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015 【収納】②
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左肩がもがれそうな強い衝撃を感じた。思わず、体が後ろに持って行かれそうになる。オレは歯を食いしばって衝撃に耐え、前へと一歩踏み出す。ゴブリンアーチャーまで、あと三歩!
「ぐッ!?」
左肩に鋭い痛みを覚える。しかし、オレには、今まで感じたことのない感覚に対する戸惑の方が大きかった。自分の意志に関係なく、オレのギフトの力が発動した感覚だ。それと同時に、収納空間に異物が入り込んだのが分かった。
オレは【収納】の中に入れた物に対して、ある程度状態を把握することができる。収納空間を探ってみると同時に、オレの頭に閃きが起こった。
これならば、あるいは……ッ!
オレは、上手くいけば御の字とばかりに、さっそく思いついた策を実行する。
「喰らえッ!」
オレの言葉と共に、少女たちを隠す目隠しとして展開していた収納空間からなにかが飛び出した。鏃が欠けて錆も浮いた貧相な矢。ゴブリンアーチャーの矢だ。
オレの予想通り、飛翔した状態で飛び出たゴブリンアーチャーの矢。その狙いは、少女たちを狙った卑劣なゴブリンアーチャーだ。
「GYA!?」
手早く次の矢をつがえていたゴブリンアーチャーの左肩に矢が生える。その拍子に、弓を取り落とすゴブリンアーチャー。
「しゃッらぁあああああああああああああああああ!」
狙い通りに上手くいった。一体のゴブリンアーチャーを戦闘不能にしたオレは、喜びの声を上げて突撃する。ゴブリンアーチャーまであと二歩。
視界には、オレに向けて弓を構えて、矢をつがえようとしている残った一体のゴブリンアーチャーの姿が見える。その動作は熟練のそれで、嫌になるくらい素早い。クソがッ!
だが、オレはもうゴブリンアーチャーの矢を受けるつもりは無い。オレは、ヘッドスライディングでもするかのように大きく前に飛び出し、腰だめに構えていた長剣を思いっきり前に伸ばす。
「死にさらせッ!」
オレの伸ばした剣の先が、ゴブリンアーチャーの喉へと吸い込まれていく。至近距離から見たゴブリンアーチャーの醜悪な顔は、驚きに固まり、その目を大きく見開いていた。まるでヤギのように横長の瞳と確かに目が合った気がした。
ゴブリンアーチャーの金の瞳が、ぐるりと上も向いてひっくり返る。
ズブリッとゴブリンアーチャーの喉を刺したオレの漆黒の長剣は、そのまま重力に引かれるように、ゴブリンアーチャーの体を縦に斬り裂いていく。オレの体が地面に落ちた時には、ゴブリンアーチャーの体を喉から両断していた。
断末魔も無く果てたゴブリンアーチャーが、斬り口から血を吹き出した。生臭く温かいドロリとした液体が、オレの顔を汚していく。気持ち悪い。
血を吹き出したゴブリンアーチャーの体が、その勢いに押されるようにして後ろ向きに倒れた。
オレは急いで立ち上がると、すぐに残った左腕に矢を受けたゴブリンアーチャーへと襲いかかる。
「GUBA!?」
弓の扱えないアーチャーなど、敵ではない。逃げ出そうとしていたゴブリンアーチャーを即座に斬り捨てると、オレは戦場を振り返った。
「GAAA!?」
「GOBU!?」
「GYAA!?」
戦場の混乱は未だに続いていた。ゴブリンどもがしきりに目を擦りつつ、ふらふらと歩いては他のゴブリンとぶつかり、お互いになにもない空間へと武器を空振っている。
オレは、その様子に安堵を覚える。だが、この混乱はあくまで一時的なものに過ぎない。ゴブリンどもの目が見えるようになる前に、手早く仕留める必要がある。
オレは顔を拭う時間さえ惜しんで、静かに駆け出した。
もうウォークライを上げて注目を集める必要もない。視覚が潰された以上、ゴブリンどもが頼りにするのは聴覚だろう。余計な情報を与えることなく、素早く済ませてしまおう。
斬!
残った最後のゴブリンアーチャーの首を刎ねる。真っ赤な血が勢いよく吹き出し、まるで雨のように地上に降り注いだ。
これで残りのゴブリンは、ゴブリンウォーリアが四体。
オレはゴブリンウォーリアの背後へと回ると、素早く首を刎ねていく。あと三体。
あとは流れ作業のように三体のゴブリンウォーリアの首を刎ねるだけだ。油断しているわけではないが、オレの心に余裕ができてきた。
「それにしても……」
思い出すのは、先程のゴブリンアーチャーとの死闘。その中で起きた不可思議な現象だ。
オレがせめて目くらましになればいいと展開した、底が見えない真っ黒な【収納】の空間。その中にゴブリンアーチャーの放った矢が入ったことも驚きなら、収納空間から矢が飛び出たのも驚きだった。
今まで17年間も【収納】のギフトを使ってきたが、まるっきり予想外の事態だった。こんなことがありえるのか。
【収納】の中は時間の流れが停止している。そして、オレは【収納】の中に入れた物に対して、ある程度状態を把握することができる。オレは、ゴブリンアーチャーの放った矢が、収納空間に入り、速度を保ったまま、飛翔した状態で収納されていることを確かに知覚した。
試しに出してみると、ゴブリンアーチャーの矢は、収納空間から飛翔した状態で現れた。これは画期的なことだ。
敵の遠隔攻撃を収納し、カウンターのように収納した相手の遠隔攻撃を放つことができる。もし、これが今回限りのものではなく、再現性がある物だとしたら……。
オレは居ても立っても居られず、真っ黒な収納空間を開き、その中へと胸元に装備した投げナイフを投げ入れていた。
「【収納】」
そして、暴れ回るゴブリンウォーリアに向かって収納空間を広げ、先程投げ入れた投げナイフを外に出すと――――。
「GYA!?」
投げナイフは真っ黒な収納空間から勢いよく飛び出すと、ゴブリンウォーリアの胸に突き刺さった。
「ははっ」
オレは気が付いたら笑みを浮かべていた。なぜ、今までこんな簡単なことに気付きもしなかったんだ。
そうだ。もしこれが常用できる能力なら……。頭の中に無数の策と疑問が浮かんでいく。もしかしたら、今までのオレは【収納】の能力を十分に活かしきれていなかったのかもしれない。
この能力は、荷物運びしかできないと腐っていたオレが過去のものになるほど、ヤバい可能性を秘めた能力だ。
「ぐッ!?」
左肩に鋭い痛みを覚える。しかし、オレには、今まで感じたことのない感覚に対する戸惑の方が大きかった。自分の意志に関係なく、オレのギフトの力が発動した感覚だ。それと同時に、収納空間に異物が入り込んだのが分かった。
オレは【収納】の中に入れた物に対して、ある程度状態を把握することができる。収納空間を探ってみると同時に、オレの頭に閃きが起こった。
これならば、あるいは……ッ!
オレは、上手くいけば御の字とばかりに、さっそく思いついた策を実行する。
「喰らえッ!」
オレの言葉と共に、少女たちを隠す目隠しとして展開していた収納空間からなにかが飛び出した。鏃が欠けて錆も浮いた貧相な矢。ゴブリンアーチャーの矢だ。
オレの予想通り、飛翔した状態で飛び出たゴブリンアーチャーの矢。その狙いは、少女たちを狙った卑劣なゴブリンアーチャーだ。
「GYA!?」
手早く次の矢をつがえていたゴブリンアーチャーの左肩に矢が生える。その拍子に、弓を取り落とすゴブリンアーチャー。
「しゃッらぁあああああああああああああああああ!」
狙い通りに上手くいった。一体のゴブリンアーチャーを戦闘不能にしたオレは、喜びの声を上げて突撃する。ゴブリンアーチャーまであと二歩。
視界には、オレに向けて弓を構えて、矢をつがえようとしている残った一体のゴブリンアーチャーの姿が見える。その動作は熟練のそれで、嫌になるくらい素早い。クソがッ!
だが、オレはもうゴブリンアーチャーの矢を受けるつもりは無い。オレは、ヘッドスライディングでもするかのように大きく前に飛び出し、腰だめに構えていた長剣を思いっきり前に伸ばす。
「死にさらせッ!」
オレの伸ばした剣の先が、ゴブリンアーチャーの喉へと吸い込まれていく。至近距離から見たゴブリンアーチャーの醜悪な顔は、驚きに固まり、その目を大きく見開いていた。まるでヤギのように横長の瞳と確かに目が合った気がした。
ゴブリンアーチャーの金の瞳が、ぐるりと上も向いてひっくり返る。
ズブリッとゴブリンアーチャーの喉を刺したオレの漆黒の長剣は、そのまま重力に引かれるように、ゴブリンアーチャーの体を縦に斬り裂いていく。オレの体が地面に落ちた時には、ゴブリンアーチャーの体を喉から両断していた。
断末魔も無く果てたゴブリンアーチャーが、斬り口から血を吹き出した。生臭く温かいドロリとした液体が、オレの顔を汚していく。気持ち悪い。
血を吹き出したゴブリンアーチャーの体が、その勢いに押されるようにして後ろ向きに倒れた。
オレは急いで立ち上がると、すぐに残った左腕に矢を受けたゴブリンアーチャーへと襲いかかる。
「GUBA!?」
弓の扱えないアーチャーなど、敵ではない。逃げ出そうとしていたゴブリンアーチャーを即座に斬り捨てると、オレは戦場を振り返った。
「GAAA!?」
「GOBU!?」
「GYAA!?」
戦場の混乱は未だに続いていた。ゴブリンどもがしきりに目を擦りつつ、ふらふらと歩いては他のゴブリンとぶつかり、お互いになにもない空間へと武器を空振っている。
オレは、その様子に安堵を覚える。だが、この混乱はあくまで一時的なものに過ぎない。ゴブリンどもの目が見えるようになる前に、手早く仕留める必要がある。
オレは顔を拭う時間さえ惜しんで、静かに駆け出した。
もうウォークライを上げて注目を集める必要もない。視覚が潰された以上、ゴブリンどもが頼りにするのは聴覚だろう。余計な情報を与えることなく、素早く済ませてしまおう。
斬!
残った最後のゴブリンアーチャーの首を刎ねる。真っ赤な血が勢いよく吹き出し、まるで雨のように地上に降り注いだ。
これで残りのゴブリンは、ゴブリンウォーリアが四体。
オレはゴブリンウォーリアの背後へと回ると、素早く首を刎ねていく。あと三体。
あとは流れ作業のように三体のゴブリンウォーリアの首を刎ねるだけだ。油断しているわけではないが、オレの心に余裕ができてきた。
「それにしても……」
思い出すのは、先程のゴブリンアーチャーとの死闘。その中で起きた不可思議な現象だ。
オレがせめて目くらましになればいいと展開した、底が見えない真っ黒な【収納】の空間。その中にゴブリンアーチャーの放った矢が入ったことも驚きなら、収納空間から矢が飛び出たのも驚きだった。
今まで17年間も【収納】のギフトを使ってきたが、まるっきり予想外の事態だった。こんなことがありえるのか。
【収納】の中は時間の流れが停止している。そして、オレは【収納】の中に入れた物に対して、ある程度状態を把握することができる。オレは、ゴブリンアーチャーの放った矢が、収納空間に入り、速度を保ったまま、飛翔した状態で収納されていることを確かに知覚した。
試しに出してみると、ゴブリンアーチャーの矢は、収納空間から飛翔した状態で現れた。これは画期的なことだ。
敵の遠隔攻撃を収納し、カウンターのように収納した相手の遠隔攻撃を放つことができる。もし、これが今回限りのものではなく、再現性がある物だとしたら……。
オレは居ても立っても居られず、真っ黒な収納空間を開き、その中へと胸元に装備した投げナイフを投げ入れていた。
「【収納】」
そして、暴れ回るゴブリンウォーリアに向かって収納空間を広げ、先程投げ入れた投げナイフを外に出すと――――。
「GYA!?」
投げナイフは真っ黒な収納空間から勢いよく飛び出すと、ゴブリンウォーリアの胸に突き刺さった。
「ははっ」
オレは気が付いたら笑みを浮かべていた。なぜ、今までこんな簡単なことに気付きもしなかったんだ。
そうだ。もしこれが常用できる能力なら……。頭の中に無数の策と疑問が浮かんでいく。もしかしたら、今までのオレは【収納】の能力を十分に活かしきれていなかったのかもしれない。
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