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王都
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しおりを挟む魔力測定室を出たあと、はるはそのまま塔の一角――静養室へと案内された。
重厚な扉が閉まると、外の張りつめた空気が嘘のように遠のく。
柔らかな絨毯と、淡い香草の香り。
ベッドに腰掛け、セナの丁寧な診察を受ける。
何度も受け慣れたはずのセナの診察だが、はるは落ち着かなかった。
(…変な、感じ……落ち着かない……)
ベッドに腰を下ろすと、体の奥にまだ微かな痺れが残っている。
疲労というより、“深いところを覗いた”あとの違和感。
「無理に動くな」
アルバートが、自然な仕草ではるの前にしゃがみ込む。
「……さっきのは、やっぱり……危なかった?」
「危険だった」
即答だった。
だが、声は静かで、責める色はない。
「しかし、お前が悪いわけじゃない。
誰も、あの力の扱い方を知らないだけだ」
はるは視線を落とした。
「……王様は、どう思うのかな……」
その問いに、アルバートは一瞬だけ言葉を選んだ。
「陛下は……お前を“希望”として見ている」
その言葉に、はるの胸が小さく締めつけられる。
希望。
救い。
切り札。
(……でも、あんなの…どうしたら……)
「だが」
アルバートは、はるの視線を逃がさない。
「俺は、違う」
はるが顔を上げる。
「俺は――お前を、一人の人間として見ている」
その低い声は、はっきりとしていた。
「お前の、はるの考えている事が、はるが選ぶ事が大事だ。
はるは、この国道具なんかじゃない」
その瞬間、胸の奥で何かがほどけた。
「……ありがとう……」
はるは小さく息を吐いた。
その様子を優しく見守っていたセナ。
「一先ず、魔力も消耗してないし波形も大きく乱れたりはしていない。
…驚いただろう。ゆっくり休んで欲しいんだが、少しだけさっきの事を聞かせてくれるか?」
「…はい。」
セナがベッドサイドに椅子を持ってくる間、
アルバートがはるの首元を緩め、背中にクッションを挟む。
「ざっくりで申し訳ないが、、どんな感じだったんだ?」
手元に視線を落とし、少し考えてから
「…えっと、なんか不思議な感じで、、昨日もこんな事があったんですけど、
知らない声が聞こえてきたんです。」
「…知らない声か、どんな声なんだ?」
「優しいような冷たいような、、何だか伝えにくいんですけど、、よく分からなくって、でも確かに聴こえて…
周りの音よりも頭の中に響くような声でした。」
セナも慎重に頷きながら、
「そうか…どんな事を、話していたか覚えているか?」
はるは頷き、魔力測定中に聴こえてきた言葉と
明け方に聴こえてきた言葉を伝える。
はるの話す事を漏らさず、素早く記す。
「流れを許す…か、それで力を抜きその声に委ねた時、
あの光が現れたんだな。」
「きっと、なんだか温かくて、でも……
真っ暗な、、底がない穴に落ちそうな、感じで…」
膝の上で合わせていた手に力が入る。
そっとアルバートの手がはるの手に触れる。
「怖かったな。」
「っ……」
アルバートを見つめ、
「あの時、呼んでくれなかったら…
…どうやったかも分からないけど、止められなくて、
深くまで行ってしまいそうで、、分からなくて、、
……怖かった」
はるの手に触れていた手が
頭を優しく撫でる。
「…よく話してくれた。大丈夫だ。」
ゆっくりと目を閉じ、大きく温かい手で撫でられる感覚に身を委ねる。
はるの話した言葉を記し終えたセナが
「すまねえ、はる。怖かったんだな…
俺たちが魔法を使う感覚とまた違うのかもしれない。
…はるの力を、はるも俺たちも知らないが、、
はるの意思に関係なく勝手に使われねえようにする為に、知る必要があるんだ。」
そっと目を開け、優しく、しかし覚悟しているような眼差しのセナとアルバートを見つめる。
(何も分からない僕の、体や力だけじゃなくて、、
意思を、選択を守ろうとしてくれてるんだ……)
「…ありがとう。
……ぼくも自分がなんなのか、力の事も、、
知りたい。自分で決めたい。」
ぎゅっと手を握り、真っ直ぐな瞳が覚悟を決め
自分の運命を自らの手で変えようと動きだす。
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