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049 卒業試験
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「ボス居たよ、3体。盾持ち片手剣と両手剣、両手槍だった」
斥候から戻ってきたクロエの言葉に緊張が……走らない。皆、自然体でクロエの報告を受け止めていた。まぁ、それもそうだな。これで何回目だってくらいボスを討伐してるし。もう20回は狩ったんじゃねぇかな?
「さて、慣れてきたからって気を抜くんじゃねぇぞ? ヘマしやがったら、もう10日このダンジョンに潜るからな」
「うへー……マジ?」
「マジだ」
思いっきり嫌な顔をしたジゼルに、オレは真顔で答える。まぁ、多少の失敗したところでそんなことはしないがな。あくまでも脅しだ。万に一つも無いと思うが、慣れてきた頃が一番失敗しやすいからな。
それに時間ももったいない。もうコイツら『五花の夢』は、レベル2のダンジョンでは物足りないほど成長している。レベル3のダンジョンはもちろん、場所を選べばレベル4のダンジョンも制覇できるかもしれない。
オレの崩れない真顔に本気を感じ取ったのか、『五花の夢』のメンバーの顔つきが引き締まったような気がした。
「要らねぇとは思うが、一応確認だ。今回はクロエ、エル、ジゼル。この3人でボスを討伐してもらう。今回はお前たち前衛の強化が目的だからな。その仕上がりを見せてもらう。イザベルとリディは手を出すなよ? 俺の指示があるまで待機だ」
オレの言葉に、松明のオレンジの明かりに照らされた5人が頷くのを確認する。
「んじゃ、いくか。準備はいいか?」
「大丈夫」
「問題ありません」
「もちっ!」
クロエ、エレオノール、ジゼルの返事に頷き返し、オレは宣言する。
「相手はホブゴブリンウォーリア3体。クロエ、エル、ジゼル。お前たちの成長を、実力を見せてくれ。無事にここを卒業できることを祈ってるぜ」
◇
「はぁあああああああああああああああ!」
まず、洞窟の岩陰から飛び出したのはエレオノールだ。片手に松明を持ち、声を張り上げ、ホブゴブリンたちへと疾走していく。松明の輝きとピカピカの鎧はさぞ目立つだろう。一気にホブゴブリンたちの視線を独占する。
「………」
その後ろに無言でピッタリと張り付くように駆けるのはジゼルだ。エレオノールの背中に隠れ、不意打ちを狙うつもりだろう。
「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」
対するホブゴブリンたちも黙ってはいない。エレオノールに対抗するように雄たけびを上げると、動き出す。
ホブゴブリンたちの今回の装備は、クロエの報告通り、片手剣と盾、大剣、両手槍だった。ここのボスのホブゴブリンたちは、来る度に武器構成が変わる。いろんな武器の対処法に慣れるという意味でも、『ゴブリンの巣穴』は挑戦する価値のあるダンジョンだ。
エレオノールが、敵の真ん中に居る盾持ちのホブゴブリンへと突撃する。一番厄介な盾持ちを自分が引き受けようという算段だろう。
その時、エレオノールから火の玉が飛んだ。魔法ではない。ただの松明だ。松明はクルクル回りながら左手の大剣を持つホブゴブリンへと飛んでいく。大剣を持つホブゴブリンは、飛んでくる松明を避けるためにサイドステップを踏んだ。
エレオノールを囲うように展開していた3体のホブゴブリン。その歩調が少しだけ崩れる。あるいは、それを意図してエレオノールは松明を投げたのかもしれない。
オレはエレオノールの背中をジッと見つめる。そろそろホブゴブリンたちとぶつかる距離だ。さて、エレオノールはどう捌くかな。
ガギンッ!!!
松明の頼りない光に照らされた石畳の大広間に金属同士が激しくぶつかり合う甲高い音が響き渡る。ついにエレオノールと盾を持ったホブゴブリンがぶつかったのだ。両者の盾と盾が衝突し、閃光のように火花が散る。
盾のぶつかり合いを制したのはホブゴブリンだった。弾かれたようにエレオノールの体が後ろへと飛ぶ。後ろへと飛ばされたエレオノールに迫る影があった。両手槍のホブゴブリンだ。その両手槍が狙いすましたようにエレオノールへと伸びる。おそらく、味方がぶつかり合いを制すると読んでいたのだろう。ぶつかり合いに敗れて体勢を崩したエレオノールを仕留めるための一手。
しかし、この展開を読んでいたのは両手槍のホブゴブリンだけではない。エレオノールも自分が押し負けると読んでいた。弾き飛ばされたエレオノールだが、その体幹に狂いはない。
キュインッ!
散った火花の閃光とは相反するような、涼しげな金属音が耳を打つ。エレオノールが剣でホブゴブリンの両手槍を逸らしたのだ。
「Gaugaッ!?」
「Ugaッ!?」
2体のホブゴブリンたちの驚いたような声が響く。1体は盾のホブゴブリン、2体目は大剣のホブゴブリンだ。そして、両手槍のホブゴブリンは……。
ドサッ!
重量物が落ちたような音が響き、薄暗い明かりの中に、確かに白煙が漂うのが見えた。モンスターを討伐した証。
ジゼルだ。ジゼルが両手槍のホブゴブリンの首を一撃で刎ねたのだ。エレオノールの背中に隠れていたジゼルの不意打ちは、見事に成功した。
斥候から戻ってきたクロエの言葉に緊張が……走らない。皆、自然体でクロエの報告を受け止めていた。まぁ、それもそうだな。これで何回目だってくらいボスを討伐してるし。もう20回は狩ったんじゃねぇかな?
「さて、慣れてきたからって気を抜くんじゃねぇぞ? ヘマしやがったら、もう10日このダンジョンに潜るからな」
「うへー……マジ?」
「マジだ」
思いっきり嫌な顔をしたジゼルに、オレは真顔で答える。まぁ、多少の失敗したところでそんなことはしないがな。あくまでも脅しだ。万に一つも無いと思うが、慣れてきた頃が一番失敗しやすいからな。
それに時間ももったいない。もうコイツら『五花の夢』は、レベル2のダンジョンでは物足りないほど成長している。レベル3のダンジョンはもちろん、場所を選べばレベル4のダンジョンも制覇できるかもしれない。
オレの崩れない真顔に本気を感じ取ったのか、『五花の夢』のメンバーの顔つきが引き締まったような気がした。
「要らねぇとは思うが、一応確認だ。今回はクロエ、エル、ジゼル。この3人でボスを討伐してもらう。今回はお前たち前衛の強化が目的だからな。その仕上がりを見せてもらう。イザベルとリディは手を出すなよ? 俺の指示があるまで待機だ」
オレの言葉に、松明のオレンジの明かりに照らされた5人が頷くのを確認する。
「んじゃ、いくか。準備はいいか?」
「大丈夫」
「問題ありません」
「もちっ!」
クロエ、エレオノール、ジゼルの返事に頷き返し、オレは宣言する。
「相手はホブゴブリンウォーリア3体。クロエ、エル、ジゼル。お前たちの成長を、実力を見せてくれ。無事にここを卒業できることを祈ってるぜ」
◇
「はぁあああああああああああああああ!」
まず、洞窟の岩陰から飛び出したのはエレオノールだ。片手に松明を持ち、声を張り上げ、ホブゴブリンたちへと疾走していく。松明の輝きとピカピカの鎧はさぞ目立つだろう。一気にホブゴブリンたちの視線を独占する。
「………」
その後ろに無言でピッタリと張り付くように駆けるのはジゼルだ。エレオノールの背中に隠れ、不意打ちを狙うつもりだろう。
「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」
対するホブゴブリンたちも黙ってはいない。エレオノールに対抗するように雄たけびを上げると、動き出す。
ホブゴブリンたちの今回の装備は、クロエの報告通り、片手剣と盾、大剣、両手槍だった。ここのボスのホブゴブリンたちは、来る度に武器構成が変わる。いろんな武器の対処法に慣れるという意味でも、『ゴブリンの巣穴』は挑戦する価値のあるダンジョンだ。
エレオノールが、敵の真ん中に居る盾持ちのホブゴブリンへと突撃する。一番厄介な盾持ちを自分が引き受けようという算段だろう。
その時、エレオノールから火の玉が飛んだ。魔法ではない。ただの松明だ。松明はクルクル回りながら左手の大剣を持つホブゴブリンへと飛んでいく。大剣を持つホブゴブリンは、飛んでくる松明を避けるためにサイドステップを踏んだ。
エレオノールを囲うように展開していた3体のホブゴブリン。その歩調が少しだけ崩れる。あるいは、それを意図してエレオノールは松明を投げたのかもしれない。
オレはエレオノールの背中をジッと見つめる。そろそろホブゴブリンたちとぶつかる距離だ。さて、エレオノールはどう捌くかな。
ガギンッ!!!
松明の頼りない光に照らされた石畳の大広間に金属同士が激しくぶつかり合う甲高い音が響き渡る。ついにエレオノールと盾を持ったホブゴブリンがぶつかったのだ。両者の盾と盾が衝突し、閃光のように火花が散る。
盾のぶつかり合いを制したのはホブゴブリンだった。弾かれたようにエレオノールの体が後ろへと飛ぶ。後ろへと飛ばされたエレオノールに迫る影があった。両手槍のホブゴブリンだ。その両手槍が狙いすましたようにエレオノールへと伸びる。おそらく、味方がぶつかり合いを制すると読んでいたのだろう。ぶつかり合いに敗れて体勢を崩したエレオノールを仕留めるための一手。
しかし、この展開を読んでいたのは両手槍のホブゴブリンだけではない。エレオノールも自分が押し負けると読んでいた。弾き飛ばされたエレオノールだが、その体幹に狂いはない。
キュインッ!
散った火花の閃光とは相反するような、涼しげな金属音が耳を打つ。エレオノールが剣でホブゴブリンの両手槍を逸らしたのだ。
「Gaugaッ!?」
「Ugaッ!?」
2体のホブゴブリンたちの驚いたような声が響く。1体は盾のホブゴブリン、2体目は大剣のホブゴブリンだ。そして、両手槍のホブゴブリンは……。
ドサッ!
重量物が落ちたような音が響き、薄暗い明かりの中に、確かに白煙が漂うのが見えた。モンスターを討伐した証。
ジゼルだ。ジゼルが両手槍のホブゴブリンの首を一撃で刎ねたのだ。エレオノールの背中に隠れていたジゼルの不意打ちは、見事に成功した。
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