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散々に私を喰らい尽くし、彼は卒業式に出席した。あんな大人の階段をのぼりきった状態でよかったのだろうか。
それ以来彼は私の元に姿を見せていない。当然だ、卒業したのだから学園に来るはずがない。結局あの夜の出来事は彼にとって思い出作りだったということなのだろう。
年上だし、振られても余裕でいたかったが、時の影響を受けない私の感覚は老成することはない。寂しくて悲しくて、涙がこぼれる。
「ジョシュア、今頃何をしているのかしら」
「ちょうど引越しが済んで、部屋を片付けてきたところだけれど?」
大好きなジョシュアの声。たった数日聞いていないだけなのに、もはや懐かしい。
「どうして、ここに?」
「この学園から離れると、君のことを忘れてしまうんだろう? だからここで暮らすことにした」
「卒業しなかったってことなの? 留年? 休学? 王子さまなのに?」
「卒業はしたさ。これから僕は助手をしながら、魔術の研究をするよ。許可を得るために、卒業式のあと、急いで王宮に向かったんだ。連絡ができなくてすまない。一応、言伝てを頼んだんだけれど、図書室が開かなかったらしくてね」
その言葉に私ははっとする。そう言えばしばらくいじけていて、ジョシュア以外の人間の立ち入り制限を図書室にかけていたのだ。
「私のこと、遊びなのかと思ったわ」
「そんなわけないじゃないか」
桜は嫌いだ。この花は別れを連れてくる。けれど同じように新しい出会いもまた連れてきてくれるのだと私は知った。
それ以来彼は私の元に姿を見せていない。当然だ、卒業したのだから学園に来るはずがない。結局あの夜の出来事は彼にとって思い出作りだったということなのだろう。
年上だし、振られても余裕でいたかったが、時の影響を受けない私の感覚は老成することはない。寂しくて悲しくて、涙がこぼれる。
「ジョシュア、今頃何をしているのかしら」
「ちょうど引越しが済んで、部屋を片付けてきたところだけれど?」
大好きなジョシュアの声。たった数日聞いていないだけなのに、もはや懐かしい。
「どうして、ここに?」
「この学園から離れると、君のことを忘れてしまうんだろう? だからここで暮らすことにした」
「卒業しなかったってことなの? 留年? 休学? 王子さまなのに?」
「卒業はしたさ。これから僕は助手をしながら、魔術の研究をするよ。許可を得るために、卒業式のあと、急いで王宮に向かったんだ。連絡ができなくてすまない。一応、言伝てを頼んだんだけれど、図書室が開かなかったらしくてね」
その言葉に私ははっとする。そう言えばしばらくいじけていて、ジョシュア以外の人間の立ち入り制限を図書室にかけていたのだ。
「私のこと、遊びなのかと思ったわ」
「そんなわけないじゃないか」
桜は嫌いだ。この花は別れを連れてくる。けれど同じように新しい出会いもまた連れてきてくれるのだと私は知った。
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