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第五章
理不尽だよ!
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加山さんは僕と礼人さんの味方だと言ってくれてたけど、ちょっぴり緊張はしてたんだ。
どんな顔で会えばいいのかなとか。
揶揄われちゃうのかなとか。
だけど、学校で会った加山さんはいつもと何にも変わることはなくて、特に礼人さんのことを振ってくることも無かった。
そして水曜日。
登校するとすぐ、衣装が出来上がったと言って向坂さんが僕と高橋君を呼んだ。
「……え?」
「なにコレ。注文のと違うじゃないか」
広げられた衣装を見て2人で絶句した。
だって……。
僕らが指定したのは圭一の学生服に子猫の着ぐるみだったはずだ。
それなのに、目の前にある衣装は派手な王子様っぽい圭一の衣装に、子猫のミミーが女の子に変身した時に来ているひらひらレースのワンピースだ。……丈も短い。
「かわいいでしょー、ほらぁ」
絶句する僕を余所に、向坂さんたちは嬉しそうに僕に衣装をあてがった。
「……て! ちょっと待ってよ! なんでこんな事になってるの? 僕は子猫の着ぐるみだって言ったよね! それにこれじゃあ、600円で収まらなかったんじゃないの?」
「あ、大丈夫。圭一の衣装は確かに高かったけど、ミミーのこれは手作りだから、却って安くついたよ♪ 私たち、手芸部なんだー」
ちっとも悪びれる様子の無い向坂さんにくらくらする。
話もちっとも噛み合っていない。
「鹿倉……」
気の毒にと言った表情で高橋君が僕を見下ろした。
いいよね、高橋君は。
……王子様の衣装だし、きっとかっこよくなるよ。
それなのにっ、それなのに何で僕だけ女装だなんてことになってるの!?
理不尽すぎるっ!!
「お家の毛布で代用する……」
「え?」
なに言ってんのって顔で向坂さんと栗田さんが僕を見た。
「今からじゃ通販だって間に合わないでしょ? だから毛布で包まって猫ってことにするから!」
「なに言ってんのよ! 駄々こねないでよっ」
「駄々ってなんだよ! もとはと言えば向坂さんが悪いんじゃないか! だまし討ちだよこんなの!」
さんざんさんざんごねた。
僕の中ではこれ以上ごねれないんじゃないかと言うくらいにごねた。
……んだけど、理不尽にも僕の方がみんなに説得され、結局ミミーの女装を着る羽目になってしまった。
どんな顔で会えばいいのかなとか。
揶揄われちゃうのかなとか。
だけど、学校で会った加山さんはいつもと何にも変わることはなくて、特に礼人さんのことを振ってくることも無かった。
そして水曜日。
登校するとすぐ、衣装が出来上がったと言って向坂さんが僕と高橋君を呼んだ。
「……え?」
「なにコレ。注文のと違うじゃないか」
広げられた衣装を見て2人で絶句した。
だって……。
僕らが指定したのは圭一の学生服に子猫の着ぐるみだったはずだ。
それなのに、目の前にある衣装は派手な王子様っぽい圭一の衣装に、子猫のミミーが女の子に変身した時に来ているひらひらレースのワンピースだ。……丈も短い。
「かわいいでしょー、ほらぁ」
絶句する僕を余所に、向坂さんたちは嬉しそうに僕に衣装をあてがった。
「……て! ちょっと待ってよ! なんでこんな事になってるの? 僕は子猫の着ぐるみだって言ったよね! それにこれじゃあ、600円で収まらなかったんじゃないの?」
「あ、大丈夫。圭一の衣装は確かに高かったけど、ミミーのこれは手作りだから、却って安くついたよ♪ 私たち、手芸部なんだー」
ちっとも悪びれる様子の無い向坂さんにくらくらする。
話もちっとも噛み合っていない。
「鹿倉……」
気の毒にと言った表情で高橋君が僕を見下ろした。
いいよね、高橋君は。
……王子様の衣装だし、きっとかっこよくなるよ。
それなのにっ、それなのに何で僕だけ女装だなんてことになってるの!?
理不尽すぎるっ!!
「お家の毛布で代用する……」
「え?」
なに言ってんのって顔で向坂さんと栗田さんが僕を見た。
「今からじゃ通販だって間に合わないでしょ? だから毛布で包まって猫ってことにするから!」
「なに言ってんのよ! 駄々こねないでよっ」
「駄々ってなんだよ! もとはと言えば向坂さんが悪いんじゃないか! だまし討ちだよこんなの!」
さんざんさんざんごねた。
僕の中ではこれ以上ごねれないんじゃないかと言うくらいにごねた。
……んだけど、理不尽にも僕の方がみんなに説得され、結局ミミーの女装を着る羽目になってしまった。
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