[異世界恋愛短編集]私のせいではありません。諦めて、本音トークごと私を受け入れてください

石河 翠

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3.縁切り済みの元婚約者から届いた復縁要請の手紙なんて、どんな扱いをされても文句は言えませんわよ?

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「大変な星祭りにしてしまい申し訳ありません」
「わたしは今日の日をまた君と迎えられたことが何より嬉しい」
「私もです」

 星祭りはふたりの大切な思い出のお祭りだ。だからこそ、どうしてもこの日には問題を解決してしまいたかった。おかしな記憶を混ぜたくなんてなかったから。ずっとずっと時間が経ってしまえば、あんなこともあったねと笑い話にしてしまえるのかもしれないけれど。

「確かにもとはと言えば、あのお馬鹿さんがいてくれたからテレンスさまにお会いできたと言えますわね」
「あいつを恋のキューピッド扱いするのは非常によろしくない。そもそもわたしは、相談を受ける前から君のことを大変好ましいと」
「まあ! 初耳ですわ!」

 かつてラルフが浮気をしていることに気が付いたとき、ジェニファーは何の罪もない令嬢が不利益を被るのはおかしいのではないかと、せっせと法律関係を調べたのだ。そこでどのような取引をすれば自分の、ひいては女性陣の立場を守れるのかと悩んでいた時に友人に紹介されたのがテレンスだったのである。まさか法の番人そのひとをジェニファーの元に連れてくるとは思ってもみなかったのだが。

 それから親身になって対応してくれたテレンスから、せっかくならばこの経験を生かして王宮勤めをしてはどうかと誘いを受けたのだ。何せ王宮は、貴族令嬢の働き口としても大変人気がある。行儀見習いだけではなく、人間関係の構築や結婚相手を探す女性たちであふれているのだ。ただそのぶん、トラブルもまた少ないとは言えなかった。
 
 こういってはなんだが若い男女であれば、往々にして感情が先走ってしまう。その結果、痛い目を見るご令嬢たちが多いのもまた事実だったのである。そんな苦々しい事態に、令嬢たちに対してそれなりの教育ができる女性を探していたこともまた事実だったのだ。まあ、テレンスの場合はそれはあくまでついでであって、本来の目的はジェニファーとの仲を深めるために、少しでも接触時間を増やして好感度を上げようという姑息なものだったのだが。

 そんなこんなでようやく結ばれたふたりに、周囲は胸を撫でおろしている。氷の悪魔とも呼ばれた法の番人を飼い慣らしたのは、ジェニファーただひとりなのだから。これからもその手綱をしっかり握っていて離さないでほしいとひたすらに願われていることを彼女は知らない。

「星祭りは始まったばかりだ」
「もう、テレンスさま」
「ジェニファー、それじゃあまずはどこから回ろうか」
「そうですね。それではさっそく、私たちの大切な思い出の場所である祈りの聖樹のもとに参りましょうか」
「ああ、喜んで」

 婚約期間を経てようやく結婚したばかりの新妻ジェニファーは、愛妻家であるテレンスにエスコートされて、星祭りの会場を歩き出したのだった。
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