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部屋を出ると扉の外で、私付きの召使い、シャオレが待っていた。

「やっとこの屋敷から解放されますね」

薄ら笑いを浮かべ、その言い方だと前々から知ってたのか。

「知ってたの?」

部屋に戻りながら聞くと、至極当然とばかりに頷いた。

「勿論です。お嬢様が、早くこのような茶番劇から降りる事を望んでおりましたのに、何故邪魔をしなければ行けません」

相も変わらず、はっきり言うなあ。

シャオレは今年25歳になる少し甘めの顔をだが、剣術も、頭も切れる。あえていえば口の悪さがなければ抜群だろう。

普通なら男性がご令嬢の護衛につくならわかるが、身の回りの世話役に女性がつかないなんてどこを探しても、私くらいしか居いないだろう。                                 

サラには身の回りの世話役が3人もいる。

物事ついた頃からこんな生活だったから気にもしないけどね。

「荷造りの手伝いをしましょうか?」

部屋に入ると声をかけてくれた。

「いらない。荷物少ないしね」

「そうですね。ドレスも小物もサラ様がいらない、といった物をお借りしていたくらいですからね。御自分のは少ないですし、グラバト家の禍々しい品などいりませんよ。チェーンナ侯爵家なら、幾らでもミヤ様の為なら用意して下さいます」

「かなぁ、それなら嬉しいけど」

「あの方達は、良い方ばかりですので大丈夫です。では、私はこれで失礼しますが、明日の乗り物は馬車にされますか?荷馬車にされますか?」

伯爵令嬢に荷馬車なんてありえない質問だろうが、本当に普通ににこやかに聞いてくる。

「迎えがくるんじゃないの?お父様が言ってたけど」

「お断りを致しました。ここで豪奢な馬車でもきましたら、晴れやかな門出にケチがつきますので」

「抜かりないなあ。じゃあ荷馬車でいいよ。どうせついてくるのはシャオレだけでしょ?」

「仰る通りです。私が断りました。息のかかった召使い等いりません」

「ありがとう。じゃあ喋りながら行こうか」

「そう思い、すでに手配しております。雨に降られても大変ですので、ホロ付きを準備しております」

「ありがとう、助かるわ」

「では、私はこれで下がらせて頂きます。この後は、この国最後の夜の街を楽しんで参りますので、呼んでも参りませんので大人しくしといて下さいね」

目を細め、声を低く威嚇してきた。

「・・・年頃の女の子にそれ言う?」

「年頃?年頃になってから仰って下さいませ。では、夜の女性達が私を待っておりますので失礼致します」

軽く会釈し楽しそうに笑いながら出ていった。

本当に失礼なやつだな。


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