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4.「ずるい」と「うらやましい」の違いがわからない異母妹を教育した結果、世界に平和が訪れました。
(5)
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「だいたい、どうしてあなたの気持ちを表現する言葉が『ずるい』なのかしら? 『うらやましい』と素直に言えばよいでしょう?」
「だって、『うらやましい』じゃ長いじゃない。『ずるい』の方が言いやすいもの。あと、『うらやましい』って言葉、好きじゃないわ。そういう言葉、周りで聞かなかったもの」
「周りで聞かなかったのではなく、あなたの耳に入らなかったのでしょうね。それに好き嫌いの問題でいうならば、『ずるい』も『うらやましい』もどちらも私は好ましい言葉だとは思わないけれど」
ため息まじりに言い聞かせてみれば、シーラは目を丸くして口をぽかんと開けていた。
「へ? じゃあ、おねーさまは、ずるい……じゃなかった、うらやましいって思った時になんていうの? 黙っておくの?」
「『素敵だわ』、『お似合いだわ』、『憧れるわ』、そう素直に褒めたらよいではないの」
「それ、なんだか嘘くさい。だって、あたしだって欲しいのに。やっぱり、『ずるい』って言いたい」
「自分の中の感情を整理して、より適切な言葉で伝えなさい。『ずるい、ほしい、ちょうだい』ではなく、『素敵だわ。どちらでお求めになったの? 今度紹介してくださる?』みたいにね」
「……そうすれば、同じものが手に入るの?」
「いいえ」
「なによ、じゃあ、結局どんな言葉遣いをしても同じじゃない!」
「だって、あなたと私が同じ人間ではないように、これから出会うたくさんの人々もあなたと同じ人間ではないもの。例えば、今着ているドレス。お互い、系統が違いすぎるでしょう? 腕の良い仕立屋がいても、得手不得手もあれば、似合う似合わないもある。真似をして相手の居場所を横取りしようとするのではなく、あなたの幸せを作っていかなくてはね」
そして「おねーさま」ではなく、「お姉さま」と呼ぶようになり、父親と継母が無難に社交をこなせるようになった頃、シーラはヘンリエッタに尋ねた。
「お姉さまは、どうしてこの侯爵家を支えようと努力なさっているのですか? どうして、あたしとお母さまをこの家に置いてくれたのですか? 憎みこそすれ情けをかける必要なんてなかったのに」
貴族としての正しい解であれば「貴族の義務よ」と答えれば済むはずなのに、ヘンリエッタは困ったように首を傾げた。
「あなたがかつて『お姫さまになりたい』と言っていたように、私にも叶えたい夢があるのよ」
「お姉さま、また昔の話を持ち出して誤魔化すのはやめてください!」
「そう大して昔の話ではないような気もするけれど?」
仲良し姉妹が笑いあっていたところに、ヘンリエッタの侍従が来客を知らせに来たのである。
「だって、『うらやましい』じゃ長いじゃない。『ずるい』の方が言いやすいもの。あと、『うらやましい』って言葉、好きじゃないわ。そういう言葉、周りで聞かなかったもの」
「周りで聞かなかったのではなく、あなたの耳に入らなかったのでしょうね。それに好き嫌いの問題でいうならば、『ずるい』も『うらやましい』もどちらも私は好ましい言葉だとは思わないけれど」
ため息まじりに言い聞かせてみれば、シーラは目を丸くして口をぽかんと開けていた。
「へ? じゃあ、おねーさまは、ずるい……じゃなかった、うらやましいって思った時になんていうの? 黙っておくの?」
「『素敵だわ』、『お似合いだわ』、『憧れるわ』、そう素直に褒めたらよいではないの」
「それ、なんだか嘘くさい。だって、あたしだって欲しいのに。やっぱり、『ずるい』って言いたい」
「自分の中の感情を整理して、より適切な言葉で伝えなさい。『ずるい、ほしい、ちょうだい』ではなく、『素敵だわ。どちらでお求めになったの? 今度紹介してくださる?』みたいにね」
「……そうすれば、同じものが手に入るの?」
「いいえ」
「なによ、じゃあ、結局どんな言葉遣いをしても同じじゃない!」
「だって、あなたと私が同じ人間ではないように、これから出会うたくさんの人々もあなたと同じ人間ではないもの。例えば、今着ているドレス。お互い、系統が違いすぎるでしょう? 腕の良い仕立屋がいても、得手不得手もあれば、似合う似合わないもある。真似をして相手の居場所を横取りしようとするのではなく、あなたの幸せを作っていかなくてはね」
そして「おねーさま」ではなく、「お姉さま」と呼ぶようになり、父親と継母が無難に社交をこなせるようになった頃、シーラはヘンリエッタに尋ねた。
「お姉さまは、どうしてこの侯爵家を支えようと努力なさっているのですか? どうして、あたしとお母さまをこの家に置いてくれたのですか? 憎みこそすれ情けをかける必要なんてなかったのに」
貴族としての正しい解であれば「貴族の義務よ」と答えれば済むはずなのに、ヘンリエッタは困ったように首を傾げた。
「あなたがかつて『お姫さまになりたい』と言っていたように、私にも叶えたい夢があるのよ」
「お姉さま、また昔の話を持ち出して誤魔化すのはやめてください!」
「そう大して昔の話ではないような気もするけれど?」
仲良し姉妹が笑いあっていたところに、ヘンリエッタの侍従が来客を知らせに来たのである。
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