光と瘴気の境界で

天気

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王都

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謁見の間を出て部屋に戻った瞬間、
はるは思わず大きく息を吐いた。

「……緊張した……」

ぽつりとこぼれた本音に、ルートが吹き出しそうになるのを必死に堪える。

「そりゃあね。いきなり国王陛下直々だもん。大人でも胃が痛くなるよ」

セナも頷きながらはるの額に手を当て、熱や魔力の乱れがないか確かめる。

「……問題なし。だが、精神的疲労は溜まっちまったな。
後で必ず休ませるぞ」

はるは素直に頷いた。


その様子を、少し離れた位置からカエルスが腕を組んで眺めていた。
先ほどまでの謁見で見せた苛烈な気配は抑えられているが、視線は鋭い。

「陛下の命だ。
当面、黒の君は王城に滞在。
第一、第二騎士団双方で警護に当たる」

「共同、か」

ルートが苦笑する。

「相変わらず仲良くできそうにないね」

「はるは守る」

アルバートは短く言い切った。

その言葉に、はるは少しだけ安心した。




――王城での生活は、すぐに始まった。


用意されたのは、客室というより“小さな離宮”に近い部屋。
陽の光が柔らかく差し込み、調度品も温かみのあるものばかりだ。

「すご……」

思わず見回すはるに、セナが釘を刺す。

「感動するのはいいが、今日は休養優先だ。
明日から魔力測定と練習が始まる」

「そ、測定……」

はるの肩がびくっと跳ねる。

(ど、どんなことをするんだろう…まず僕が使えるのかな)


アルバートは、その様子を見て静かに言った。

「無理なことはさせない。」

「……うん」

はるは小さく微笑んだ。




その夜。

眠りについたはるの夢の中で――
黒く、底知れぬ“何か”が、静かに目を覚ます。

『……ようやく、城か』

誰にも聞こえぬ声が、頭の中に響く。

『ここからだ――黒の君』

はるは、答えることもできないまま、
ただ胸の奥がざわめく感覚に身を委ねていた。




王城の灯が、遠くで揺れている。










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