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4 優しくしなくていい
第五話
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その晩、夕食と課題を済ませた聖利はひとりシャワーを浴びにいくため、自室を出た。
來はやはり帰ってこない。どこにいるのかもわからないし、連絡もできない。
スマホの番号は先日交換したけれど、連絡したことはまだ一度もない。気軽に連絡できない関係で、何が友達だろう。そもそも、來は関わるなと言った。聖利にできることはない。
聖利は共同のシャワールームには行かずに、二階の三年居室の方向へ向かう。オメガに転化した際に、高坂から空き部屋のシャワーを使っていいと許可されていた。抑制剤がよく効いているとしても、体調によっては万が一ということもある。そういったときに、共同のシャワールームで間違いが起こるとまずいという配慮からだった。
三年は個室が与えられ、全室に簡易なシャワーがついている。空き部屋は常日頃施錠されていないが、誰も使う用事も入る用事もないので、聖利がひとりシャワーを使っていて不都合が起こったことはいまだない。
シャワーを固定し、熱い湯を頭から浴びた。心地よくて目をつむる。
考えてしまうのは來のことだった。このまま部屋に居着かないのはよくない。ずっと外泊状態では、いくら來の家が学園の支援者だといっても不都合が起こるだろう。自分が部屋替えを申し入れれば、來は戻ってくるだろうか。
來と同室でいるのは緊張感ばかりで嫌だった。だけど、朝晩好きな男の顔を見られる日々は幸せだった。今は、簡単に手放せるものではなくなっている。それがどんどん恋を育てていく一員になったとしてもだ。
來に謝ろうか。しかし、生徒会に入ることは聖利自身で決めたことだ。來の機嫌とりに辞めるなんて絶対に嫌だった。
「來……」
つつ、と指先で身体をなぞる。こうして、ひとりでいるとつい思いだしてしまう。
ファーストヒートのとき、來は聖利にキスをした。舌を身体に這わせ、胸の突起を弄んだ。それだけで、聖利は呆気なく達してしまった。
指で自身の胸に触れる。小さな実をかすめるように触れ、指先でこね、潰す。それだけでため息が出る。あの日のことを身体は覚えている。
來に触れてもらった。本当はあのまま荒々しく奪われたかった。深く穿たれ、揺さぶられ、彼の下で何度も絶頂を迎えたかった。
そんなことをしてしまえば、彼も自分も今の状態ではいられなかっただろう。
來の人生に傷をつけずに済んでよかった。來があのとき正気に戻ってくれてよかった。
來が好きだ。だから彼の生きる道を邪魔したくない。
それなのに、脳はしつこくしつこくリプレイする。甘く組み敷かれたあの瞬間を。
右手をゆるゆるとおろす。自身の中心はわずかに持ち上がりかけている。思い出すといつもこうだ。淫乱な身体になってしまったのはオメガの本能だろうか。
「來……」
ここにいない男の名を呼び、聖利は右手を筒状にし、中心をこすりはじめた。最初は柔く優しく、次第に根元から先端にかけて繰り返し上下に扱いていく。
耳の奥であの日の來が言う。
『しようぜ、聖利もしたいんだろ』
『おまえが飽きるまでしてやるから』
触れてほしい。來の大きな手で乱してほしい。
「あ、あっ」
亀頭を指で擦りあげる。雁首に引っかかる感触がたまらない。これが來の手ならいいのに。
「あん、あっ、ああっ」
達してしまいそうだ。シャワーのお湯を浴びながら、聖利は背を丸め浴室の壁に額をつけ、身を震わせる。
そのとき、シャワールームのドアが勢いよく開いた。
驚いて顔をあげる。そこにいたのは來だ。
「ら、い……」
來はやはり帰ってこない。どこにいるのかもわからないし、連絡もできない。
スマホの番号は先日交換したけれど、連絡したことはまだ一度もない。気軽に連絡できない関係で、何が友達だろう。そもそも、來は関わるなと言った。聖利にできることはない。
聖利は共同のシャワールームには行かずに、二階の三年居室の方向へ向かう。オメガに転化した際に、高坂から空き部屋のシャワーを使っていいと許可されていた。抑制剤がよく効いているとしても、体調によっては万が一ということもある。そういったときに、共同のシャワールームで間違いが起こるとまずいという配慮からだった。
三年は個室が与えられ、全室に簡易なシャワーがついている。空き部屋は常日頃施錠されていないが、誰も使う用事も入る用事もないので、聖利がひとりシャワーを使っていて不都合が起こったことはいまだない。
シャワーを固定し、熱い湯を頭から浴びた。心地よくて目をつむる。
考えてしまうのは來のことだった。このまま部屋に居着かないのはよくない。ずっと外泊状態では、いくら來の家が学園の支援者だといっても不都合が起こるだろう。自分が部屋替えを申し入れれば、來は戻ってくるだろうか。
來と同室でいるのは緊張感ばかりで嫌だった。だけど、朝晩好きな男の顔を見られる日々は幸せだった。今は、簡単に手放せるものではなくなっている。それがどんどん恋を育てていく一員になったとしてもだ。
來に謝ろうか。しかし、生徒会に入ることは聖利自身で決めたことだ。來の機嫌とりに辞めるなんて絶対に嫌だった。
「來……」
つつ、と指先で身体をなぞる。こうして、ひとりでいるとつい思いだしてしまう。
ファーストヒートのとき、來は聖利にキスをした。舌を身体に這わせ、胸の突起を弄んだ。それだけで、聖利は呆気なく達してしまった。
指で自身の胸に触れる。小さな実をかすめるように触れ、指先でこね、潰す。それだけでため息が出る。あの日のことを身体は覚えている。
來に触れてもらった。本当はあのまま荒々しく奪われたかった。深く穿たれ、揺さぶられ、彼の下で何度も絶頂を迎えたかった。
そんなことをしてしまえば、彼も自分も今の状態ではいられなかっただろう。
來の人生に傷をつけずに済んでよかった。來があのとき正気に戻ってくれてよかった。
來が好きだ。だから彼の生きる道を邪魔したくない。
それなのに、脳はしつこくしつこくリプレイする。甘く組み敷かれたあの瞬間を。
右手をゆるゆるとおろす。自身の中心はわずかに持ち上がりかけている。思い出すといつもこうだ。淫乱な身体になってしまったのはオメガの本能だろうか。
「來……」
ここにいない男の名を呼び、聖利は右手を筒状にし、中心をこすりはじめた。最初は柔く優しく、次第に根元から先端にかけて繰り返し上下に扱いていく。
耳の奥であの日の來が言う。
『しようぜ、聖利もしたいんだろ』
『おまえが飽きるまでしてやるから』
触れてほしい。來の大きな手で乱してほしい。
「あ、あっ」
亀頭を指で擦りあげる。雁首に引っかかる感触がたまらない。これが來の手ならいいのに。
「あん、あっ、ああっ」
達してしまいそうだ。シャワーのお湯を浴びながら、聖利は背を丸め浴室の壁に額をつけ、身を震わせる。
そのとき、シャワールームのドアが勢いよく開いた。
驚いて顔をあげる。そこにいたのは來だ。
「ら、い……」
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