好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。

石河 翠

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「期末試験のテストが全部返ってきた日。空き教室で坂口くんたちが罰ゲームについて話しているのを聞いたのよ。でも嘘告白じゃないってどういうこと?」

 私の質問に、バツが悪そうな顔をする坂口くん。うん、そういう表情も素敵だね! いかんいかん、今は坂口くんの格好良さを愛でるのではなく、どう言うことなのかを確かめるのが優先だったわ。

「確かに『罰ゲーム』扱いにしたのは悪かったけど、告白はもちろん本気。ただ、フラグを立てたくなかったんだ」
「フラグ?」
「俺、この戦争が終わったら、幼馴染と結婚するんだってやつ」
「それ、戦死して結婚できない定番のヤツだ」

 指摘すれば、その通りだといたって真面目な顔をして坂口くんがうなずいた。

「そうだよ。今度の期末試験、学年1位を取ったら好きな女の子に告白するなんて言い方をしたら、フラれちゃうのが決定するみたいじゃないか」
「だから、『罰ゲーム』という言い方をしていただけで、本当は『学年1位が取れたら、その勢いで好きな女の子に告白する』という目標だったってこと?」
「うん」
「それって……」

 それって、まるで、坂口くんが私のことを本気で好きみたいじゃない? 気がついた瞬間に顔が熱くなった。よく見れば、坂口くんも、耳が真っ赤になっている。

「えっと、坂口くんはもしかして……」
「本当に、山本さんのことが好きだよ」
「でも、私、地味だし、特に目立つこともしてないし……」
「誰も気がつかないこと、率先してやってくれてるのを知ってるから。学校の裏庭や花壇が綺麗になったのって、山本さんが美化委員会に入ってからだよね」

 美化委員会なんて全然目立たないのに、気がついてくれていたんだ。

「図書室でも、別に図書委員でもないのに普通に手伝いをやってるし、先生の雑用もこなしてる」
「あれは、私が本が好きだし、先生の雑用は別に他に用事もないからで……」
「でも、同じように本が好きなはずの子たちは手伝わないで読書をしてるよね。先生の用事だって文句を言って手伝わないヤツのほうが多いよ」
「まあ、ひとによるとは思うし……」
「山本さんは誰かの手伝いをしているとき、いつも楽しそうに笑ってる。手伝っても、別に山本さんの得になるようなことではないはずなのに。山本さんの笑顔を見ていたら、いつの間にか好きになってた」

 誰かに褒められたくてやっていたわけではないけれど、目立たない私をちゃんと見てもらっていたことが嬉しい。そんな私に、坂口くんが不思議そうに尋ねてきた。

「というか、むしろ『罰ゲーム』だと思ったのなら、どうして告白にOKを出してくれたの?」
「坂口くんこそ、誰にだって優しくて親切じゃない。相手によって態度を変えたりしないもの」
「でも、『罰ゲーム』する人間だって思ったでしょ?」

 ちょっと不満そうな、意地悪そうにも見える表情にまたきゅんとくる。

「うん、実は裏ではそういうことしちゃうタイプなんだってびっくりしたけど、嘘告白でも付き合えたら嬉しかったから、騙されてみることにしたんだ」
「山本さんの気持ち、嬉しいけど嬉しくない。悪いひとに騙されそうで怖いよ」
「むしろ、坂口くんになら積極的に騙されたいです!」
「やめて!」
「クズでも大歓迎だよ! 私の方こそ、貢ぎたい!」
「ダメだから! 貢ぐのは俺だから!」

 訂正するのはそこなの?
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