有栖と奉日本『千両役者のワンカラ―』

ぴえ

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第一章:これまでのこと。そして、これからのこと

京_1-1

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「誠……ごめんなさい……」
 
 天使たちの車を追うこともできず、京はハンドルに手をかけたまま力なく俯き、そして、呟いた。
 そこに――

 うなだれる京の耳に窓を軽く叩く音が二回響いた。絶望の底に沈み切る前だった彼女が油の切れた機械のように顔を上げる。

「えっ――」

 そこに立っていたのは見知った男性だった。しかし、何故、この場所に彼がいるのかが京には理解できなかった。ただ絶望に足を踏み入れそうになったところに驚きと困惑の感情が差し込まれたことにより、彼女はそれ以上その先に進むことはなかった。
 運転席側の窓を下ろし、車内と外の境界線を無くすと、京はその男性に声をかけた。

「真木くん。どうしてここに?」

 そこに立っていたのはかつて京の後輩でもあった真木だった。彼は元警察だ。辞めたのは過去に反保がユースティティアに所属するきっかけとなった事件で一人の警察官が犯人だったから。その責任を負って辞めたことを彼女も知っている。その後の詳細は知らないが元気でやっている、とだけ一色から聞いていた。

「説明はあとで。それよりも行きましょう」
「行くって、何処に?」
「それは道中に説明します。あぁ、当然あの二人も連れて」

 真木が立てた親指を横に倒し、車の前方を指した。混乱している京は単純な行動に思考が促され、指先を追って視界をそちらに向ける。

「あっ……」

 こぼれた言葉の先は、ただ生存を確認できたことによる安堵によりせき止められた。
 京の視界に反保の肩を借りて歩いてくる有栖――二人の部下の姿が映った。
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