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027 オディロン
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「さて、どうすっかな……」
オレは冒険者ギルドの中をゆっくりと見渡す。これから情報収集の時間だ。知り合いか情報屋でも居ればソイツに訊けばいいんだが……居るか?
「おっ!」
丁度その時、深紅の外套を着た派手な赤髪の男と目が合った。あちらもオレのことに気が付いていたのだろう。オレと目が合うや否や、赤髪の男が二ヤリと笑みを浮かべるのが分かった。
オレは進路を右に、赤髪の男に近づいていく。
「よぉ、オディロン。オレが言えた話じゃないが、ヒゲぐらい剃ったらどうだ?」
「バカ言うなよ。これこそが俺様のアイデンティティだぜ?」
そう言うと、赤髪の男は同色の自慢のヒゲをしごいてみせる。コイツがオディロン。オレと同期の冒険者だ。冒険者認定レベルは6。ドワーフとのハーフで、毛深くて背が低く、オレの胸ぐらいまでしかない。しかし、その体はなんとも厚みのあるものだ。贅肉ではない。筋肉だ。ドワーフの血をひくためか、背は低いが筋骨隆々としていて、とてもではないが侮ることはできない覇気を感じる男だ。
普通のハーフドワーフってのは、もっと細い体をしているもんだ。しかし、オディロンはドワーフの血に誇りを持っているのか、並みのドワーフよりも手足が太くなるほど鍛え抜き、立派なヒゲを蓄えてリボンで結んでいる。もはやハーフドワーフというよりも、でかいドワーフといった感じだ。
ガハハッと景気よく笑っていたオディロンの顔が急に曇る。はて?
「聞いたぜ? 昨日は災難だったな」
「おぅ……」
どうやらオディロンも昨日オレがパーティを追放されたことを知っているらしい。当たり前か。冒険者にとって情報は命だ。あんな大勢の冒険者の前での追放劇など、オディロンほどの冒険者にとって知っていて当然か。
「まぁ縁が切れて良かったんじゃねぇか? あんな奴らでもレベル6ダンジョンを攻略できると示してみせたお前さんの技量は大したもんだが、あ奴ら程度に“育て屋”アベルはもったいないとずっと思っていたところだ」
「オディロン……」
オディロンはまたガハハハッと笑い出し、オレの肩をバシバシと叩く。痛い。オレの能力を買いかぶってるのも相変わらずだな。
オディロンは、オレの能力を実際よりもかなり高く見ている節がある。オディロンに言わせれば、オレはブランディーヌたち『切り裂く闇』にはもったいないほどの人材なのだそうだ。実際はオレがパーティを追放されたというのに、ここまで高く持ち上げられると、なんだかこそばゆい気分だ。
これがまぁ、オディロン流の慰め方なのだろう。なんとも豪快で陽気な奴だ。こんな奴だからこそ、根暗なオレでも友達になれたのだと思う。
「あ奴らだが、お前さんの抜けた穴を埋めようと、人員募集をかけとるようじゃぞ?」
オディロンの話では、ブランディーヌたち『切り裂く闇』は、パーティメンバーを募集しているようだ。レベル6のダンジョンを攻略してみせた高レベル冒険者パーティのメンバー募集だ。大層賑わっているだろう。
「まぁ結果は見えておるがの」
そう言って肩をすくめてみせるオディロン。情報通のオディロンのことだ。誰がメンバーに選ばれるか予想がついているのだろう。さすがだな。
「まぁ、あ奴ら恩知らずのことなど、どうでもいいのだ。思い出すだけで胸くそ悪いからな。しっかし、もう次のパーティを決めとるとはな。さすがの俺様も驚いたぜ」
まぁ今朝電撃的に決まったことだからな。情報通のオディロンでも知らなくても無理はない。
オレはパーティという単語に本来の目的を思い出す。
「実はオディロンに訊きたいことがあってな」
「訊きたいことだと?」
「あぁ、お前のところはたしか、若手冒険者の育成にも力入れてただろ?」
オディロンがリーダーを務めるパーティ『紅蓮』は、主に若手の冒険者の育成に力を入れている。普通ならクランでも作ってやることだろうが、オディロンは敢えてクランを作らず、無償で若手冒険者なら誰でも支援しているらしい。クランという枷に嵌めたくないそうだ。
枷なんて言い方したら、クランが悪い組織に思えるな。クランというのは、元々冒険者パーティ同士が寄り添って作る相互援助組織のことだ。
クランに所属すると様々な恩恵が受けられるが、同時に対価も発生する。運営費ということで金を取られたり、自分たちより拙いパーティの教導なんかも課せられるのが一般的だ。
オディロンは、そんな義務的な関係を嫌って、敢えてクランを作らないらしい。なんというか、オディロンらしいというか、漢気溢れるというか……。
そんなオディロンだからか、彼は若手の冒険者からの信奉が篤い。若手冒険者たちは、受けた恩を返そうとオディロンに格安で自分たちの得た情報を売る。自分たちは無償で若手冒険者の支援をしているくせに、オディロンは無償で情報を貰おうとしないからだそうだ。だから仕方なく格安で情報を売って、恩返ししているらしい。
なんと言えばいいのか、こういう話を聞くと、冒険者もまだまだ捨てたもんじゃないと思えてくるな。
オレは冒険者ギルドの中をゆっくりと見渡す。これから情報収集の時間だ。知り合いか情報屋でも居ればソイツに訊けばいいんだが……居るか?
「おっ!」
丁度その時、深紅の外套を着た派手な赤髪の男と目が合った。あちらもオレのことに気が付いていたのだろう。オレと目が合うや否や、赤髪の男が二ヤリと笑みを浮かべるのが分かった。
オレは進路を右に、赤髪の男に近づいていく。
「よぉ、オディロン。オレが言えた話じゃないが、ヒゲぐらい剃ったらどうだ?」
「バカ言うなよ。これこそが俺様のアイデンティティだぜ?」
そう言うと、赤髪の男は同色の自慢のヒゲをしごいてみせる。コイツがオディロン。オレと同期の冒険者だ。冒険者認定レベルは6。ドワーフとのハーフで、毛深くて背が低く、オレの胸ぐらいまでしかない。しかし、その体はなんとも厚みのあるものだ。贅肉ではない。筋肉だ。ドワーフの血をひくためか、背は低いが筋骨隆々としていて、とてもではないが侮ることはできない覇気を感じる男だ。
普通のハーフドワーフってのは、もっと細い体をしているもんだ。しかし、オディロンはドワーフの血に誇りを持っているのか、並みのドワーフよりも手足が太くなるほど鍛え抜き、立派なヒゲを蓄えてリボンで結んでいる。もはやハーフドワーフというよりも、でかいドワーフといった感じだ。
ガハハッと景気よく笑っていたオディロンの顔が急に曇る。はて?
「聞いたぜ? 昨日は災難だったな」
「おぅ……」
どうやらオディロンも昨日オレがパーティを追放されたことを知っているらしい。当たり前か。冒険者にとって情報は命だ。あんな大勢の冒険者の前での追放劇など、オディロンほどの冒険者にとって知っていて当然か。
「まぁ縁が切れて良かったんじゃねぇか? あんな奴らでもレベル6ダンジョンを攻略できると示してみせたお前さんの技量は大したもんだが、あ奴ら程度に“育て屋”アベルはもったいないとずっと思っていたところだ」
「オディロン……」
オディロンはまたガハハハッと笑い出し、オレの肩をバシバシと叩く。痛い。オレの能力を買いかぶってるのも相変わらずだな。
オディロンは、オレの能力を実際よりもかなり高く見ている節がある。オディロンに言わせれば、オレはブランディーヌたち『切り裂く闇』にはもったいないほどの人材なのだそうだ。実際はオレがパーティを追放されたというのに、ここまで高く持ち上げられると、なんだかこそばゆい気分だ。
これがまぁ、オディロン流の慰め方なのだろう。なんとも豪快で陽気な奴だ。こんな奴だからこそ、根暗なオレでも友達になれたのだと思う。
「あ奴らだが、お前さんの抜けた穴を埋めようと、人員募集をかけとるようじゃぞ?」
オディロンの話では、ブランディーヌたち『切り裂く闇』は、パーティメンバーを募集しているようだ。レベル6のダンジョンを攻略してみせた高レベル冒険者パーティのメンバー募集だ。大層賑わっているだろう。
「まぁ結果は見えておるがの」
そう言って肩をすくめてみせるオディロン。情報通のオディロンのことだ。誰がメンバーに選ばれるか予想がついているのだろう。さすがだな。
「まぁ、あ奴ら恩知らずのことなど、どうでもいいのだ。思い出すだけで胸くそ悪いからな。しっかし、もう次のパーティを決めとるとはな。さすがの俺様も驚いたぜ」
まぁ今朝電撃的に決まったことだからな。情報通のオディロンでも知らなくても無理はない。
オレはパーティという単語に本来の目的を思い出す。
「実はオディロンに訊きたいことがあってな」
「訊きたいことだと?」
「あぁ、お前のところはたしか、若手冒険者の育成にも力入れてただろ?」
オディロンがリーダーを務めるパーティ『紅蓮』は、主に若手の冒険者の育成に力を入れている。普通ならクランでも作ってやることだろうが、オディロンは敢えてクランを作らず、無償で若手冒険者なら誰でも支援しているらしい。クランという枷に嵌めたくないそうだ。
枷なんて言い方したら、クランが悪い組織に思えるな。クランというのは、元々冒険者パーティ同士が寄り添って作る相互援助組織のことだ。
クランに所属すると様々な恩恵が受けられるが、同時に対価も発生する。運営費ということで金を取られたり、自分たちより拙いパーティの教導なんかも課せられるのが一般的だ。
オディロンは、そんな義務的な関係を嫌って、敢えてクランを作らないらしい。なんというか、オディロンらしいというか、漢気溢れるというか……。
そんなオディロンだからか、彼は若手の冒険者からの信奉が篤い。若手冒険者たちは、受けた恩を返そうとオディロンに格安で自分たちの得た情報を売る。自分たちは無償で若手冒険者の支援をしているくせに、オディロンは無償で情報を貰おうとしないからだそうだ。だから仕方なく格安で情報を売って、恩返ししているらしい。
なんと言えばいいのか、こういう話を聞くと、冒険者もまだまだ捨てたもんじゃないと思えてくるな。
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