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4 優しくしなくていい
第七話
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「いい! そんなの!」
「俺にされたの、気持ちよかったんだろ? 思いだしてオカズにするくらい。もっとしてやる」
「だめ、駄目だ、來! ……あっ!」
來が身を屈め、聖利の胸の突起にむしゃぶりついた。そのままじゅくじゅくと舌と唇で刺激される。あの日のことが瞬時に蘇った。
「あっあっ、いや、それ、だめっ」
ヒートは来ていない。それなのに、來に触れられると身体中がおかしくなりそうなくらい気持ちがいい。バスルームの壁に押し付けられ、乳首を弄ばれる。やがて、來の右手がするりと背後に回った。腰をたどり、双丘を割る。まだ誰も触れたことのない蕾に指先が触れた。
「ふああっ!」
思わず声が漏れた。ほんの少し触れただけなのに、凄まじい快感が奔った。さらに内側がじわっと滲むように熱くなるのを感じる。
來の人差し指が縁のひだをなぞり、それからぐっと第一関節まで押し入ってきた。
「あっ、ああん!」
甲高く声を上げてしまい、慌てて唇をつぐむと、キスで塞がれた。舌を絡ませてキスをしながら、來の指は聖利の内側を探りだす。自分で触れたことすらないのに、そこは充分にやわらかく來の指を飲み込む。どころか、お湯ではなく濡れた感触を覚え始めた。
キスを中断し、來が耳元でささやいた。
「濡れてきてる」
「うそ……」
オメガの後孔は女性器のように愛液が溢れると聞いたことはある。しかし、自分の身にそれが起こっているなんて。
來がにいっと野蛮に笑った。それは意地悪なだけではない。愛おしそうな優しさも見える表情だ。
「後ろ、すげえいいところがあるらしい。探してやるよ」
「いや、來、もうやめて」
「こんなにひくついてんのにやめていいの?」
來が人差し指をずるんと引き抜く。一気に引き抜かれる感触に腰がくだけそうに感じながら、聖利は來にすがりついた。ああ、悔しいことに身体はもっと欲しがっている。
「來ぃ……」
切なくもらした声は哀願だ。來には伝わってしまうだろう。
來が心得たとばかりに聖利の身体を抱き締め、指を差し入れてきた。今度は中指と人差し指を同時に挿入するが、すんなり奥深くまで入る。
來の指を迎え入れ、身体は歓喜していた。気づけば指を動かしやすいように、両腕を來の首に回し、左足をあげて來の腰に絡めていた。
キスを交わしながら、ゆるゆるとピストンされる。どうしよう、気持ちよくて腰が揺れてしまう。
「ん、ふ、う、あう」
「イイ? もっといいとこあるらしいんだよな」
「も、充分、きもちい。きもちいからぁ」
バスルームに響くのはキスの湿った音、そして秘部から溢れるいやらしい音。耳まで犯されているようだ。
「ああっ!」
一部分を來の指が引っ掻くように通り過ぎた。瞬間、びりんと全身に電流が奔り、聖利はへなへなと崩れた。抱きとめる來もろとも、バスルームの床に座り込んでしまう。
「聖利?」
來が指を引き抜き、顔を覗き込んでくる。その顔が真っ直ぐに見られない。真っ赤になり、荒い息とともに身を震わせるだけだ。
聖利の様子で察したらしく、來がにやりと微笑んだ。
「今んトコか。いいの」
「ま、待って! 來!」
聖利の脚を割り、來が指を差し入れてくる。くっと指を曲げ、引っ掛けるように腹側のしこりを撫でた。しつこく繰り返されると、痛いくらいに内から痺れてくる。凄まじい快感にたまらず聖利は叫んだ。
「いっ、やあっ! そこだめ、だめえっ!」
「何が駄目? すげえ良さそうだけど。ほら、また勃ってる」
舌なめずりせんばかりに欲に染まった表情。來が切羽詰まった瞳で見下ろしてくる。聖利は、その視線に背筋を震わせながら、指の刺激にびくんびくん身体を揺らす。ヒートじゃないのに、こんなに気持ちがいい。ヒートでされたらどうなるのだろう。狂ってしまうかもしれない。
「ほら、こっち向け」
身体を反転させられ、尻を突き出し膝をついた格好になる。両手を壁につかされ、後ろから抱きすくめられた。薬指も含めた三本の指を抽送される。ぐっぽぐっぽとはしたない音をさせるそこは、完全にとろけきっていた。今なら、來のペニスを受け入れることもできるだろう。
欲しい。聖利は思った。普段なら絶対に言えないことが、理性が焼けきれそうな今なら言える。
「挿れて……來……」
その言葉に、数瞬來が動きを止めた。
「聖利……」
「おまえの……」
背に覆いかぶさってきた來が聖利の顎をとらえ、後ろから唇を奪った。一瞬交差する視線。
來は困った顔で笑い、それ以上は言わなかった。指のピストンが激しくなる。
「うあ、あっ、ひあ、ああっ!」
「イけ、イッていいぞ」
声に煽られ促され昇りつめる。頭が真っ白になった。
「俺にされたの、気持ちよかったんだろ? 思いだしてオカズにするくらい。もっとしてやる」
「だめ、駄目だ、來! ……あっ!」
來が身を屈め、聖利の胸の突起にむしゃぶりついた。そのままじゅくじゅくと舌と唇で刺激される。あの日のことが瞬時に蘇った。
「あっあっ、いや、それ、だめっ」
ヒートは来ていない。それなのに、來に触れられると身体中がおかしくなりそうなくらい気持ちがいい。バスルームの壁に押し付けられ、乳首を弄ばれる。やがて、來の右手がするりと背後に回った。腰をたどり、双丘を割る。まだ誰も触れたことのない蕾に指先が触れた。
「ふああっ!」
思わず声が漏れた。ほんの少し触れただけなのに、凄まじい快感が奔った。さらに内側がじわっと滲むように熱くなるのを感じる。
來の人差し指が縁のひだをなぞり、それからぐっと第一関節まで押し入ってきた。
「あっ、ああん!」
甲高く声を上げてしまい、慌てて唇をつぐむと、キスで塞がれた。舌を絡ませてキスをしながら、來の指は聖利の内側を探りだす。自分で触れたことすらないのに、そこは充分にやわらかく來の指を飲み込む。どころか、お湯ではなく濡れた感触を覚え始めた。
キスを中断し、來が耳元でささやいた。
「濡れてきてる」
「うそ……」
オメガの後孔は女性器のように愛液が溢れると聞いたことはある。しかし、自分の身にそれが起こっているなんて。
來がにいっと野蛮に笑った。それは意地悪なだけではない。愛おしそうな優しさも見える表情だ。
「後ろ、すげえいいところがあるらしい。探してやるよ」
「いや、來、もうやめて」
「こんなにひくついてんのにやめていいの?」
來が人差し指をずるんと引き抜く。一気に引き抜かれる感触に腰がくだけそうに感じながら、聖利は來にすがりついた。ああ、悔しいことに身体はもっと欲しがっている。
「來ぃ……」
切なくもらした声は哀願だ。來には伝わってしまうだろう。
來が心得たとばかりに聖利の身体を抱き締め、指を差し入れてきた。今度は中指と人差し指を同時に挿入するが、すんなり奥深くまで入る。
來の指を迎え入れ、身体は歓喜していた。気づけば指を動かしやすいように、両腕を來の首に回し、左足をあげて來の腰に絡めていた。
キスを交わしながら、ゆるゆるとピストンされる。どうしよう、気持ちよくて腰が揺れてしまう。
「ん、ふ、う、あう」
「イイ? もっといいとこあるらしいんだよな」
「も、充分、きもちい。きもちいからぁ」
バスルームに響くのはキスの湿った音、そして秘部から溢れるいやらしい音。耳まで犯されているようだ。
「ああっ!」
一部分を來の指が引っ掻くように通り過ぎた。瞬間、びりんと全身に電流が奔り、聖利はへなへなと崩れた。抱きとめる來もろとも、バスルームの床に座り込んでしまう。
「聖利?」
來が指を引き抜き、顔を覗き込んでくる。その顔が真っ直ぐに見られない。真っ赤になり、荒い息とともに身を震わせるだけだ。
聖利の様子で察したらしく、來がにやりと微笑んだ。
「今んトコか。いいの」
「ま、待って! 來!」
聖利の脚を割り、來が指を差し入れてくる。くっと指を曲げ、引っ掛けるように腹側のしこりを撫でた。しつこく繰り返されると、痛いくらいに内から痺れてくる。凄まじい快感にたまらず聖利は叫んだ。
「いっ、やあっ! そこだめ、だめえっ!」
「何が駄目? すげえ良さそうだけど。ほら、また勃ってる」
舌なめずりせんばかりに欲に染まった表情。來が切羽詰まった瞳で見下ろしてくる。聖利は、その視線に背筋を震わせながら、指の刺激にびくんびくん身体を揺らす。ヒートじゃないのに、こんなに気持ちがいい。ヒートでされたらどうなるのだろう。狂ってしまうかもしれない。
「ほら、こっち向け」
身体を反転させられ、尻を突き出し膝をついた格好になる。両手を壁につかされ、後ろから抱きすくめられた。薬指も含めた三本の指を抽送される。ぐっぽぐっぽとはしたない音をさせるそこは、完全にとろけきっていた。今なら、來のペニスを受け入れることもできるだろう。
欲しい。聖利は思った。普段なら絶対に言えないことが、理性が焼けきれそうな今なら言える。
「挿れて……來……」
その言葉に、数瞬來が動きを止めた。
「聖利……」
「おまえの……」
背に覆いかぶさってきた來が聖利の顎をとらえ、後ろから唇を奪った。一瞬交差する視線。
來は困った顔で笑い、それ以上は言わなかった。指のピストンが激しくなる。
「うあ、あっ、ひあ、ああっ!」
「イけ、イッていいぞ」
声に煽られ促され昇りつめる。頭が真っ白になった。
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