5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません

くるむ

文字の大きさ
36 / 57

ルークの手に渡った指輪

しおりを挟む
 ジョーンズ様とのセッティングはカーギル先生が引受けてくれ、後から連絡してくれるとのことだった。なので、ぼくはそれに甘えることにした。

★★★★★★★★


 ノエルがジョーンズに会うのを楽しみにしていた頃、サラはひとり歯噛みをしていた。というのも、ルークと2人になる機会になかなか恵まれなかったからだ。
 教室を訪れてルークを呼ぼうにも、なぜか他の令嬢らに阻まれるし、そうじゃない時はクリスに邪魔される。せっかくローワンからもらった指輪を渡す機会がないのだ。

 こうなったらもう根性でどうにかするしかなかった。時間が許す限り、サラはルークの行動を追った。ひとりになるときはないか? クリスと一瞬でも離れている時間はないか?

 ストーカーのようにルークのことを追うことばかり考えていたサラの前に、好機がやってきた。

 ルークがクリスと2人で廊下を歩いているとき、クリスが教師に呼ばれたのだ。どうやら雑用を申し付けられたようだ。
 クリスは一瞬あたりを見回した後、ルークに何事かを言って教師のもとに行った。クリスと別れたルークは足早に歩きはじめる。どうやら教室に戻るようだ。

「ルーク様、お待ちください!」
 大声で呼んだ。ルークは一瞬ピクッと反応するも、止まらずにそのまま歩いて行く。
 サラの声だとわかって無視したようだ。
 それほどまでに自分を避けようとするのか。サラは頭に血が上った。

「ルーク様、落とし物ですよ。大切なものじゃないんですか?」
 サラがそう叫ぶと、ルークは足を止めた。

「……落とし物?」
 ゆっくりと振り向いたルークの目に、サラが持っているピンクパープルの指輪が目に入った。
 
 淡い色合いはすごく綺麗で、ルークの心を鷲掴みにした。見れば見るほど引き寄せられる魔性の色は、もっと近くで見たいと思わせ自然とサラの元へ歩いて行く。

「綺麗ですよね。ルーク様のものですよ」
「僕の?」
「そうですよ。見覚えありますでしょ?」 

 ルークは言われてみると、自分のものかもしれないと思えてきた。ふらふらとサラに近づいて指輪を手に取った。
「はめてみたらどうですか? きっとなじむと思いますよ」
「そうだね」

 言われるがままに指輪をはめたとたん、ルークは世界が一瞬に明るくなったような気がした。目の前の女性が、すごく柔らかく微笑んでいる。
 胸の中が、暖かく甘い気持ちで満たされていく。

 ルークは戸惑っていた。たしか先ほどまで、この女性を避けた方がいいと思っていたはずだ。こんなに可愛い女性をどうして避けなければいけないと思っていたんだろうと、ルークは目を瞬いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい

雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。 延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。

竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。 自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。 番外編はおまけです。 特に番外編2はある意味蛇足です。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。

竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。 男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。 家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。 前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。 前世の記憶チートで優秀なことも。 だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。 愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。

処理中です...