転化オメガの優等生はアルファの頂点に組み敷かれる

さち喜

文字の大きさ
28 / 54
4 優しくしなくていい

第五話

しおりを挟む
 その晩、夕食と課題を済ませた聖利はひとりシャワーを浴びにいくため、自室を出た。
 來はやはり帰ってこない。どこにいるのかもわからないし、連絡もできない。
 スマホの番号は先日交換したけれど、連絡したことはまだ一度もない。気軽に連絡できない関係で、何が友達だろう。そもそも、來は関わるなと言った。聖利にできることはない。
 聖利は共同のシャワールームには行かずに、二階の三年居室の方向へ向かう。オメガに転化した際に、高坂から空き部屋のシャワーを使っていいと許可されていた。抑制剤がよく効いているとしても、体調によっては万が一ということもある。そういったときに、共同のシャワールームで間違いが起こるとまずいという配慮からだった。
 三年は個室が与えられ、全室に簡易なシャワーがついている。空き部屋は常日頃施錠されていないが、誰も使う用事も入る用事もないので、聖利がひとりシャワーを使っていて不都合が起こったことはいまだない。
 シャワーを固定し、熱い湯を頭から浴びた。心地よくて目をつむる。

 考えてしまうのは來のことだった。このまま部屋に居着かないのはよくない。ずっと外泊状態では、いくら來の家が学園の支援者だといっても不都合が起こるだろう。自分が部屋替えを申し入れれば、來は戻ってくるだろうか。
 來と同室でいるのは緊張感ばかりで嫌だった。だけど、朝晩好きな男の顔を見られる日々は幸せだった。今は、簡単に手放せるものではなくなっている。それがどんどん恋を育てていく一員になったとしてもだ。
 來に謝ろうか。しかし、生徒会に入ることは聖利自身で決めたことだ。來の機嫌とりに辞めるなんて絶対に嫌だった。

「來……」

 つつ、と指先で身体をなぞる。こうして、ひとりでいるとつい思いだしてしまう。
 ファーストヒートのとき、來は聖利にキスをした。舌を身体に這わせ、胸の突起を弄んだ。それだけで、聖利は呆気なく達してしまった。
 指で自身の胸に触れる。小さな実をかすめるように触れ、指先でこね、潰す。それだけでため息が出る。あの日のことを身体は覚えている。
 來に触れてもらった。本当はあのまま荒々しく奪われたかった。深く穿たれ、揺さぶられ、彼の下で何度も絶頂を迎えたかった。
 そんなことをしてしまえば、彼も自分も今の状態ではいられなかっただろう。
 來の人生に傷をつけずに済んでよかった。來があのとき正気に戻ってくれてよかった。
 來が好きだ。だから彼の生きる道を邪魔したくない。
 それなのに、脳はしつこくしつこくリプレイする。甘く組み敷かれたあの瞬間を。
 右手をゆるゆるとおろす。自身の中心はわずかに持ち上がりかけている。思い出すといつもこうだ。淫乱な身体になってしまったのはオメガの本能だろうか。

「來……」

 ここにいない男の名を呼び、聖利は右手を筒状にし、中心をこすりはじめた。最初は柔く優しく、次第に根元から先端にかけて繰り返し上下に扱いていく。
 耳の奥であの日の來が言う。

『しようぜ、聖利もしたいんだろ』
『おまえが飽きるまでしてやるから』

 触れてほしい。來の大きな手で乱してほしい。

「あ、あっ」

 亀頭を指で擦りあげる。雁首に引っかかる感触がたまらない。これが來の手ならいいのに。

「あん、あっ、ああっ」

 達してしまいそうだ。シャワーのお湯を浴びながら、聖利は背を丸め浴室の壁に額をつけ、身を震わせる。
 そのとき、シャワールームのドアが勢いよく開いた。
 驚いて顔をあげる。そこにいたのは來だ。

「ら、い……」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

義弟になるか義兄になるか争ってるうちに、僕は××を失いました。

BL
父親の再婚によって犬猿の仲にある同級生・友哉と図らずとも義兄弟になってしまって………。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました

拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。 昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。 タイトルを変えてみました。

【完結】ずっと一緒にいたいから

隅枝 輝羽
BL
榛名はあまり目立ったところはないものの、真面目な縁の下の力持ちとして仕事に貢献していた。そんな榛名の人に言えないお楽しみは、お気に入りのおもちゃで後ろをいじること。社員旅行の前日もア○ニーですっきりさせて、気の進まないまま旅行に出発したのだが……。 J庭57のために書き下ろしたお話。 同人誌は両視点両A面だったのだけど、どこまで載せようか。全部載せることにしましたー!

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

双子の兄になりすまし単位を取れと言われたが、おいおい何したらこんなに嫌われんの?

いちみやりょう
BL
長男教の両親のもとに双子の弟として生まれた柊木 紫(ひいらぎ むらさき)。 遊び呆けて単位もテストも成績も最悪な双子の兄、柊木 誠(ひいらぎ まこと)の代わりに男子校で学園生活を送ることに。 けれど、誠は逆に才能なんじゃないかというくらい学校一の嫌われ者だった。 ※主人公は受けです。 ※主人公は品行方正ではないです。 ※R -18は保険です。 感想やエール本当にありがとうございます🙇

処理中です...