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7話 俺だけ見てろ
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僕はアジトの壁にもたれかかって、ふぅっと一息つく。
「良い顔になったじゃねぇか」
ヴォルクさんもそう言って僕の隣へともたれかかる。
「えへへ、なんだかすごくスッキリしました。ありがとうございます」
「物壊されて礼なんか言ってんじゃねぇよ」
ヴォルクさんは喉でくっくと笑う。
「でも、僕、これで魔法使えなくなっちゃいました……」
「アホかお前は。その包破いてみろ」
「え? は、はい」
僕は思いっきりその包紙を破いていく。ローブとは違って紙だったので、今度は1人でビリビリと破くことができた。
「あ、あぁ……!」
包から顔を出したのは、1本の魔法杖と2着の魔道士のローブだった。
「壊した詫びだ。それ、やる」
「……ヴォルクさんっ……僕っ……!」
僕の目からはまたもや涙がボロボロとあふれ出てきた。
嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。
「うぅ……ぐずっ……ふぇ……うれしい……」
すると、ヴォルクさんはまだ泣いている僕の腕をグイッと引っ張り、僕を壁へ押し付けて壁ドンした。
「いいか、もうこれでお前を縛るもんはなんもねぇ。この杖持って、このローブ着て、自由に魔法をぶっ放せばいい」
「うん……」
「もしそれでもまだ過去のこと思い出しそうになったら……そん時は、俺だけ見てろ」
「ふぇぇ……」
僕のハートは“その俺だけ見てろ”という台詞に完全に撃ち抜かれた。
ヴォルクさん……カッコ良すぎる……。
「そうすりゃ俺が、んなちっぽけな悩み忘れさせてやる。分かったか、エミル……」
「は、はい……! ありがとう、ヴォルクさん……」
僕がそう返事をすると、ヴォルクさんは軽く舌打ちをした。
「いつまでそうやって呼ぶつもりだ。いいか、俺の名前はヴォルクだ。ヴォルク“さん”じゃねぇ」
「はい……じゃない、えっと……うん、ヴォルク!」
僕がそう照れてはにかむと、ヴォルクは満足そうにニッと笑い、親指で僕の涙を拭ってくれた。
壁ドンから解放されてヴォルクの背中を追っかけていた僕は、調子に乗ってその背中に抱きついた。
「なっ、てめぇ、何しやがるこのクソチビ!」
「えへへ、ヴォルクだけ、見てるんだよ?」
「~っ! ちょ、調子に乗ってんじゃねぇぞ! チッ。明日ホブゴブリン200体倒すまで帰ってくんなクソが!」
「ええええ~!」
僕たちがそうイチャつきながらアジトへと入るのを、丁度討伐帰りのルークが遠くから見ていた。
「良い顔になったじゃねぇか」
ヴォルクさんもそう言って僕の隣へともたれかかる。
「えへへ、なんだかすごくスッキリしました。ありがとうございます」
「物壊されて礼なんか言ってんじゃねぇよ」
ヴォルクさんは喉でくっくと笑う。
「でも、僕、これで魔法使えなくなっちゃいました……」
「アホかお前は。その包破いてみろ」
「え? は、はい」
僕は思いっきりその包紙を破いていく。ローブとは違って紙だったので、今度は1人でビリビリと破くことができた。
「あ、あぁ……!」
包から顔を出したのは、1本の魔法杖と2着の魔道士のローブだった。
「壊した詫びだ。それ、やる」
「……ヴォルクさんっ……僕っ……!」
僕の目からはまたもや涙がボロボロとあふれ出てきた。
嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。
「うぅ……ぐずっ……ふぇ……うれしい……」
すると、ヴォルクさんはまだ泣いている僕の腕をグイッと引っ張り、僕を壁へ押し付けて壁ドンした。
「いいか、もうこれでお前を縛るもんはなんもねぇ。この杖持って、このローブ着て、自由に魔法をぶっ放せばいい」
「うん……」
「もしそれでもまだ過去のこと思い出しそうになったら……そん時は、俺だけ見てろ」
「ふぇぇ……」
僕のハートは“その俺だけ見てろ”という台詞に完全に撃ち抜かれた。
ヴォルクさん……カッコ良すぎる……。
「そうすりゃ俺が、んなちっぽけな悩み忘れさせてやる。分かったか、エミル……」
「は、はい……! ありがとう、ヴォルクさん……」
僕がそう返事をすると、ヴォルクさんは軽く舌打ちをした。
「いつまでそうやって呼ぶつもりだ。いいか、俺の名前はヴォルクだ。ヴォルク“さん”じゃねぇ」
「はい……じゃない、えっと……うん、ヴォルク!」
僕がそう照れてはにかむと、ヴォルクは満足そうにニッと笑い、親指で僕の涙を拭ってくれた。
壁ドンから解放されてヴォルクの背中を追っかけていた僕は、調子に乗ってその背中に抱きついた。
「なっ、てめぇ、何しやがるこのクソチビ!」
「えへへ、ヴォルクだけ、見てるんだよ?」
「~っ! ちょ、調子に乗ってんじゃねぇぞ! チッ。明日ホブゴブリン200体倒すまで帰ってくんなクソが!」
「ええええ~!」
僕たちがそうイチャつきながらアジトへと入るのを、丁度討伐帰りのルークが遠くから見ていた。
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