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第43話:聖地の謎と芽吹く生命樹
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アキオとシルヴィアが「村の中心となるべき聖地」を見定め、仲間たちとその感動を分かち合った数日後。アキオは、改めてその場所をシルヴィアと共に訪れていた。村の設計図を描くにあたり、もう一度、中心地の気配を肌で感じておきたかったのだ。
しかし、そこでアキオは奇妙な事実に気づく。
「…おかしいな。シルヴィア、ここだよな? 俺たちが大地の鼓動を感じたのは」
周囲は豊かな緑に覆われているにも関わらず、シルヴィアが指し示したまさにその中心点、直径数メートルほどの円形の土地だけが、まるで意図的に整地されたかのように、草一本生えていない「ぽっかり空いた」場所になっていたのだ。あれほど強い生命力を感じた場所が、なぜ――。
「ええ、確かにここだわ」シルヴィアも眉をひそめ、不思議そうにその空地を見つめる。彼女は再びそこにうつ伏せになり、アキオにも促した。二人して大地に耳を澄ます。以前感じた大地の力強い鼓動は確かにそこにある。しかし、それとは別に、シルヴィアは何か別のものを感じ取っていた。
「アキオ…」彼女は顔を上げ、真剣な表情で言った。「この場所からではない…もっと奥。森の、さらに深いところから、何かが私を、私たちを呼んでいる。そして…『自分を使ってほしい』と、切に訴えかけているような気がするの」
シルヴィアの言葉に導かれるように、二人はその「空いた聖地」から、森の奥へと続く微かな気配を辿り始めた。それは、獣道とも違う、まるで精霊が通るかのような清浄な小径だった。しばらく進むと、森の木々が少し開けた、陽光が優しく差し込む場所に辿り着く。そして、その中央に、彼らはそれを見つけた。
それは、まだ指の太さにも満たない、か細くも凛とした「小さな若木」だった。数枚の瑞々しい葉をつけ、その先端には生まれたばかりの柔らかな新芽がきらめいている。一見すればどこにでもありそうな若木だが、シルヴィアはその木が放つ、清らかで強大な生命力と、そして確かに宿る「意志」を感じ取っていた。
「…この子だわ」シルヴィアが囁く。「この若木が、あの聖地で芽吹くことを望んでいる。あの場所は、この子のために用意された玉座なのよ」
アキオも、その若木から放たれる不思議なオーラに息をのんだ。シルヴィアの言葉は、すとんと胸に落ちた。あの聖地の空白は、この若木を迎えるためにあったのだと。
二人は、若木の周囲の土を、シルヴィアが薬草を扱う時のように丁寧に、そしてアキオが熟練の技でそっと掘り起こしていく。若木は、まるで自分たちの運命を知っているかのように、静かにその手に委ねられた。
聖地へと持ち帰った若木を、ぽっかりと空いた円の中心に植える。シルヴィアが清めた水を注ぎ、アキオがその根元を優しく土で固めた、その瞬間だった。
ズウゥン……というような、地響きとも違う、しかし確かな波動が、植えられた若木を中心に周囲へと広がっていくのを、アキオとシルヴィアは肌で感じた。そして、足元の土から、周囲の木々から、大気そのものから、急激に生命の力――マナとでも呼ぶべきもの――が満ち溢れ、その濃度を増していくのを感じる。若木は、まるで喜ぶかのようにその小さな葉を震わせ、淡い光を放ち始めた。
「すごい……土地の力が、何倍にもなっている……」アキオが驚愕の声を上げる。
シルヴィアは、恍惚とした表情でその光景を見つめていた。「この子は、ただの木ではないわ。森の精霊そのもの、あるいは、大地の化身…この村を守り、育む『生命樹』となるでしょう。そして…」
彼女は、遠い未来を見るような瞳で続けた。
「この生命樹の光に導かれて、助けを求める多くの人々が、精霊の囁きを聞いたと言って、この地に集うことになるわ。きっと…それに、この豊かな生命力は、森の聖なる獣たちをも呼び寄せるやもしれぬわね…」
小さな若木は、今やアキオたちの新しい村の、揺るぎない生きた中心となった。その根本から広がる力は、やがてこの地を比類なき豊かな聖域へと変えていくのだろう。そして、その聖域は、戦乱に疲弊した多くの魂にとって、まさに終の棲家となる希望の光となる運命を秘めているようだった。アキオは、隣で微笑むシルヴィアの手を強く握りしめ、この奇跡と共に生きていく決意を新たにした。
しかし、そこでアキオは奇妙な事実に気づく。
「…おかしいな。シルヴィア、ここだよな? 俺たちが大地の鼓動を感じたのは」
周囲は豊かな緑に覆われているにも関わらず、シルヴィアが指し示したまさにその中心点、直径数メートルほどの円形の土地だけが、まるで意図的に整地されたかのように、草一本生えていない「ぽっかり空いた」場所になっていたのだ。あれほど強い生命力を感じた場所が、なぜ――。
「ええ、確かにここだわ」シルヴィアも眉をひそめ、不思議そうにその空地を見つめる。彼女は再びそこにうつ伏せになり、アキオにも促した。二人して大地に耳を澄ます。以前感じた大地の力強い鼓動は確かにそこにある。しかし、それとは別に、シルヴィアは何か別のものを感じ取っていた。
「アキオ…」彼女は顔を上げ、真剣な表情で言った。「この場所からではない…もっと奥。森の、さらに深いところから、何かが私を、私たちを呼んでいる。そして…『自分を使ってほしい』と、切に訴えかけているような気がするの」
シルヴィアの言葉に導かれるように、二人はその「空いた聖地」から、森の奥へと続く微かな気配を辿り始めた。それは、獣道とも違う、まるで精霊が通るかのような清浄な小径だった。しばらく進むと、森の木々が少し開けた、陽光が優しく差し込む場所に辿り着く。そして、その中央に、彼らはそれを見つけた。
それは、まだ指の太さにも満たない、か細くも凛とした「小さな若木」だった。数枚の瑞々しい葉をつけ、その先端には生まれたばかりの柔らかな新芽がきらめいている。一見すればどこにでもありそうな若木だが、シルヴィアはその木が放つ、清らかで強大な生命力と、そして確かに宿る「意志」を感じ取っていた。
「…この子だわ」シルヴィアが囁く。「この若木が、あの聖地で芽吹くことを望んでいる。あの場所は、この子のために用意された玉座なのよ」
アキオも、その若木から放たれる不思議なオーラに息をのんだ。シルヴィアの言葉は、すとんと胸に落ちた。あの聖地の空白は、この若木を迎えるためにあったのだと。
二人は、若木の周囲の土を、シルヴィアが薬草を扱う時のように丁寧に、そしてアキオが熟練の技でそっと掘り起こしていく。若木は、まるで自分たちの運命を知っているかのように、静かにその手に委ねられた。
聖地へと持ち帰った若木を、ぽっかりと空いた円の中心に植える。シルヴィアが清めた水を注ぎ、アキオがその根元を優しく土で固めた、その瞬間だった。
ズウゥン……というような、地響きとも違う、しかし確かな波動が、植えられた若木を中心に周囲へと広がっていくのを、アキオとシルヴィアは肌で感じた。そして、足元の土から、周囲の木々から、大気そのものから、急激に生命の力――マナとでも呼ぶべきもの――が満ち溢れ、その濃度を増していくのを感じる。若木は、まるで喜ぶかのようにその小さな葉を震わせ、淡い光を放ち始めた。
「すごい……土地の力が、何倍にもなっている……」アキオが驚愕の声を上げる。
シルヴィアは、恍惚とした表情でその光景を見つめていた。「この子は、ただの木ではないわ。森の精霊そのもの、あるいは、大地の化身…この村を守り、育む『生命樹』となるでしょう。そして…」
彼女は、遠い未来を見るような瞳で続けた。
「この生命樹の光に導かれて、助けを求める多くの人々が、精霊の囁きを聞いたと言って、この地に集うことになるわ。きっと…それに、この豊かな生命力は、森の聖なる獣たちをも呼び寄せるやもしれぬわね…」
小さな若木は、今やアキオたちの新しい村の、揺るぎない生きた中心となった。その根本から広がる力は、やがてこの地を比類なき豊かな聖域へと変えていくのだろう。そして、その聖域は、戦乱に疲弊した多くの魂にとって、まさに終の棲家となる希望の光となる運命を秘めているようだった。アキオは、隣で微笑むシルヴィアの手を強く握りしめ、この奇跡と共に生きていく決意を新たにした。
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