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複雑な幼なじみからの告白
複雑な幼なじみからの告白④
しおりを挟むでも、露店で子供を相手している時の遼人は普段の数倍いい顔していた。
本人は気づいていないかもしれないけど、アイドル顔負けの眩しくて爽やかな笑顔で一般客の女性を虜にしていたのは此処だけの話しである。
「旭が浴衣着てくると思わなかった」
遼人はお茶をひと口飲んだ後でそう呟いてきた。
「ああ、うん。文子さんが僕に用意してくれていたんだ。本当は着るつもりなかったんだけど、折角用意してくれたのも悪いし……。遼、変?」
「いいんじゃねぇの?」
遼人に見せつけるように両袖を伸ばして浴衣を強調してみたが、遼人は一切此方を見ない。
「いいんじゃないって言いながら全然見てくれてないじゃん。まぁ、いいんだけど。来年は遼の番だからね」
「うるせぇ……。ぜってぇ俺は着ねぇから」
自分が着ているよりも遼人が来ている方が魅力的になることは分かりきっていた。
単なる願望を口にしただけではあったが、なかなか一筋縄ではいかなそうだった。
でも、また来年もこうして遼人とみんなと、こんな夏を過ごせたらと思う……。
「あさひ、あさひ。ちょっといい?」
暫く遼人との間で沈黙が流れる中、唐突に屋台テントの横幕から呼ばれた気がして、声の方を向くと星杏ちゃんが小声で旭に向かって声を掛けていた。
遼人の方を向くと彼は焼きそばに集中していて星杏ちゃんに気づいていない。
遼人に声を掛けようとしたが、星杏ちゃんが自身の人差し指を「シっ」と口元にあてていたので、どうやら遼人にバレないように出てきてほしいのだと意図を察した。
「遼、休んでるとこごめん。ちょっと僕、御手洗い行ってくる」
「ああ、うん」
自然を装って席を立ち、ブースを離れる。お店の真裏で待っていた星杏ちゃんと落ち合い、「お手伝い中にごめんね」と謝られながら施設の建物の内へと歩いて行く彼女についていく。
普段は解放されていないが、一般客の御手洗い場の為に中の出入りは自由になっていた。
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