ウロボロスの世界樹

主道 学

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ゴルフ場

地獄

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 一行はやっと、雨が止んでしまった芝生の上を歩いて、東にある休憩所に辿り着いた。
 休憩所は広大な池に囲まれ、中と外は円形な形になっている。中央の質素な木製の丸テーブルには、5・6人くらいの席があり、外と内を隔てるドアは一つだけ、地平線が見える大きい窓は四方にある。奥にはガキッチンがあった。その中に、渡部がいた。

 渡部は丸テーブルに乗っかって、右手にお茶がいっぱい入った2リットルのペットボトルを持ち、左手にフライドチキンを持っていた。
「あ、赤羽さん」
「……」
 角田は渡部のフライドチキンを目に入れ、決して放そうとしない。
「渡部……」
 私は今までの人生で、一番くらいの苦労を思い出してきた。けれど、仲間なので何も言わないようにした……。
 安浦はキッチンを見ると一目散に、カジキマグロを力いっぱい引きずって、奥へと向かって行った。ガスが通っている。そして、お誂え向きに5人分の大きい皿と3種類の小さい皿、それとプラスチックのコップ。
「待ってて下さいね! ご主人様! このカジキマグロで、私のお料理の腕を見せてあげます!」
 奥から、笑顔いっぱいの声が響いた。

 私は勝手にしてくれと、笑顔を向けた。
 呉林は窓の方に向かって、私を手で招いていた。
「恐らく、この世界のどこかに元の世界へと戻る何かがあるわ。私、感じるの。全員で何としても探さないと……」
 呉林はいつものように冷静になっていた。
 私は心強い呉林の顔を覗いて、
「それはいったい、どんな方法なんだろうか?」
 呉林の言葉を噛み締めた。
「この世界って、刑務所と同じ世界で、遠くに刑務所があるとかなんですか?」
 渡部は丸テーブルから降りた。
 呉林はしばらく、考えてから、
「そうかもしれないわ。でも、違うかもしれないわ。ごめんなさい。何とも言えないわ」
「そうですか、もし遠くに刑務所があるのなら、夜が来るはず。僕はここの星空を見てみたいな」
 呉林は渡部の能天気さを真面目に受けていた。


 しばらくして、安浦は上機嫌で、カジキマグロを見事なステーキにした。ソースはなくて塩をいっぱい振り、焼き方はレアである。五人分の大きすぎる皿の上にあるでかいマグロは豪華な匂いを放っていた。そして、カジキマグロの他の部位は刺身にした。醤油もあった。欠点は何もなく、大満足の出来だった。けれど、敢えて、挙げるとしたら、ご飯とビールが無いこと。
 渡部はフライドチキンの骨をどっかに捨て、
「凄い料理ですね。それと、とてもおいしそう。僕も食べていいですか?」
 角田は、煌びやかに花を咲かせる刺身を前に、
「ビールがないぞ! 畜生!」
 呉林は安浦の料理の腕を知っているふうで、何にも言わず「頂きます」とだけ言った。
 みんなそれぞれの席で、丸テーブルに落ち着いている。
 呉林と角田は黙々と料理に手を付けている。私はかなり大きめなカジキマグロのステーキを楽しんだ。塩の小瓶をたくさん振り、塩の効果で魚の味が引き締まる。寿司のマグロとはまったく違った味を楽しめた。外側は引き締まっているが、焼き方が絶妙なレアなので、中はとろっとしていた。
 カジキマグロの色々な部位の刺身は、醤油で食べると、スーパーの刺身どころではない本格的な味を示していて、どれも驚くものばかりであった。
 渡部と角田と私は最初、食べられれば何でもいいと思っていたが、改めて安浦の料理の凄さが身に染みた。


 それぞれとてもゆっくりした食事を終え、必要だった塩分の補給もできて満足する。呉林は私に言ったことを、もう一度みんなの前でいつもの調子で話し出しはじめた。
「それはどんな方法ですか?」
 渡部は2リットルのペットボトルからのお茶を、みんなのコップに入れながら尋ねた。
「解らないの。けれど、見つければきっと、それがどんなものなのか解ると思うわ」
 呉林は自信を完全に取り戻し、落ち着き払って、いつの間にか刑務所での呪い師の雰囲気を纏っていた。
「何日くらいかかるの?」
 角田は仕事の途中だったので、あまり時間が経つのは好ましくないようだ。けれども、この世界に来ると元の世界での時間はどうなるのだろう?

「解らないけれど、この人数で色々と探すなら、以外と早く見つかるかも知れないわ。この世界から一日も早く抜け出さないと……」
 呉林の意味深な言い方に私は顔を強張らせた。それもそのはず、食料や水などの深刻な問題がある。日が経てば経つほど命にかかわってくる。
 角田と渡部は呉林の刑務所での不思議な力を認め、心強い羅針盤のようなものだと思えているようだ。私もそうだ。安浦は食器を片づけたりしながらこちらに耳を傾けている。
 4人で呉林を中心に、丸テーブルを囲み、この不可解な世界から抜け出そうとしていた。
 それには、やはり羅針盤である呉林の力が大いに役立った。
「どこかが解ればいいけれど、解らないのよ。みんなそこは協力して」
「協力してって? このゴルフ場は広すぎるぞ。地平線まで広がっているんだし、いくらなんでも……」
 角田は不安げな声をだした。
 私は呉林に浮かない顔を向け、
「呉林頼むよ。少しでもいいから、探すところを少なくしてほしいんだ」
「そうね。では……」
 呉林はそう言うと下を一度向いて、それから顔を上げ、
「芝生と池、そして雑木林は除けると思うわ。そうね……砂地だと思うわ」
 呉林はバンカーを砂地と呼んだ。ゴルフをあまり知らないようだ。私もだが。
「この近辺ですか。それとも?」
 渡部は気乗りしてきた顔だった。渡部は大学帰りの近くのコンビニから、この世界に来たようだ。三本のフライドチキンと二?のお茶を持って。どうやら、痩せ型なのに油ものが大好物の様だ。

「ちょっと、待って。何か……」 
 呉林は考え込むときの癖の様で、何やら俯いて、ぶつぶつと独り言をいいだした。それから、しばらくすると、顔を上げ、
「遠い南の方のようよ。それは、地面に埋まっているみたい」
「地面ですか」
 渡部は黙りこんだ。
「南の方って、俺たちが最初に寝てた所じゃないか。戻って穴掘り……」
 私は気が遠くなりそうだった。ただでさえ、炎天下できついのに。その上、どこにあるのか解らない何かを。しかも、穴を掘って探し出すのは到底考えたくないことだった。それに、最初から呉林が気が付いていれば、苦労してゴルフ場を歩き回らずに済んだのでは?
「みんないるから大丈夫。元気をだして。きっと、助かるわ。希望を無駄にしないで」
 呉林は背筋を伸ばす、けれど、たった五人でこの広大な世界の元来た道を穴を掘って探すのは、不可能に近い。
「けれど、何日かかろうとやらなければ、元の世界に戻れないんだろ」
 角田は覚悟を決めたようで立ち上がる。

 私も立ち上がった。

 安浦もキッチンになっていた奥から、こちらに来て、参加してくれるようだ。渡部と呉林も立ち上がった。こうして、五人で私たちは、遥か遠くで命に危険なほど猛暑の中、穴を掘って探すことになった。


 私たちは呉林の指示で、私と呉林と安浦がこの世界で最初にきた雑木林に向かうことにした。
 念のために、私と呉林と安浦はテイーカップを、角田と渡部はプラスチックのコップを各々持って行った。雨が降ったらそれで受けるためだ。そして、渡部が持ってきた2リットルのお茶の入ったペットボトル。
 炎天下の猛暑はやはりひどく、五人は熱を持った頭をそのままにした。帽子がないことと、体中を流れる滝のような大量の汗。

 1時間くらいで、私は早くもリタイアしたかった。渡部の方を見ると、くたくたというより、リタイア寸前の様子。誰でもそうだが、渡部はとくに雪国出身だと言っていたので、炎天下は天敵のようであった。
「後、どれくらいですか?」
 渡部は泣きべそを掻いて呉林に言った。
「まだ、これからよ」
 風だけは以外と涼しい。ここが、非現実な広大なゴルフ場だということを一瞬でも忘れさせる。しかし、帽子もないのは危険過ぎだった。
 安浦は汗のかき過ぎで、青い顔をしている。カジキマグロを喜び勇んで料理した時の顔とは、正反対だった。
「大丈夫か安浦」
「な……なんとか。ご主人様」
 私の言葉に反応して、青い顔は少し晴れた。
 3時間くらいかけて雑木林に着く頃には、2リットルのペットボトルは空になっていた。雨は降らず、空はからからだった。

「暑い、暑い、丁度日影がある。少し休もう赤羽くん」
 暑さに根を上げた角田は雑木林の方へ向って、日影にどっしりと腰をおろした。それを見て呉林は「ええ、そうしましょ」と賛同した。
 みんなが、日蔭に座る。やはり、この世界には夜がなかったようだ。この世界にきてから、10時間は経ったと思われるが、空は相変わらず猛暑で少しも変わっていない。昼も夜も朝もない。
「呉林。気がついたんだが、穴を掘るものなんて無いぞ。手で掘るしかない。かなり深いところにあるとしたら、お手上げだぞ」
「そうね。その時はみんなで池の水を飲みましょ」


 休憩が終わり、東に向かってしばらくすると、みんな汗でバケツをかぶったようにびしょびしょの格好になった。疲れてきていた。頭もぼーっとして、これからの重労働どころではない。
「水もないし、池もない。どうしよう。あ、暑いよー」
 角田は疲れ果てた顔つきになって、さすがに弱音を吐いた。
「とりあえず、目的地らしいところに着いたわ」
 呉林は少し先の広大な砂地を指差した。ぼっかりとこれでもかと空いているバンカーだ。かれこれ、休憩をした雑木林から1時間余り東に行ったところだった。
「何で掘るんですか?」
 渡部ももう真っ青でふらふらだ。

「手よ!」

 この灼熱の世界で、炎の広大な砂地を手で掘るのは気が引けるどころか、自殺行為なのでは……。
 私は目が回った。今から水分補給をしに、遥か西へ戻れるワケでもない。呉林がいても、ここで死んでも何も可笑しくはない。どうしても、この灼熱地獄の真っ只中、暑過ぎる砂地に入りたくは無い。グラグラする頭から死の文字を必死で追い出す。
 一瞬、気を抜くと、ここは悪夢ではなく紛れもない酷い現実だった。
「呉林、こんなに広い砂地を手で掘っていくなんて。他の方法は探せないのか! そうでなきゃ……やっぱり、どうしてもっていうんだろ」
 考えたくもない絶望の二文字が頭を過る。もう決死の覚悟だった。

「俺もやるぜ。仕事がある」
「あたしも」
「僕も」

 みんな青い顔で広大な砂地の穴に勇み足になる。高温の砂の地獄へ入って行った。
 私はボロアパートへ帰るために、砂地へ降りた。
 この世界では、絶望とは以外と簡単なのだ。困難に立ち向かわずに元の世界に戻ることを諦めればいい。でも、そんなのは糞食らえだ。
 意地を張って、ただ地獄のようなかんかん照りの中、黙々と砂地を掘り返す。
 呉林は砂地に蹲って灼熱の砂を手で掘り始めた。服が大量の汗で変色しだす。
 太陽光で渡部、角田、安浦もあっという間に、服が汗で変色しだした。
 それは、凄まじい高温によって、服や体から湯気が沸く光景だった。

 呉林は手で掘りながら私に言った。

「赤羽さん……もうそろそろよ。頑張って! だんだんあなたの中で仲間が大切になってきているわ」
 呉林はふらふらの体で叱咤し、荒い呼吸でも決して諦めなかった。自分の不思議な力を信じているのは、他でもない彼女自身なのだ。絶対にみんなが助かると、彼女は砂まみれで必死に信じているのだろう。私も死ぬ覚悟だ。
 どれくらい経っただろうか。あっという間に日焼けしそうな太陽光の中、バラバラになって砂地を掘っていた仲間たち、まず、安浦が倒れ、そして、渡部と角田も倒れた。
 呉林は奇麗な茶髪のソフトソバージュと長い爪を、砂まみれにしていた。きっと、私と同じく目の回る吐き気を我慢しているのだろう。

 地獄と化したゴルフ場で10分は経っただろうか。
 それでも、彼女は諦めなかった。

 安浦や渡部、そして、角田は、呼吸も弱弱しくなりだした。
 私はグラグラとする頭で、吐いた。地面の吐瀉物からも湯気がでる。

「あ……赤羽……さん……強い……意志……を……もうちょっとよ」
 彼女は体中の水分を一体どれくらい失ったかで……倒れる。
辺りはしんと静まり返った。私の他はみんな倒れている。私はもう死を待つだけだった。
「あ……雨……雨でも……降れ……ば」
 出来れば喉の渇きを潤してから死にたかった。
 ポカンと空に口を開けていると、それと同時に冷たい風が吹いた。

 ポツリ。
 空から滴が落ちてきた。
 雨が降ってきた。

 しばらく必死に上を向き、口いっぱいに雨水が溜まると、それを飲む。
私は体の中に水分が行き届くと、勢いよくラクダ色のTシャツを投げ捨てた。砂地を猛烈な勢いで掘り返す。
それでも彼女のことは、見守っていた。倒れている呉林の顔を目の当たりにしていた。私は呉林が途方もなく強く見えた。刑務所で強い意志を持ってと彼女に言われたが、今の私はその半分の意思も持っていないただの小心者のように思えてしまう。
 私は倒れそうになりながら、砂地を掘り返した。汗を振り撒き、やり切れない気持で、最後に地面を殴ると、その拍子に小さい穴ができた。

「じりりりりりー」

 叩いた場所から砂だらけの赤い目覚まし時計がでてきた。
 あと一歩だったのだ。
 辺りに赤い目覚まし時計の音が鳴り響く。

「こ……これで元の世界に戻れるか……も……」

 雨の中で吐き気を堪え、ふらふらの体を鞭打ち、砂地に埋まっていた赤い古風な目覚ましを振りかざした。

 イースト・ジャイアントは騒然となっていた。中の3人の客が衰弱して倒れたのだ。救急車がサイレンを鳴らして、車の多い道の中央を走る。店内に白い服と白いメットを被った数人の男たちが担架を3本携えて入ってきた。
 3人とも意識不明の重体だった。
「毒でも入っていたのかしら……」
「この店に限ってそんなことは……」
 周囲に野次馬たちができた。
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