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しおりを挟む知らせを聞いて、無意識に早くなる歩み。
生徒会室の扉を開けた瞬間。
蓮は言葉を失った。
山積みの書類。
乱れた朝陽の机。
そして——ソファに横たわる小さな体。
「……朝陽?」
近づくと、熱に浮かされた呼吸と乾いた咳が聞こえる。
頬は赤く、唇は乾いていた。
「、けほっ、ごめんなさい……迷惑、かけて……」
掠れた声。
その一言で、胸が締め付けられた。
——違う。
謝るのは、俺たちだ。
蓮はその場に膝をつき、朝陽の額に触れる。
熱い。異常なほどに。
「……俺は、何をしてたんだ」
生徒会長として。
先輩として。
好きだと言いながら、彼を一人にした。
罪悪感が、遅れて牙を剥いた。
「朝陽、すまなかった。」
蓮は朝陽に解熱剤を飲ませて寝かせると、
すぐに朝陽の机につき、仕事に取りかかった。
一つ、また一つと期限の近いものから処理していく。
速度は、異常だった。
だがそれでも、終わりが見えない。
——これを、朝陽は一人で。
気づけば夜が深まり、窓の外は暗くなっていた。
「……ごめん」
小さく呟き、蓮は朝陽の髪をそっと撫でる。
眠りは浅く、時折うなされるその姿に、胸が痛んだ。
その夜、蓮は一睡もせずに仕事を片付けた。
朝になり、珍しく役員たちが生徒会室に入ってきた。
「……え?」
光景を見て、言葉を失う。
机に整然と並ぶ書類。
ソファで眠る朝陽。
そして、朝陽の机につき目の下に隈を作った蓮。
「会長……?」
「朝陽が、朝陽が全部やってた」
蓮の声は低く、静かだった。
「体調悪くても、何も言わずに」
千早は唇を噛みしめ、湊翔は視線を逸らし、悠真は拳を握り締めた。
——自分たちは、何をしていた?
その時、扉が乱暴に開く。
「蓮!」
空だった。
「なんで来ないんだよ。仕事?そんなの朝陽に——」
言葉は、途中で止まった。
「それ以上言わないでくれ」
蓮は立ち上がり、初めて強い声を出した。
「俺たちがいない間、朝陽は倒れるまで働いていた…」
空は目を見開き、ソファで眠る朝陽を見ながら理解を拒むように首を振る。
「嘘だ!仮病に決まってる!!蓮たちの気を引くために!俺の方が——」
「間違ってしまった…」
「ごめんなさい、朝陽…」
千早が静かに告げる。
「何言ってんだよ!!!ほら!遊びに行くぞ蓮!」
断るも聞く耳を持たない空。
「……つまんない」
吐き捨てるように言い、拳を壁に叩きつける。
——全部、朝陽のせいだ。
その感情が彼の中で、黒く渦巻き大きくなっていく。
その剣幕にようやく深い眠りについていた朝陽が
僅かに身じろぐ。
それに気づいた湊翔が、空の肩を組み
「ほーら空ちゃん!俺、空と一緒に屋上でおやつパーティしたいなあ!ほら!急ご!!」
有無を言わせず扉に向かって歩いていく湊翔と空。
扉が閉まる瞬間2人がこちらを見る。
納得していないような顔の空、
こっちは任せてくれ、朝陽を頼んだと蓮にアイコンタクトを取る湊翔。
扉が完全に閉まると先ほどの嵐が嘘だったように
静けさだけが残った。
部屋に残った蓮、千早、悠真は朝陽がまだ眠っているのを確認するとサッと仕事の分担すると
仕事を始める。徹夜の蓮は朝陽の眠るソファの横に1人がけのソファを動かし仮眠をとる。
なんとか空を連れ出した湊翔は、仕事の、朝陽の邪魔をしないようなんとか敷地内のカラオケで気を引くことに成功した。
その日は暗くなるまでカラオケで過ごし、楽しそうに笑う湊翔も心の奥では横たわっていた朝陽が心配でたまらなかった。
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