くんだい?」
エルが首を傾げる。
「性欲からです。彼らが卒業式前に、うっかり『一線』を越えてしまわないように。 卒業式の夜に最高の『初めて』を聖樹様に捧げてもらうために、風紀委員以上に厳しく彼らの交際を見守ります!」
ユナは拳を握りしめた。自分の身を守るためなら、他人の純愛に多少(過剰に)介入することなど厭わない。
「エル様、ヴィクトール様。私がこの『生贄カップル護衛作戦』に成功したら、私はお役御免ということでいいですね?」
兄弟は顔を見合わせた。だが、その時――。
『ユナ、何か勘違いしていない? 儀式は毎年行われるものよ。私は妥協しているだけで、最低、一年に一組で良いと言っているだけだし。本当は毎日でもやってほしいわよ』
精霊の声が無慈悲にユナの耳に届いた。
「…………っ」
「どうしたんだいユナ? 顔が真っ青だね」
ヴィクトールがいち早く気づき、ユナの頬に触れる。
「兄上! ユナ、どうしたの?」
ヴィクトールからユナを取り返すように、エルも反対側の頬に触れる。
「えっと……その……」
ユナはどもりながら、精霊に告げられた「ノルマ」を説明した。
「なるほど。まだ、今年のカップルが選ばれただけだね」
ヴィクトールが冷徹に状況を整理する。
「来年のカップルも今から選んでおいたほうが良いだろうね。そして、再来年のカップルは……」
「まだ入学して間もない一年生に、良いカップルができているとはとても思えません!」
気の早いヴィクトールに、ユナが口を挟んだ。
「そうだね。とりあえず、精霊に二年生のカップルも見つけてもらおうか」
教授の冷静な促しに、ユナは絶望的な気持ちで再び精霊に問いかけるのだった。
ユナの突然の宣言に、その場の全員が虚を突かれたように沈黙した。
「精霊様、条件は『成人したばかりの男女』で『初めて』であることですよね?」
ユナは虚空に向かって確認する。
『そうよ。卒業式の夜、成人した瞬間の瑞々しい愛のエネルギーが最高のご馳走なの。だから、その時まで「大事」に取っておいてくれる二人じゃないとダメなの』
精霊の言葉を聞き、ユナは決意を固めた。
これは単なるカップリングではない。卒業までの間、ターゲットの純潔を死守し、かつ愛を最高潮まで高めさせるという、極めて高度な「聖樹のための養殖プロジェクト」なのだ。
「教授、協力してください。今から精霊様に『美味しそうなカップル』を教えてもらうので、卒業式までその清い関係を維持できるように、陰ながら守る必要があります」
「……なるほど。いわば『聖なる儀式の候補生』の選定と育成だね。面白い、私の研究テーマとしてバックアップしよう」
教授が興味深げに眼鏡のブリッジを押し上げる。傍らで見ているエルは、面白くなさそうな表情だ。
「エル様、私とエル様では『愛の深度』がマイナスからのスタートです。聖樹様を枯らす気ですか!? それにヴィクトール様。魔力数値が高くても、嫌悪感で反発し合えば共鳴は起きない……教授もそう仰いましたよね?」
ユナが強い口調で畳みかける。ヴィクトールは不快そうに目を細めたが、否定はしなかった。
「……確かに、強制的な儀式で聖樹が拒絶反応を起こせば、我が国の守護は失われる。博打にしては分が悪いな」
『あ! 見つけたわユナ! あそこの時計塔の陰で、顔を真っ赤にして指先を絡ませてる二人……! まだキスもしてないわ、なんてピュアなの! 魔力の質もキラキラしてて美味しそう!』
「今、時計台の陰にいるカップルが良いそうです」
「三年生の騎士科の男子と、同じく三年生の魔導科の女子だな」
ユナの言葉にエルが透視魔法で素早く確かめる。
「では、彼らを大事に守り抜かなければ」
「何から、守り抜くんだい?」
エルが首を傾げる。
「性欲からです。彼らが卒業式前に、うっかり『一線』を越えてしまわないように。 卒業式の夜に最高の『初めて』を聖樹様に捧げてもらうために、風紀委員以上に厳しく彼らの交際を見守ります!」
ユナは拳を握りしめた。自分の身を守るためなら、他人の純愛に多少(過剰に)介入することなど厭わない。
「エル様、ヴィクトール様。私がこの『生贄カップル護衛作戦』に成功したら、私はお役御免ということでいいですね?」
兄弟は顔を見合わせた。だが、その時――。
『ユナ、何か勘違いしていない? 儀式は毎年行われるものよ。私は妥協しているだけで、最低、一年に一組で良いと言っているだけだし。本当は毎日でもやってほしいわよ』
精霊の声が無慈悲にユナの耳に届いた。
「…………っ」
「どうしたんだいユナ? 顔が真っ青だね」
ヴィクトールがいち早く気づき、ユナの頬に触れる。
「兄上! ユナ、どうしたの?」
ヴィクトールからユナを取り返すように、エルも反対側の頬に触れる。
「えっと……その……」
ユナはどもりながら、精霊に告げられた「ノルマ」を説明した。
「なるほど。まだ、今年のカップルが選ばれただけだね」
ヴィクトールが冷徹に状況を整理する。
「来年のカップルも今から選んでおいたほうが良いだろうね。そして、再来年のカップルは……」
「まだ入学して間もない一年生に、良いカップルができているとはとても思えません!」
気の早いヴィクトールに、ユナが口を挟んだ。
「そうだね。とりあえず、精霊に二年生のカップルも見つけてもらおうか」
教授の冷静な促しに、ユナは絶望的な気持ちで再び精霊に問いかけるのだった。
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