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第五章
ダンスの練習
各々のクラスでスポーツ大会の練習はありはするけど、それだからと言って部活が疎かになるわけでは無いので普段とあまり変わらない日々が過ぎて行った。
僕と高橋君も演目は決まったし、家でダンスの練習はちゃんとしていたのでとりあえず今日2人でダンスを合わせて、仮装担当の練習は終わることになっていた。
衣装の方は水曜日までには学校に持ってこれるという事だったので、それから試着をして、最終的にサイズを合わせる事になっている。
高橋君との待ち合わせは1時なので、12時半には家を出た。
学校近くをテクテク歩いていると、前方を、あまりにも見覚えのある人が歩いていた。
「……え?」
礼人……さん。
どうしたんだろ。今日は日曜日なのに……。
あ、もしかして礼人さんのクラスもサッカーの練習が入ってたりするんだろうか。
「礼人さん!」
呼びかけてタタッと走り寄ると、礼人さんがくるんと振り返った。
「よお。……会っちまったな」
「……え?」
……もしかして、僕に会いたくなかった……の?
シュンと萎えていく気持ちに、礼人さんは笑って頭を掻いていた。
「突然歩の教室に現れて、驚かそうと思ってたんだけどな」
「えっ!?」
萎えるどころか焦って驚いた。
なに、それ。
まさか僕のダンスの練習を見に来たってこと!?
うわーー、止めてよそれ。
恥ずかし過ぎるよー!!
「れ、礼人さん……っ、あの、まさか僕の練習を見に来たんですか?」
「ああ」
やっぱりーーーー!?
「礼人さん、僕、凄く運動音痴なんですよ!」
「そうらしいな。聞いてるぞ」
「だっ……、だからっ、その……」
「なんだ? 恥ずかしいから見に来るなってか?」
「……う。はい」
「バーカ。んなこと言ってて本番どうすんだよ。ほら、ごたごた行ってないで、行くぞ」
自然と歩く速度の遅くなる僕を、礼人さんが引っ張る形で教室まで進む。
2人揃って教室に現れた僕らを、先に来ていた高橋君がびっくりしてガタッと席を立った。
「……え? は、ええっ!?」
「よお、邪魔するぞ」
「……遅くなってごめんね」
「え? なっ、ええっ!?」
……どうやら高橋君は、突然現れた礼人さんにビビるというか戸惑うというか……、状況をまだつかめずにいるみたいだ。
「えーっと、あの紹介するね。僕と一緒に仮装担当になった高橋君。……で、こちらは僕が入っている同好会の先輩で紫藤礼人さん」
「よっしくー」
なぜだか礼人さんは、普段以上にチャラく挨拶をした。
高橋君が固まってるから緊張をほぐそうとしたのかな……?
「あ、こっこちらこそよろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる高橋君に、礼人さんは明るく笑って近くの椅子に腰かけた。
「飛び入りで悪いな。俺のことは気にしないで練習しろよ。ほら、歩。進めてやれ」
「はい。……えっと高橋君、じゃあ合わせようか」
「……うん、わかった」
礼人さんを気にして僕に色々聞きたそうな顔をしてはいるけれど、ここでそれを問いただす度胸はやっぱり無いようなので、僕も気が付かないふりをして先を進めることにした。
そしてとりあえず最初はいきなり音に合わせるのではなく、(恥ずかしいから)小声で歌いながら合わせようということになった。
「じゃあ、行くよ。……3、4」
「モッフモッフ、モフモフワンダー……」
小声で2人で歌いながらダンスをしていると、礼人さんがパンパンと手を叩きながら立ち上がった。
「はーい、ちょっと待てー」
「は……? え?」
戸惑って動きを止める僕らに、礼人さんが近づいてきた。
「動き小さすぎないか? 2人とも、恥ずかしいのが先に立ってんだろ?」
「…………」
「…………」
「まあ、気持ちは分かるけどさ。こういう時は開き直って踊り切った方が、却って恥ずかしさも吹き飛ぶもんだぞ? 見てる方も一緒に楽しむから可哀そうにって思われることもないし、白けられることもない。それに……、千佳は最強だぞ?」
「千佳先輩……?」
「ああ。言ってたろ? 下で盛り上げてやるって。あいつの扇動効果はけた外れだからな。大船に乗った気でいて大丈夫だ」
「は……あ」
「千佳先輩……って、工藤千佳先輩!? ええーーーーっ!?」
目を真ん丸にして僕を見る高橋君は、何でお前がそんなすごい人たちと知り合ってるんだーという驚愕を露にした表情だ。
わかるよ、……うん。
高橋君の戸惑いはとりあえず横に置いておいて、僕らは礼人さんに励まされ叱咤されてダンスをきっちり?仕上げたのだった。
僕と高橋君も演目は決まったし、家でダンスの練習はちゃんとしていたのでとりあえず今日2人でダンスを合わせて、仮装担当の練習は終わることになっていた。
衣装の方は水曜日までには学校に持ってこれるという事だったので、それから試着をして、最終的にサイズを合わせる事になっている。
高橋君との待ち合わせは1時なので、12時半には家を出た。
学校近くをテクテク歩いていると、前方を、あまりにも見覚えのある人が歩いていた。
「……え?」
礼人……さん。
どうしたんだろ。今日は日曜日なのに……。
あ、もしかして礼人さんのクラスもサッカーの練習が入ってたりするんだろうか。
「礼人さん!」
呼びかけてタタッと走り寄ると、礼人さんがくるんと振り返った。
「よお。……会っちまったな」
「……え?」
……もしかして、僕に会いたくなかった……の?
シュンと萎えていく気持ちに、礼人さんは笑って頭を掻いていた。
「突然歩の教室に現れて、驚かそうと思ってたんだけどな」
「えっ!?」
萎えるどころか焦って驚いた。
なに、それ。
まさか僕のダンスの練習を見に来たってこと!?
うわーー、止めてよそれ。
恥ずかし過ぎるよー!!
「れ、礼人さん……っ、あの、まさか僕の練習を見に来たんですか?」
「ああ」
やっぱりーーーー!?
「礼人さん、僕、凄く運動音痴なんですよ!」
「そうらしいな。聞いてるぞ」
「だっ……、だからっ、その……」
「なんだ? 恥ずかしいから見に来るなってか?」
「……う。はい」
「バーカ。んなこと言ってて本番どうすんだよ。ほら、ごたごた行ってないで、行くぞ」
自然と歩く速度の遅くなる僕を、礼人さんが引っ張る形で教室まで進む。
2人揃って教室に現れた僕らを、先に来ていた高橋君がびっくりしてガタッと席を立った。
「……え? は、ええっ!?」
「よお、邪魔するぞ」
「……遅くなってごめんね」
「え? なっ、ええっ!?」
……どうやら高橋君は、突然現れた礼人さんにビビるというか戸惑うというか……、状況をまだつかめずにいるみたいだ。
「えーっと、あの紹介するね。僕と一緒に仮装担当になった高橋君。……で、こちらは僕が入っている同好会の先輩で紫藤礼人さん」
「よっしくー」
なぜだか礼人さんは、普段以上にチャラく挨拶をした。
高橋君が固まってるから緊張をほぐそうとしたのかな……?
「あ、こっこちらこそよろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる高橋君に、礼人さんは明るく笑って近くの椅子に腰かけた。
「飛び入りで悪いな。俺のことは気にしないで練習しろよ。ほら、歩。進めてやれ」
「はい。……えっと高橋君、じゃあ合わせようか」
「……うん、わかった」
礼人さんを気にして僕に色々聞きたそうな顔をしてはいるけれど、ここでそれを問いただす度胸はやっぱり無いようなので、僕も気が付かないふりをして先を進めることにした。
そしてとりあえず最初はいきなり音に合わせるのではなく、(恥ずかしいから)小声で歌いながら合わせようということになった。
「じゃあ、行くよ。……3、4」
「モッフモッフ、モフモフワンダー……」
小声で2人で歌いながらダンスをしていると、礼人さんがパンパンと手を叩きながら立ち上がった。
「はーい、ちょっと待てー」
「は……? え?」
戸惑って動きを止める僕らに、礼人さんが近づいてきた。
「動き小さすぎないか? 2人とも、恥ずかしいのが先に立ってんだろ?」
「…………」
「…………」
「まあ、気持ちは分かるけどさ。こういう時は開き直って踊り切った方が、却って恥ずかしさも吹き飛ぶもんだぞ? 見てる方も一緒に楽しむから可哀そうにって思われることもないし、白けられることもない。それに……、千佳は最強だぞ?」
「千佳先輩……?」
「ああ。言ってたろ? 下で盛り上げてやるって。あいつの扇動効果はけた外れだからな。大船に乗った気でいて大丈夫だ」
「は……あ」
「千佳先輩……って、工藤千佳先輩!? ええーーーーっ!?」
目を真ん丸にして僕を見る高橋君は、何でお前がそんなすごい人たちと知り合ってるんだーという驚愕を露にした表情だ。
わかるよ、……うん。
高橋君の戸惑いはとりあえず横に置いておいて、僕らは礼人さんに励まされ叱咤されてダンスをきっちり?仕上げたのだった。
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