光と瘴気の境界で

天気

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レクナ村

レクナ村3

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 日が落ち、レクナ村の空気が冷えはじめた頃――
視察を終えたアルバートとルートが村長宅へ戻ってきた。

部屋に入ると、はるは起きて座っており、
セナがそばで薬品を整理していた。

「戻ったか。どうだった?」
セナが尋ねると、ルートは肩を落としながら答える。

「まあ、予想よりちょっと厄介そうって感じかな。
しっかり作戦を練った方がいいかもしれない。あとは明日かな。」

アルバートは黙って頷き、
はるに目を向ける。

「体調はどうだ」

短い言葉だが、その声は優しかった。

はるは小さく首を縦に振る。
「……大丈夫です。ちょっとふらつくけど……」

その返事に、ルートとセナもほっと息を吐いた。





夕食は村長宅で準備された温かいシチューとパン。
はる、アルバート、ルートの3人は一緒に、テーブルについた。

湯気の立つ器を前に、
はるはスプーンをゆっくり口に運ぶ。
だが――すぐに、ルートが気づいた。

「……はるくん、それで終わり?」

はるの器には、半分以上残ったまま。
一方でアルバートとルートの皿は、
すでに空になりそうだった。

「は、はい……もうお腹いっぱいで、残してしまってすみません……」

言いづらそうに答えるはる。

ルートは心配そうに眉を寄せた。

(17歳の男の子なら、普通もっと食べるはずなんだけどな……
しかも旅の途中で体力も必要なのに)

アルバートも同じことを考えているのか、
はるの皿をちらりと見て静かに言った。

「無理に食べる必要はないが……
少しずつでも口にした方が良い。
体力は回復のためにも必要だ」

はるは申し訳なさそうに、
残っていたシチューをあと二口だけ食べた。

ルートは柔らかく笑い、

「じゃあさ、はるくん。お腹が空いたらちゃんと教えるんだよ?
僕らならすぐ何か作れるし」

その声音はいつもの飄々としたものではなく、
優しい兄のようだった。

はるは小さく微笑んだ。

「……ありがとうございます。」





食事を終え、
まだ温かいままの湯屋へ案内される。

村長宅の浴室は簡素だが広く、
村人たちが沸かした湯気が白く満ちていた。

アルバートがはるの肩に手を添えながら言う。

「一人で立つのはまだ難しいだろう。
俺がついている。安心して入れ」

はるは恥ずかしさと情けなさで、
頬を赤くしながら小さく頷いた。

「……すみません。お願いします」

ルートはタオルを渡しながら、
冗談めかして肩を竦める。

「気にしなくていいよ。
倒れでもしたら団長が泣いちゃうからね?」

アルバートがわずかに、目を細めて睨む。

「…………」

ルートはにこにこ笑いながら、
セナと共に風呂場の外へ出て行く。

「じゃあ、ゆっくり温まっておいでー。
転ばないようにね」

扉が閉まると、
浴室には湯の音と、はるのわずかな緊張だけが残った。

前の世界では、小さな子供の時に母親や父親に頭を洗うのを手伝ってもらったことはあるが、はるはもう17歳。
手伝ってもらうことに少し躊躇いを感じていた。

アルバートは慣れているように手際良くはるの背を支えながら、湯の縁にゆっくりと誘導する。
流れるように全身洗われていった。
気が付いたら湯船に浸かっていたはるは、緊張もどこかに行ったように久しぶりの湯船に気を緩めた。







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