有栖と奉日本『千両役者のワンカラ―』

ぴえ

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第一章:これまでのこと。そして、これからのこと

虹河原_1-2

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「作戦本部?」

 有栖が復唱した言葉に虹河原は自嘲気味に小さく笑う。

「看板は立派だがやれることをやっているたけだ。所詮、全ては誰かの掌の上だ。上手く転がるか、不器用に転がるかそれだけだ」

 理解出来ていない有栖達の顔を一瞥すると、虹河原は真木へ、

「会議室で話しましょう。これまでのことを最初から話す必要があります」

 そう声をかけると相手は頷き、準備しておくといわんばかりに先に目的地へと移動した。

「他のみなさんは引き続き対応をお願いします。飛田くんが仕込んだ端末の位置情報のみネットワークに繋いで監視を。他は念の為オフラインでのやり取りで」

 虹河原の言葉で頷く者もいれば、元気の良い返事をする者もいる。彼は指示に対する反応を確認すると、有栖達へと向き直り、

「こっちだ」

 そう言って、虹河原が住み慣れた我が家のようにオフィス内を歩く。有栖達もその後に続いた。

「この人達は?」

 会議室に着くまでの間で混乱しているであろう有栖が選んだ質問はそれだった。

「元警察の人達だ。いや、正しく言うとまだ警察に所属している人達もいる。どちらにせよ、真木さんのように優秀で、影響力があり、一部の人間から邪魔だと思われている――警察の腐った部分を変えようとしていた人達だ」

 その回答に納得したかは解らないが有栖からの追加の質問はなかった。虹河原達はパーテーションで区切られた一つの会議室へと入る。四つの長机を二つずつ長辺同士をくっつけて、大きな机を作ってものが真ん中にあり、その周囲を椅子は囲んでいた。
 その机にはプロジェクターが置いてあり、それに繋がっているノートパソコンを真木が何やら操作している。

「もう少し時間がかかるぞ」
「その間にこれまでのことを説明しておきます。そろそろ役者も揃うはずでしょうし」

 虹河原がそこで言葉を切ると、一定のリズムで床が響き、揺れる。近くを誰かが走っており、ワンフロアなのでその衝撃が伝わってきているのだろう。その揺れが強まり、足音が近づき、会議室の前で消えた。そして、代わりにノックの音が響いた。

「どうぞ」

 虹河原が応えるとドアが開き、入ってきたのは飛田だった。

「ただいま戻り……ました」

 威勢の良い声が尻すぼみに小さくなったのは飛田の視界にユースティティア、というよりは反保が入ったからだった。彼は気まずそうにこそこそと虹河原の近くへと移動した。
 飛田が横に来たのを確認すると、全員を座らせた後、彼は口を開いた。

「全員そろったので、全て話しましょう。まずは、これまでのこと。そして、これからのことを」
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