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無意識の恋心
無意識の恋心②
しおりを挟む「あら、旭君‼」
勘定が終わった御客さんと入り口ですれ違い、出て行ったところで小母さんと目が合う。
「どうも、小母さん」
「いらしゃい、どうぞ入って」
厨房の星崎さんとも目が合い会釈をした旭は、小母さんに促されて小上がりのテーブル席へと靴を脱いで座った。
敷かれたぺたんこの緑色の座布団に座り、テーブル上にあるメニュー表に手を伸ばす。
革製のカバーが掛かった古びたメニュー表。幼い頃、佐野夫婦と訪れる度にワクワクしながらメニュー表を眺めていたことを思い出す。
「今、遼人くん。休憩行ってもらってたの。すぐ戻ってくるから待っててね」
小母さんは水が注がれたプラスチックの透明なコップとピッチャーを持ってきてテーブルに置く。
「いいえ、遼が休憩中なら無理に呼ばなくても……」
遼に会うために寄ったのが目的でもあるが、小母さんにも会いたかったし、何よりお腹が空いていた。
遼人が休んでいるのであれば、無理に呼び出すのは申し訳ない気がしたが、小母さんは「いいのよ」と笑顔で答えながら、お店の裏口扉を開けて「遼人くん、旭くんが来たわよ」と叫んでいた。
遼人が来るまでの間で、何時もの醤油ラーメンとチャーハンを頼んだ後、思い立った旭は徐に電気屋の紙袋からカメラの箱を取り出した。
ずっと手にするのが楽しみだったカメラ。此処で開けてしまうのはもったいない気がしたが、我慢できずに開梱する。
発砲ポースチロールで固定され、箱にみっちりと収まっているカメラを丁寧に取り出す。
少しだけ重みのある大きいレンズに被写体を映す液晶画面。電源を入れ自然と笑みを零しながら、両手でカメラを持ち、構えてみる。
「旭、来たんだ」
「わっ……」
頭に白い無地のタオルを巻き、黒いTシャツを着た遼人が液晶画面に映し出されて、旭は思わず声を上げた。
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