【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音

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10話 嫉妬のリーダー様

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【エリミナの町 宿屋】

 僕はヴォルクに宿屋の個室に連れ込まれ、そのままベッドに押し倒された。

「うわぁっ! え、ちょ、待って、これ、どういう状況!?」

 僕は盛大にパニックに陥る。だってこれ、めちゃくちゃマズイやつじゃ……。

「お前、さっきあいつに何されてやがった?」
 ヴォルクは僕に馬乗りになって顔をグッと近付けそう迫った。

「な、何って……ほっぺに……キスを……。でもあれは、僕良いって言ってないのにケントが勝手に……」

 僕は必死に恋人がするような言い訳をする。
 あれ? なんで僕こんな必死に言い訳してるんだ?

「何でもっと強く拒否しなかった? されてもいい、くらいに思ってたのか?」
 ヴォルクも恋人のように責め立ててくる。

「ち、違うもん! そんなこと思ってないもん。ホントだもん……」
 僕はちょっと涙目になる。

「チッ……ならちゃんと抵抗しろよ。やめろって大きな声で言えよ」

「うん……次は、ちゃんと言う……」


「なら、抵抗する練習だな」

「えっ?」

 僕がなんのことかと思っていると、ヴォルクの顔が更に迫ってきて、お互いの唇が触れるか触れないかくらいのところで止まる。

「何で抵抗しねぇんだよ……」
 ヴォルクはちょっと顔を赤らめて、静かにそう言った。

「だ、だって今は……抵抗、する必要ないから……」

「!」

 ヴォルクは一瞬目を見開くと、すぐにそのまま目を閉じて、僕の唇へキスを落とした。


 触れるだけの、でも、長いキス。


 ヴォルクには好きとかって一言も言われてないけど、キスでその気持ちは十分に伝わってきた。


 やがてゆっくりと唇が離れると、ヴォルクが口を開いた。

「ルークやケントにもこんなふうに宿屋連れ込まれたり、唇奪われたりすんじゃねぇぞ……。お前は俺のもんだ。俺だけのもんだ」

「じゃぁ……ヴォルクが守ってよ?」

「んだと?」

「最近ずっと構ってくれなかったでしょ? リーダーのお仕事大変なの分かるけど……僕だって寂しかったんだからね?」

「~っ! 調子良いこと言ってんじゃねぇぞ……クソが!」

 ヴォルクはそう言って僕のお腹を思いっきりくすぐってくる。

「あはははっ! やめ、やめて……くすぐった……」

「もう俺以外に何も奪われないって約束しろ」

 ヴォルクは手を止めずにそう言う。

「する、します……! 約束、するからっ! あはははっ、もうやめっ、許して……っ!」

 するとようやく僕はくすぐりから解放され、ヴォルクは身体を起こしてそのままベッドへ座った。

 僕もはぁはぁと呼吸を整えながら、身体を起こす。

 ヴォルクは、僕に背を向けたまま独り言のように口を開いた。
「……この町の、美味い酒場知ってんだ。元貴族のボンボン様がお気に召すか知らねぇけど……今から行くか?」

 え、それって……。

「デートのお誘い?」

 僕がそう言ってヴォルクの顔を覗き込むと、彼は真っ赤になっていた。

「るせぇな! 行きたくねぇならこのまま帰んぞ!」

「行く、行きたい! 連れてって?」

「……ならさっさと行くぞ」


 そして部屋を出る直前、ヴォルクは僕の顎をグッと持ち上げると、顔を近付けてこう言った。

「次お前がフラフラするようなことがあれば……そん時は身体に直接教えるからな」

「……はい……」

 僕は、正直今教えられてもいいって、思ってしまった。

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