【完結】頂戴、と言われ家から追い出されました

さち姫

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一日の勉強を終え、夕食を食べ終わると、お父様が大事な話がある、と言われた。

急に食堂が静かになった。

お父様もお母様も真剣な顔で私を見ているのに、サラだけは、得意顔で肘をついてニヤニヤしている。

本来なら、行儀が悪いと叱るべきの両親は何も言わない。

今更だが、見ていてこっちが、嫌な気分になる。

みっともない。

可愛い容姿しているからこそ、厳しく育てるべきだと、デビュタントに参加して痛感した。

爵位が低い令嬢が努力した賜物がそこにあった。

容姿だけでは、目に止まるのは外見だけを求めた低俗な男達。だが、そこに礼儀が備われば、美しい気品溢れる貴族令嬢となる。

逆に爵位の低い家紋こそ、必死に教育に力を入れ、少しでも名のある貴族に嫁がせたいのだ。

本当に勿体ない。

我が家に指導で来て下さる先生方は、王国でも有名な方々ばかりなのだから、きちんと勉強すれば、

容姿よし、

頭脳よし、

気品よし、

血筋よし、

の四拍子揃ったピカイチ貴族令嬢になるのに、我が妹ながら残念でしかない。

「お父様お話ってなんですか?」

言いにくそうにお父様とお母様が顔を見合せ、ちらちら私を見てくるのを暫く様子を見ていたが、どうもラチがあかない。

でも、話があるんでしょ?

「あ、ああ。そう、大事な話ががある」

明らかに、私が話を促したのにほっとしていた。

「そうよ、お父様早く」

サラが早く早くと、嫌な笑いをする。

「そ、そうだな。ごっほん、ミヤ、明日からお前は、このグラバト伯爵家の子ではなくなる」

は?

恭しく言っていますが、意味がわかりません。

「そうよ、あんたはグラバトから出てく行くのよ」

は?

なんで?

「いやーん、お父様が、お母様、よその子が私を睨んできたぁ。こわぁい」

「辞めないさい、サラ。まだ今はあなたのお姉様よ」

は??

まだ?

「ミヤ、お前は明日から、隣の国のチェーンナ侯爵家の養女となる。もう手続きも、チェーンナ家とは話がついている。心配するな、迎えも来てくれるとの事だし、特にお前には荷物らしいものもないからこれからすぐ準備ができるだろうと思い、明日にしておいた」

明日?えらく段取りが早いこと。

「姉上はとても喜んでいたから、良かったわね」

「良かったわよねえ。侯爵よ。うちよりも格上よ。でもお、すぐにお嫁に行っちゃうからあ、侯爵じゃあなくなるだろうけどお。あんたなんかが結婚できるだけでもマシだからね。男爵とかに嫁いでも、文句言うならチェーンナ侯爵家に言いなさいよ。元々そんなブサイクな顔なんだから、嫁げるだけでもましだけど、変なプライドもってるから八つ当たりするのはやめてね」

よく回る口だこと。

それだけ喋れる内容があるなら、もう少し違う所に使えばいいのに。

「じゃあ今日の12時までが私にお姉様がいて、それ過ぎたら、私は一人っ子ね。あーあ、もっと役に立つお姉様が欲しかったのに、まあいっか。いい思い出になるわ。私がいないと何も出来ないお姉様がいたね、て。ねえお父様、お母様」

「そうね。もう少しサラの事を考えくれる姉だったらこんな事にならなかったのに」

「もうイライラしなくてもすむだろ。良かったなサラ」

なんだ、この状況は。

というか、なんだ、この馬鹿親子は。

「あ、そうだ、あんたの婚約者のモリアーガナ公爵様は私と婚約者になるから」

「当たり前だろ、サラ。グラバト伯爵家の嫡女の婿養子に来るんだ。つまり長女であるお前がこのグラバト家を継いで繁栄しなきゃいけないんだ」

「だよねえ。公爵家の男が私の言いなりになるんだよ。凄いよね」

「その通りだ。この家に嫁いで来たからには、サラの言う通りにして貰わないと困るな」

「ふふっ。まずは荷物持ち、という所から教えないといけないわね」

「それは良い事ね。サラは買い物が好きだから、沢山持たせて、運び方が得意になってもらわないと」

「あらお母様、いいのと言うわね」

サラの言葉の後に3人はあはは、と楽しそうに笑いだした。

だめだ。

どうも、この家にはまともな人がいないようだ。

知っていたが、ここまで常識がないとは思っていなかった。

「 三男だからな。家督を継げるわけがないから、向こうも丁度良かったんだ」

「ミヤにはもったいないと思っていたところよ。本当にサラは頭いいわ」

これ以上は聞くに耐えない。

つまり、私の婚約者欲しさにこんなバカバカしい事を思いついたんだ。

頭が痛くなりそうだ。

我慢出来ずに立ち居がった。

「じゃあ私、荷造します」

「まだ居たの?」

「あ、そうだないたんだな」

「あら、いつからそこにいたの?」

ここまで理解力と常識がないとは、拍手喝采したいくらいだ。

「では、失礼します」

もう誰も返事をしてくれなかった。

 

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