僕の王子様

くるむ

文字の大きさ
38 / 62
第五章

礼人さんとの帰り道

しおりを挟む
パチパチパチパチー♪

「よく頑張ったな―。いいんじゃないか? これだけ振り切ってりゃ、みんな楽しんでくれるぞ」

「はい! ありがとうございました」
「ありがとうございます!」

最初礼人さんに気圧されていた高橋君だったけど、今ではまるで礼人さんをダンスの師匠だとでも思っているかのような表情だ。

礼人さんのことを勘違いしている人たちが多い中で、こうやって本当の礼人さんを知ってくれる人が現れてくれるのは素直にうれしい。


3人そろって教室を出た後、高橋君とは校門でそのまま別れた。


「さて、と。4時前かー。どうする歩? 時間はまだ大丈夫だろ?」
「はい! 大丈夫ですっ」
「……んー、じゃあ今度は俺んち来るか? 帰りは送るぞ」
「はいっ。……て、え? い、いいんですか?」
「おう。寄ってけ」
「は、はいっ」

うわー、うわー!
礼人さんのお家って!

義理のお母さんだって言ってたよな。しっかり挨拶とかして、礼人さんの印象を下げないようにしなきゃ!

何か手土産持ってった方がいいのかな?
あ、でも友達の家に行くときにわざわざ持ってったりしないか。
それに気を遣い過ぎて……とか言ってたから、逆にあまり気にしない方がいいのかな?

「こーら、なにグルグル考えてるんだ―?」
「え? あ、何でもないですっ! 緊張するけど楽しみにしてます!」

僕がそう言うと、礼人さんは一瞬目を丸くしてそしてプハッと笑った。

「大丈夫だよ。あの人……義母さんは、俺が友達とか連れてくるとすごくうれしいみたいなんだ。いい人なんだよ、本当に」

「礼人さん……」

そうか。そうなんだ。

僕にはハッキリとは分からないけど、きっと新しく他人を家族として迎え入れるのはやっぱりいろんな思いがあるんだろうな。
しかも礼人さん、自分のことを人見知りだって言ってたし。……繊細なところがあるもんな。

「じゃあ、僕元気よく挨拶します!」
「クスッ。そうしてくれ」

という事で、今度は礼人さんがいつも普通に通う通学路から帰ることになった。

しばらく雑談をしながら歩いていると、道の向こうからサッカーボールを小脇に抱えた黒田先輩と白石先輩がこちらに向かって歩いてきていた。

「あれ?」

向こうもこちらに気づいて、驚いた顔をしている。

「よー! どこ行くんだ?」
「小浜公園だ! ちょっと体動かそうかってことになって。お前らも来るか?」
「おう!……と、いいか? 歩」
「はい。もちろんです」

礼人さんのお家に行くのはまた今度でもいいよね。

「よし、じゃあ行こう」

礼人さんはそう言って、スッと僕の手を取って黒田先輩達の元へと走り出した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

フードコートの天使

美浪
BL
西山暁には本気の片思いをして告白をする事も出来ずに音信不通になってしまった相手がいる。 あれから5年。 大手ファストフードチェーン店SSSバーガーに就職した。今は店長でブルーローズショッピングモール店に勤務中。 そんなある日・・・。あの日の君がフードコートに居た。 それは間違いなく俺の大好きで忘れられないジュンだった。 ・・・・・・・・・・・・ 大濠純、食品会社勤務。 5年前に犯した過ちから自ら疎遠にしてしまった片思いの相手。 ずっと忘れない人。アキラさん。 左遷先はブルーローズショッピングモール。そこに彼は居た。 まだ怒っているかもしれない彼に俺は意を決して挨拶をした・・・。 ・・・・・・・・・・・・ 両片思いを2人の視点でそれぞれ展開して行こうと思っています。

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

刺されて始まる恋もある

神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

初恋ミントラヴァーズ

卯藤ローレン
BL
私立の中高一貫校に通う八坂シオンは、乗り物酔いの激しい体質だ。 飛行機もバスも船も人力車もダメ、時々通学で使う電車でも酔う。 ある朝、学校の最寄り駅でしゃがみこんでいた彼は金髪の男子生徒に助けられる。 眼鏡をぶん投げていたため気がつかなかったし何なら存在自体も知らなかったのだが、それは学校一モテる男子、上森藍央だった(らしい)。 知り合いになれば不思議なもので、それまで面識がなかったことが嘘のように急速に距離を縮めるふたり。 藍央の優しいところに惹かれるシオンだけれど、優しいからこそその本心が掴みきれなくて。 でも想いは勝手に加速して……。 彩り豊かな学校生活と夏休みのイベントを通して、恋心は芽生え、弾んで、時にじれる。 果たしてふたりは、恋人になれるのか――? /金髪顔整い×黒髪元気時々病弱/ じれたり悩んだりもするけれど、王道満載のウキウキハッピハッピハッピーBLです。 集まると『動物園』と称されるハイテンションな友人たちも登場して、基本騒がしい。 ◆毎日2回更新。11時と20時◆

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...