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第一章:この指止まれ
有栖_1-2
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有栖と右京は、とある調査をしていたときに知り合った。『カラーズ』と呼ばれる違法ハーブを売買していたグループに彼は所属していたのだが、彼自身はそのことを知らずにいざというときの身代わり役としてメンバーに入れられていたのだ。
結果的にそのことに気づいた有栖が右京を説得・協力することにより、上手く立ち回り、カラーズは逮捕された。右京はユースティティアに協力したこともあり、無実となった――というのが要約された経緯だ。
「お久しぶりです、有栖さん。立ち話だと疲れちゃうので……」
そう言って互いに挨拶を交わすと、二人は同じテーブルに向かい合って座った。ランチが出てくるまでには少し時間があるので、彼女も同意した形だ。願わくば、話は雑談で、ランチが届くまでには終わって欲しいと思いながら。
「楓(かえで)ちゃんとは仲良くしてる?」
会話の切り出しは共通の知人に限る。楓、というのは一色 楓(いっしき かえで)――彼女は有栖の上司である一色 誠の娘である。右京と楓は交際しているのだが、そのことが親公認なのかは有栖は知らないし、踏み込むつもりもない。
「その楓について相談なんですけど……」
右京の口調が少し重い。それを感じて、有栖はこの話が雑談であることを諦める。居住まいを正すと、彼女は優しく聞いた。
「楓ちゃんがどうかしたの?」
「楓は……もしかしたら学校でイジメられているかもしれません」
「楓ちゃんが?」
右京から発せられた衝撃的な単語と、楓という人物が結びつかない、というのが有栖の正直な感想だった。
イジメの対象となるきっかけは多種多様で誰しもがターゲットになる可能性を孕んでいることを有栖も理解している。しかし、それでもターゲットなる人物の共通点として加害者側へ反撃できないような臆病な性格であることが多い。しかし、楓はそれに該当しない。
楓、という人物は正義感が強く、コミュニケーション能力も高く、賢い。それを気にくわない人もいるだろうが、敵に回したくは無いだろうし、彼女自身も何か被害を被ってそのまま泣き寝入りするとは思えない、というのが有栖の楓に対する印象だった。
「想像できないのは解りますけど」
有栖が見せる不可解を表現する表情を見て、右京は苦笑いだ。
「そう思った理由は?」
「学校帰りに会うと、薄いですけど、アザや傷。カバンがボロボロだったことが最近ありまして、聞いても誤魔化されて……有栖さん、助けてくれませんか?」
真っ直ぐな右京の言葉に、表情には出さないが有栖は困っていた。
右京は純粋で素直な男だ。それ故に、楓を心配する気持ちも嘘ではないのだろう。そして、彼にとって有栖は信頼できる大人なのだ。ユースティティアだから、ではなく、一人の人間として。
なので、助けたい、という気持ちも当然あるが問題は――これが『イジメ』ということだった。
結果的にそのことに気づいた有栖が右京を説得・協力することにより、上手く立ち回り、カラーズは逮捕された。右京はユースティティアに協力したこともあり、無実となった――というのが要約された経緯だ。
「お久しぶりです、有栖さん。立ち話だと疲れちゃうので……」
そう言って互いに挨拶を交わすと、二人は同じテーブルに向かい合って座った。ランチが出てくるまでには少し時間があるので、彼女も同意した形だ。願わくば、話は雑談で、ランチが届くまでには終わって欲しいと思いながら。
「楓(かえで)ちゃんとは仲良くしてる?」
会話の切り出しは共通の知人に限る。楓、というのは一色 楓(いっしき かえで)――彼女は有栖の上司である一色 誠の娘である。右京と楓は交際しているのだが、そのことが親公認なのかは有栖は知らないし、踏み込むつもりもない。
「その楓について相談なんですけど……」
右京の口調が少し重い。それを感じて、有栖はこの話が雑談であることを諦める。居住まいを正すと、彼女は優しく聞いた。
「楓ちゃんがどうかしたの?」
「楓は……もしかしたら学校でイジメられているかもしれません」
「楓ちゃんが?」
右京から発せられた衝撃的な単語と、楓という人物が結びつかない、というのが有栖の正直な感想だった。
イジメの対象となるきっかけは多種多様で誰しもがターゲットになる可能性を孕んでいることを有栖も理解している。しかし、それでもターゲットなる人物の共通点として加害者側へ反撃できないような臆病な性格であることが多い。しかし、楓はそれに該当しない。
楓、という人物は正義感が強く、コミュニケーション能力も高く、賢い。それを気にくわない人もいるだろうが、敵に回したくは無いだろうし、彼女自身も何か被害を被ってそのまま泣き寝入りするとは思えない、というのが有栖の楓に対する印象だった。
「想像できないのは解りますけど」
有栖が見せる不可解を表現する表情を見て、右京は苦笑いだ。
「そう思った理由は?」
「学校帰りに会うと、薄いですけど、アザや傷。カバンがボロボロだったことが最近ありまして、聞いても誤魔化されて……有栖さん、助けてくれませんか?」
真っ直ぐな右京の言葉に、表情には出さないが有栖は困っていた。
右京は純粋で素直な男だ。それ故に、楓を心配する気持ちも嘘ではないのだろう。そして、彼にとって有栖は信頼できる大人なのだ。ユースティティアだから、ではなく、一人の人間として。
なので、助けたい、という気持ちも当然あるが問題は――これが『イジメ』ということだった。
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